無料会員登録

日本の人事部への登録は45秒で完了!
※登録内容はマイページで確認・変更できます。

※「@jinjibu.jp」からのメールが受信できるようにしてください。

既に会員の方はこちら

または各SNSで登録

日本の人事部があなたの許可無く投稿することはありません

既に会員の方は
こちらからログイン

ログイン

無料会員登録

不正な操作が行われました。
お手数ですが再度操作を行ってください。

会員登録完了・ログイン

ありがとうございます。会員登録が完了しました。
メールにてお送りしたパスワードでログインし、
引続きコンテンツをお楽しみください。

無料会員登録

不正な操作が行われました。
お手数ですが再度操作を行ってください。

会員登録完了・自動ログイン

会員登録とログインが完了しました。
引続きコンテンツをご利用ください。

マイページ

会員登録済み


選択したSNSアカウントは既に会員登録済みです。

「コミュニケーション能力」は採用基準であるべきか?

リクルートワークス研究所 研究員/アナリスト 中村星斗氏

「コミュニケーション能力」は採用基準であるべきか?

新卒採用で問われるコミュニケーション能力

新卒採用で求められる能力の一つに「コミュニケーション能力」がある。試しに「コミュニケーション能力とは」とインターネットで検索するとさまざまな説明がヒットする。その内容は自己表現、意思疎通、対人関係構築、共感など多様であり、はっきりとした定義にたどり着くことは難しい。

例えば、厚生労働省が若年者就職基礎能力支援事業(YES-プログラム)の中で定めた「コミュニケーション能力」は、意思疎通、協調性、自己表現能力の三つで構成されている。また、直接的に「コミュニケーション能力」と表現されてはいないが、経済産業省の社会人基礎力にはチームで働く力(チームワーク)という要素があり、これは発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力の六つで構成されている。

定義はさまざまながら、企業は新卒採用の選考で「コミュニケーション能力」を重視している。日本経済団体連合会の新卒採用に関するアンケートで尋ねられた「選考にあたって特に重視した点」では、「コミュニケーション能力」が15年連続で1位であった(※1)。実際、新卒採用では「コミュニケーション能力」が評価されるという話をよく耳にする。

本当にチームで仕事をしているのか?

厚生労働省の「コミュニケーション能力」、経済産業省の社会人基礎力(チームで働く力)の定義を見ると、企業が「コミュニケーション能力」を採用選考で求めるのは、集団の中で協働すること、チームで働くことを職場で求めているからだと推察される。日々仕事をする中で他者との協働は確かにあり、重要でもある。しかし反対に、実際には一人で実務を進める時間もそれなりにあるはずで、それがなければ仕事は進まない。

我々は本当にチームで仕事をしているのだろうか? そうであれば、どの程度の時間、他者と働いているのだろう。

以下の図は、リクルートワークス研究所で実施した全国就業実態パネル調査2023(以降、JPSEDと表記)を用いて、実際にどのくらいの人が、どのくらいの割合でほかの人と一緒に仕事をしているのかを可視化したものである(※2)。横軸は年齢階級を、縦軸はほかの人と一緒に仕事をする割合を表している。例えば、22~24歳のうち7.9%の人は、ほかの人と一緒に仕事をする割合が0~20%未満である。また、25~34歳のうち11.7%の人でも同様に、ほかの人と一緒に仕事をする割合が0~20%未満である。

この図から、全体的にほかの人と仕事をする割合の大きな人が多く、我々は本当にチームで仕事をしていることがわかる。中でも22~24歳について、ほかの人と一緒に仕事をする割合が60%以上の人は44.6%(80%~100%が19.8%、60~80%未満が24.8%)であり、ほかの年齢階級と比べてその割合の大きな人が多い。また、年齢階級が上がるほど一人で仕事をする割合の大きな人が増える傾向が見られた。直感的には、年齢が上がればマネジメントやリーダーなどの役割を担う機会が増え、より多くの時間をほかの人と働くことに費やすのではと想定していたが、結果は逆であった。とはいえ最もほかの人と一緒に仕事をする割合が小さい55~64歳でも、その割合が60%以上の人は26.2%(同11.7%、同14.5%)おり、やはり多くの人が長い時間、ほかの人と一緒に働いているようだ。

年齢階級別 ほかの人と一緒に仕事をする割合
年齢階級別 ほかの人と一緒に仕事をする割合

「コミュニケーション能力」は採用基準であるべきか?

JPSEDの集計から、多くの人が長い時間、ほかの人と一緒に仕事をしていることがわかった。特に、新入社員や若手社員ほどその傾向は強く見られ、その意味において、新卒採用の場面で「コミュニケーション能力」が注目されることにはある程度納得がいく。

しかしここではあえて、「コミュニケーション能力」を採用選考、特に面接で見極めるべきか、そしてそれは妥当かについて再検討する必要性を考えたい。これには大きく二つの理由がある。第1に、面接でのコミュニケーションと、日々の仕事場面でのコミュニケーションはその性質が大きく異なることである。面接でよく問われるのは「学生時代に力を入れたこと」「志望動機」「入社後にやりたいこと」等であり、学生にとっては事前準備や練習が可能だ。しかし日々の仕事場面では事前準備可能なコミュニケーションばかりではない(※3)。すなわち、面接でうまくコミュニケーションを取れる能力は、仕事場面でうまくコミュニケーションを取れる能力を必ずしも予測しないのではという疑問が湧く。第2に、新卒採用の場合、面接官にとって目の前の候補者(就活生)が入社後に自分の部下にならないケースも多いはずだ。どこで誰と何の仕事をするかわからない人に対して、仕事から離れた場面で、仕事に必要な「コミュニケーション能力」を短時間で測定することには限界があるだろう。このような現実を踏まえると、面接で確認できる「コミュニケーション能力」といっても最低限のやり取りができたかどうか、といったところではないだろうか。

上記の1点目は、面接で「コミュニケーション能力」を適切に評価できたとして、それは職務遂行に必要な「コミュニケーション」を予測するものではないのではと考える視点、2点目は、そもそも面接で「コミュニケーション能力」を評価すること自体には限界があるのではと考える視点である。

またこれに加え、そもそもコミュニケーションを「能力」とみなして選考すべきかという視点もある。例として、最もほかの人と働く割合の大きい若手に焦点を当ててみる。この人たちが「ほかの人と一緒に仕事をする」シーンを具体的に考えると、「相談をする」「支援やアドバイスを求める」「何らかの確認を取る」といったものが多いだろう。このような行動は援助(サポート)希求などの領域で研究されている(例えば、山内ほか,2023)。この前提に立ち、若い人にとってのコミュニケーションの目的が支援や確認を求めることにあるのなら、コミュニケーションを個人の「能力」に求めるより、健全なコミュニケーションを取りやすい組織を目指す方が有効な施策になるだろう。この場合、「コミュニケーション能力」での選考は過剰な(もったいない)選抜につながる可能性もある。

本稿で示した観点については、実際に現場で採用面接を担当したことのある人なら感じたことがあるのではないだろうか。もちろん、さまざまな限界を踏まえながらも採用場面で「コミュニケーション能力」を測定するという意思決定自体は否定されない。一方、コロナ禍以降のビジネスチャットによる非同期的なコミュニケーションの増加(※4)など、環境変化が大きい状況においては、上述の限界も踏まえつつ、これまでと同様にコミュニケーションを「能力」として確認することが本当に妥当か、ほかのより適切な採用基準はないかを再検討することも必要だろう。

【引用文献】
伊藤忠テクノソリューションズ.(2017).大手企業のビジネスチャットツール導入実態調査を実施.
就職みらい研究所.(2023).就職白書2023.
山内貴史・島崎崇史・須賀万智.(2023).職場風土と労働者の援助希求行動.産業医学ジャーナル,46(3),77–81.

(※1)公開情報から同じ調査を確認できたのは2004~2018年であり、いずれも重視する項目に対して複数回答を求めている(引用文献には最新の2018年度調査のみを掲載)。解釈上の注意点として、複数選択の場合、選択率の高さと優先順位の高さが一致しない場合がある。例えば「コミュニケーション能力」を多くの企業が重視していることは間違いないが、全ての企業において最も重視されているかはわからない。
(※2)対象者の条件は次のとおり。年齢:22歳以上、学歴:大卒以上、就業形態:2022年12月時点で正規の職員・従業員かつ2022年の1年間が「就業」で変化なし、職種:2022年12月時点で管理職、事務職、営業職、専門職・技術職のいずれか、役職:制限なし。集計にはクロスセクションウエイトXAを用いた。なお、22~24歳、65歳以上はサンプルサイズが小さいため解釈には注意が必要である。
(※3)事前準備や練習が可能なコミュニケーションもある。
(※4)伊藤忠テクノソリューションズ(2017)の調査では、大手企業の約3割がビジネスチャットツールを導入していると報告されている。

リクルートワークス研究所

リクルートワークス研究所は、「一人ひとりが生き生きと働ける次世代社会の創造」を使命に掲げる(株)リクルート内の研究機関です。労働市場・組織人事・個人のキャリア・労働政策等について、独自の調査・研究を行っています。
https://www.works-i.com/

HR調査・研究 厳選記事

HR調査・研究 厳選記事

? このジャンルの新コンテンツ掲載時に通知します このジャンルの新コンテンツ掲載時に通知します
フォロー

無料会員登録

フォローすると、対象ジャンルの新着記事が掲載された際に通知します。
利用には『日本の人事部』への会員登録が必要です。

メールアドレスのみの登録で、15秒で完了します。

人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。

この記事ジャンル 新卒採用

無料会員登録

会員登録すると、興味のあるコンテンツをお届けしやすくなります。
メールアドレスのみの登録で、15秒で完了します。

この記事を既読にする

無料会員登録

「既読機能」のご利用には『日本の人事部』会員への登録が必要です。
メールアドレスのみの登録で、15秒で完了します。

この記事をオススメ

あなたのオススメとして、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)が公開されます。
※コメント入力は任意です。

オススメ
コメント
(任意)
■コメント投稿に関するご注意
以下に定めるご注意をご承諾の上、コメントを投稿してください。

1.
記載されている記事や回答の内容に関係のないコメントは、ご遠慮ください。
2.
以下の内容を含んだコメントの投稿を禁止します。『日本の人事部』事務局が禁止行為に該当すると判断した場合には、投稿者に通知することなく、コメントを削除または修正することもございます。予めご了承ください。
・第三者の名誉または信用を毀損するもの
・第三者を誹謗・中傷するもの
・第三者の名誉、信用、プライバシーを侵害するもの
・第三者の著作権等の知的財産権を侵害するもの
・第三者の権利または利益を侵害するもの
・公序良俗に反する内容を含んだもの
・政治活動、宗教、思想に関する記載があるもの
・法令に違反する、または違反のおそれがある記載のあるもの
・差別につながるもの
・事実に反する情報を記載するもの
・営利目的の宣伝・広告を含んだもの
・その他、内容が不適切と判断されるもの
3.
氏名・住所・電話番号などの個人情報を記載すると、トラブルに繋がる可能性があります。絶対に記載することのないよう、ご注意ください。
4.
掲載されたコメントにより発生したトラブルに関しては、いかなる場合も『日本の人事部』事務局では責任を負いかねますので、ご了承ください。
5.
ご投稿いただきましたコメントは、『日本の人事部』や、当社が運営するウェブサイト、発行物(メールマガジン、印刷物)などに転載させていただく場合がございますので、ご了承下さい。

コメントを書く

あなたのオススメとして、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)が公開されます。

コメント
■コメント投稿に関するご注意
以下に定めるご注意をご承諾の上、コメントを投稿してください。

1.
記載されている記事や回答の内容に関係のないコメントは、ご遠慮ください。
2.
以下の内容を含んだコメントの投稿を禁止します。『日本の人事部』事務局が禁止行為に該当すると判断した場合には、投稿者に通知することなく、コメントを削除または修正することもございます。予めご了承ください。
・第三者の名誉または信用を毀損するもの
・第三者を誹謗・中傷するもの
・第三者の名誉、信用、プライバシーを侵害するもの
・第三者の著作権等の知的財産権を侵害するもの
・第三者の権利または利益を侵害するもの
・公序良俗に反する内容を含んだもの
・政治活動、宗教、思想に関する記載があるもの
・法令に違反する、または違反のおそれがある記載のあるもの
・差別につながるもの
・事実に反する情報を記載するもの
・営利目的の宣伝・広告を含んだもの
・その他、内容が不適切と判断されるもの
3.
氏名・住所・電話番号などの個人情報を記載すると、トラブルに繋がる可能性があります。絶対に記載することのないよう、ご注意ください。
4.
掲載されたコメントにより発生したトラブルに関しては、いかなる場合も『日本の人事部』事務局では責任を負いかねますので、ご了承ください。
5.
ご投稿いただきましたコメントは、『日本の人事部』や、当社が運営するウェブサイト、発行物(メールマガジン、印刷物)などに転載させていただく場合がございますので、ご了承下さい。

問題を報告

ご報告ありがとうございます。
『日本の人事部』事務局にて内容を確認させていただきます。

報告内容
問題点

【ご注意】
・このご報告に、事務局から個別にご返信することはありません。
・ご報告いただいた内容が、弊社以外の第三者に伝わることはありません。
・ご報告をいただいても、対応を行わない場合もございます。

HR調査・研究 厳選記事のバックナンバー

関連する記事

【用語解説 人事辞典】
求人票
構造化面接
選考・面接
新卒採用
キャリアセンター
カジュアル面談
親ブロック
コンバージョンレート(CVR)
スクラム採用
カスタマージャーニー