職場のモヤモヤ解決図鑑【第66回】
社内イベント運営の流れを紹介。実施後の効果測定も解説[前編を読む]
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!
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吉田 りな(よしだ りな)
食品系の会社に勤める人事2年目の24才。主に経理・労務を担当。最近は担当を越えて人事の色々な仕事に興味が出てきた。仲間思いでたまに熱血!
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石井 直樹(いしい なおき)
人事労務や総務、経理の大ベテラン42歳。部長であり、吉田さんたちのよき理解者。
社内イベントの企画がようやく決まった吉田さん。次は、開催に向けてさまざまな準備を進めなければいけません。そこで忘れてはいけないのが、目的に沿った社内イベントにすることです。社内イベントの運営の流れと、イベント後の効果測定の方法について紹介します。
社内イベント開催までの基本の流れ
社内イベントの開催にあたっては、以下のような全体の流れを理解してから準備にとりかかるといいでしょう。
STEP1
目的整理&イベント内容の決定
まず、社内イベントを開催する目的の整理からはじめます。社員のモチベーションの向上などなんらかの課題があり、その解決策の一つとして社内イベントを開催する場合は、課題、目的、イベント内容に一貫性を持たせることが重要です。
「なんのためにイベントをするのか?」といった共通の課題をメンバー同士で共有しておくと、より目的に沿ったイベントを企画できます。課題が抽象的すぎると感じる場合は、満足度調査などの社内アンケートを基に整理しておくといいでしょう。
イベント内容を掘り下げるときは他社事例を参考にするなど、「社員が楽しめるか」「社風に適しているか」を考慮するのがポイントです。
STEP2
担当者の選定
社内イベントの運営に携わるメンバーを選定します。イベントの規模によっては、担当者を複数名選出し、チームで動く必要があります。従来のイベント内容を変更したり改善したりする場合は、社内横断的にメンバーを募って現場の意向をイベント内容に反映させるのもいいでしょう。
STEP3
イベント概要決定
予算、スケジュール、開催場所、参加者への告知方法などの詳細を決定します。外部の会場を使用する場合は、早めに予算枠を確定させ、できるだけ早く予約を取る必要があります。
STEP4
案内、事前準備
イベントの告知は、開催日まで余裕を持てるように行います。参加人数の確認が必要な場合は、締め切り前に社内へリマインドを行うといいでしょう。
イベントの内容によっては、マイクやプロジェクターなどさまざまな機材が必要です。事前に必要物品をリストにして、抜け漏れのないように準備を進めます。
STEP5
当日運営
イベント当日は、事前に作成した運営マニュアルに合わせて行動します。全社総会など、規模の大きなイベントの場合は、現場の担当者と全体の取りまとめ役を分けると、進行がスムーズです。
STEP6
振り返り
イベント終了後は、振り返りを行います。振り返りは、次回のイベントの改善点を考えるのに役立ちます。参加者へのアンケートで満足度を確認するなど、目的に応じて効果測定を行うのもいいでしょう。
オンラインでの社内イベント開催時の注意点
コロナ禍以降、オンラインでの社内イベントが増えています。オフライン形式とオンライン形式を併用する、ハイブリッド型イベントも見かけるようになりました。
オンラインの社内イベントを開催する場合は、運営準備の際に、配信環境やツールのテストが欠かせません。また、部外者がアクセスできないよう、セキュリティのチェックも重要です。
社員がスムーズにオンラインに参加するには、案内が分かりやすいものでなければなりません。また、チャットやアンケート機能を活用し、参加者が「聴くだけ」「観るだけ」に終わらないよう、工夫を凝らすといいでしょう。
社内イベントの満足度を知るために重要な効果測定
社内イベント実施後の効果測定は、社員のモチベーションの変化や学んだことの理解度を把握できるというメリットがあります。イベント開催の目的が達成できたのかを確認するとともに、次回に向けた改善点を洗い出す上でも忘れてはいけないステップです。
効果測定の具体例
効果を測定するには、いくつかの方法があります。
事前事後テスト
参加者のスキルや知識などの定着を測定するときに有効です。会社のビジョンの浸透や、就業規則の理解度チェックを目的として用いられることもあります。
インタビュー
参加者にイベントでの気づきや学びを直接聞く方法です。時間はかかりますが、参加者の率直な反応を把握できます。
アンケート調査
イベント参加者の満足度やモチベーションの変化、イベントの改善点をチェックするための方法です。イベントの効果測定として一般的に用いられます。
イベント参加者の満足度だけではなく、参加者の行動や結果について測定したい場合は、教育や研修の評価測定方法として知られる「カーク・パトリックの4段階評価法」を参考に、効果測定を考える方法もあります。
社内イベントの効果測定で使えるアンケート作成のポイント
アンケートは、以下のポイントを押さえて作成するといいでしょう。
アンケートで重要な質問項目は最初に配置する
アンケートの設問項目が多いと、後半で集中力が途切れてしまうことがあります。社員に必ず答えてほしい質問は、冒頭にもってくるといいでしょう。
選択式など回答しやすい質問を多めにする
回答のしやすさが回答率アップにつながります。記述式を設定したい場合は、終盤に設けます。
集計を想定してアンケートを作成する
アンケートは、集計することで結果が可視化されます。Webフォームなど、自動的に集計してくれるツールやサービスを活用するといいでしょう。
回答者の属性を確認する
匿名アンケートの場合も、「部署」「年齢」「役職」など、回答者の立場がわかる項目を設定しておくと、分析の際に役立ちます。
【まとめ】
- 社内イベント実施後、効果測定を行うことで参加者の意識の変化が分かる。また、次回以降の改善点も確認できる
- 効果測定の方法で一般的な手法にアンケート調査がある。参加後のアンケートは、満足度やモチベーションの変化を探るのに効果的である
- 率直な意見を把握するため、アンケートは匿名にするのが効果的。ただし、昨今のWebアンケートは「入力したデバイスから回答者が分かるのでは」という懸念を持たれる可能性がある。アンケート結果の利用目的を事前に周知しておくとよい
なるほど。モチベーションアップを測定するなら、参加前後のモチベーションを10段階評価で回答してもらうのがいいかもしれません!
そうだね。イベントに参加したことで特にモチベーションを刺激されたポイントを自由記述で回答してもらえば、社員の状態を把握することもできるね
よーし、開催までもうひと踏ん張り!がんばります!
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!