企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

『ビジネスガイド』提携

企業による積極的な取り組みが増加中!
「障がい者雇用」をめぐる最新動向と採用&労務管理上のポイント
(1/3ページ)

社会保険労務士 松山 純子

ビジネスガイド表紙
『ビジネスガイド』は、昭和40年5月創刊の労働・社会保険の官庁手続、人事労務の法律実務を中心とした月刊誌(毎月10日発売)です。企業の総務・人事・労務担当者や社会保険労務士等を読者対象とし、労基法・労災保険・雇用保険・健康保険・公的年金にまつわる手続実務、助成金の改正内容と申請手続、法改正に対応した就業規則の見直し方、労働関係裁判例の実務への影響、人事・賃金制度の構築等について、最新かつ正確な情報をもとに解説しています。
ここでは、同誌のご協力により、2013年4月号の記事「『障がい者雇用』をめぐる最新動向と採用&労務管理上のポイント」を掲載します。
『ビジネスガイド』の詳細は、日本法令ホームページへ。

まつやま・じゅんこ ● 2006年6月に松山純子社会保険労務士事務所開業。当時700名のうち約半数が障がい者という身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者の福祉施設に人事総務およびケースワーカーとして、14年間勤務。障がいがあっても、働きやすい環境整備と周囲の理解があれば、就労は可能であることをこの施設で学ぶ。現在、事務所は障害年金に力を入れて活動中。

1. 障がい者雇用をめぐる現在の状況

photo

近年、労働行政における障がい者雇用推進への取り組みが一層強化され、企業の障がい者雇用への理解、障がい者の就労意欲の高まり、支援体制の充実等を受けて、障がい者雇用は拡大を続けています。

2011年度は、民間企業における障がい者雇用者数、ハローワークにおける新規求職申込み件数、就職件数などのすべてにおいて、前年に引き続き過去最高を更新しています。ハローワークを通じた障がい者の就職件数は、2010年度の5万2,931件から大きく伸び、5万9,367件(対前年度比12.2%増)と過去最高となりました。また、就職率も40.0%(同0.1%増)と、2年連続で上昇しています。雇用情勢の厳しい中、障がい者雇用への理解の進展がうかがえます。

また、2012年障がい者雇用状況の集計結果によると、民間企業における雇用されている障がい者の数、実雇用率、法定雇用率達成企業の割合はいずれも過去最高となりました。

●民間企業(56人以上規模の企業:法定雇用率1.8%)に雇用されている障がい者
38万2,363.5人(対前年比4.4 %(16,164.5人)増、過去最高)
●上記内訳(いずれも前年より増加し、特に精神障がい者が大きく増加)
身体障がい者 29万1,013.5人(対前年比2.3%増)
知的障がい者 7万4,743人(同8.7%増)
精神障がい者 1万6,607人(同27.5%増)
●実雇用率は1.69%(前年は1.65%。過去最高)
●法定雇用率達成企業の割合は46.8%(前年は45.3%)。

2. 障がい者の法定雇用率の改正

すべての事業主に義務付けられている障がい者の法定雇用率は、2013年4月1日より、1.8%から0.2ポイント引き上げられ2.0%となりました。法定雇用率の引上げは、2008年以来5年ぶりです。また、今回の改正に伴い、障がい者を一人以上雇用しなければならない事業主の範囲が、現在の「従業員56人以上」から「従業員50人以上」に拡大されます。4月以降、従業員50人以上56人未満の事業主は新たに対策が必要になりますので、特に注意する必要があります。

対象事業所は、毎年6月1日時点の障がい者雇用状況をハローワークへ報告し(義務)、障がい者雇用推進者を選任するよう努めなければなりません(努力義務)。

なお、雇用が義務付けられているのは、身体障がい者および知的障がい者であり、精神障がい者は雇用義務はありません(※2013年5月現在)。

photo
(1)実雇用率の算出方法

障がい者の法定雇用率の算定における障がい者数のカウントの仕方は、労働時間数や障がいの程度によって異なります。

週所定労働時間が30時間以上の身体障がい者または知的障がい者は「一人」、週20時間以上30時間未満は「0.5人」としてカウントします。

なお、週所定労働時間が30時間以上の重度身体障がい者または重度知的障がい者の場合は一人につき「二人」、週20時間以上30時間未満の重度身体障がい者または重度知的障がい者の場合は「一人」とカウントします。

また、精神障がい者については雇用義務はありませんが、精神障がい者(精神障がい者保健福祉手帳保持者)も、法定雇用率の算定対象となっています。カウント方法は身体障がい者または知的障がい者と同じです(週30時間以上は一人、週20時間以上30時間未満は0.5人)。

(2)法定雇用率を満たしていない場合

法定雇用率を満たしていない場合、不足する人数一人に対して納付金を納付する義務があり、常用雇用労働者301人以上の場合、月額5万円、常用雇用労働者201人以上300人以下の場合、月額4万円を納付します(平成22年7月から平成27年6月までの特別措置。平成27年7月1日以降は原則月額5万円)。

photo

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事にコメントする

この記事に対するご意見・ご感想のコメントをご投稿ください。
※コメントの投稿をするにはログインが必要です。

※コメントのほか、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)がサイト上に公開されます。

※投稿をしたコメントは、『日本の人事部』事務局で確認後、掲載されます。投稿後すぐには掲載されませんので予めご了承ください。

人事・労務関連コラムのバックナンバー

悪質クレームに対応する従業員ケアの必要性と対策
年々増加する不当クレーム・悪質クレーマーから従業員を守るにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、クレーム対応の考え方や、体制整備の進め方について解説します。
2020/01/17掲載
五輪、災害対策で需要急増!ボランティア休暇制度 導入の手順と留意点
多発する災害や五輪でのボランティア需要などから、ボランティア休暇制度の導入を検討する企業の増加が見込まれます。今回は、ボランティア休暇制度を導入する場合の手順と...
2019/11/22掲載
外国人労働者が関係する労組トラブル対応最前線
相次ぐ外国人技能実習生の失踪などから、長時間労働や過重労働をめぐって紛争につながるケースが多発しています。外国人労働者が関係する労使トラブルの最新事例と、具体的...
2019/09/05掲載

関連する記事

障害者雇用 相談事例にみる!企業の“合理的配慮”はどこまで必要か?
法定雇用率の引き上げや雇用義務対象の拡大を受けて、大企業を中心に障害者雇用が進んでいます。一方、障害者雇用をめぐる相談事例も増加傾向にあります。実際の事例をもと...
2018/09/10掲載人事・労務関連コラム
パート募集 超短時間シフト増加中?
生産年齢人口が縮小して行く中で、女性労働者の雇用は増加中。しかし、増えているのはパート雇用のみです。各社パートタイマーの奪い合いとも言える状況の中、募集条件には...
2017/06/09掲載新卒・パート/アルバイト調査
株式会社高島屋
意欲あるかぎり働き続けられる職場へ
ベテランを戦力化する高島屋の「再雇用制度」とは
年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、65歳までの雇用義務化を巡る議論が高まっています。ベテランの暗黙知や熟練の技能を“戦力”として活かすには、どうしたらいいのか...
2012/03/26掲載となりの人事部
渡邉 幸義さん~障がい者雇用をはじめとした、アイエスエフネットが目指す「20大雇用」とは?
株式会社アイエスエフネットは、障がい者やニート、フリーター、高齢者など、働くことに制限のある人々の労働環境を整備していることで知られています。人はそれぞれ、何か...
2011/11/14掲載キーパーソンが語る“人と組織”
企業の震災対応
民間調査機関の労務行政研究所(理事長:矢田敏雄)では、「東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)への対応アンケート」を実施しました。今回はその中から、従業員に対する...
2011/10/31掲載人事・労務実態調査
目標管理・人事評価システム導入のメリットとは?

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

職員の皆さまに、資産形成の研修を

注目コンテンツ


「目標管理・人事評価」に役立つソリューション特集

目標管理・人事評価システムを選ぶときのポイント、おすすめのサービスを紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


Employee Experienceを企業競争力の源泉へ<br />
リクルートが本気で取り組む「エンゲージメント型経営」

Employee Experienceを企業競争力の源泉へ
リクルートが本気で取り組む「エンゲージメント型経営」

リクルートホールディングスでは2015年から、働き方変革を推進。グロー...


企業の成長を促す「エンゲージメント経営」<br />
Employee Experienceが競争力の源泉となる

企業の成長を促す「エンゲージメント経営」
Employee Experienceが競争力の源泉となる

将来の労働力減少が見込まれる現代において、「従業員一人ひとりが持つ経験...