イマドキの若年労働者の就労意識
岸川 宏(きしかわ・ひろし)
パートタイマー白書や学生を対象にした就職活動に関する意識調査など、当研究所が独自で行っている調査から見えてくることを考察します。
先日公表された「平成26年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)」によれば、平成27年3月に卒業した大学生の就職率は、96.7%と平成20年以来7年振りの高水準となり、「売り手市場」となっています。
一方、平成26年度学校基本調査によれば、平成26年3月に卒業した学生56万5千人のうち、およそ19%(10万5千人)が「安定的な雇用に就いていない者」となっています。近年「安定的な雇用につかない」学生の割合は少なくなってきているとはいえ、調査を行いはじめた平成24年3月卒学生から3年連続で約2割・10万人を超える学生が安定的な雇用に就いていないのです。「売り手市場」にも関わらず、です。
※「安定的な雇用に就いていない者」とは、「就職者のうち、正規の職員でない者」(3.9%)と、「一時的な仕事に就いた者」(2.6%)と、「進学も就職もしていない者」(12.1%)の合計値。
そんな、イマドキの若年労働者の就労意識はどのようになっているのでしょうか。
平成26年版パートタイマー白書では、現在就労している23 歳から39 歳までの未婚の男女(大学卒業者)にアンケートを実施しています。
この中で、大学卒業後の初職が、非正規雇用だった者にその理由を聞いたところ、「正社員での職が得られなかったから」51.9%で最も多く、「興味のある仕事が、非正規雇用での募集だったから」が21.6%、「元々、正社員で就職するつもりはなかったから」19.7%、「その他」6.8%という結果でした。
「正社員での職が得られなかったから」いわゆる“不本意非正規”であった者が5割を超える結果で、当時までの就職活動の厳しさがうかがえる結果ともいえますが、一方で“積極的非正規”も半数近くいるということです。
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。