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【ヨミ】パタハラ パタハラ

「パタハラ」とは、パタニティー・ハラスメントの略。パタニティー(Paternity)は英語で“父性”を意味し、男性が育児参加を通じて自らの父性を発揮する権利や機会を、職場の上司や同僚などが侵害する言動におよぶことを、パタニティー・ハラスメントと呼びます。女性社員の妊娠・出産が業務に支障をきたすとして退職を促すなどの嫌がらせをすることを指すマタハラ(マタニティー・ハラスメント)に対して、パタハラは男性社員が育児休業をとったり、育児支援目的の短時間勤務やフレックス勤務を活用したりすることへの妨害、ハラスメント行為を指します。
(2013/8/26掲載)
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パタハラのケーススタディ

五人に一人が同僚男性の育休に不快感
取れるのに取れない、企業文化の壁

厚生労働省が発表する雇用均等基本調査によると、2012年度の男性の育児休業取得率は1.89%で、過去最高だった前年度の2.63%から0.74ポイントも大きく下落しました。男性の育児への参加意欲自体は決して低くありません。むしろ着実に高まっています。ライフネット生命保険が育児休業に関する意識調査を実施(調査期間12年12月27日~13年1月16日)したところ、「育児休業を取得したいと思う」(「非常にあてはまる」「ややあてはまる」の合計)と回答した男性は全体の63.6%にのぼりました。

3年前の育児介護休業法の改正により、男性の育休取得の対象範囲も広がっています。労使協定による専業主婦(夫)除外規定が廃止され、妻が専業主婦の場合や、育休中であっても、夫は育休を取れるようになりました。加えて各企業においても、仕事と育児の両立支援に資する制度の整備、拡充が進んでいます。

意欲もあり、制度も整いつつある。にもかかわらず、実際の取得率はわずか1.89%にとどまっているのです。その背景には「バタハラ」問題を生む旧態依然とした企業風土があると、東レ経営研究所主席コンサルタントでダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長の渥美由喜さんは指摘します。「男性が育休をとると出世にひびく」「子どもの面倒は妻が見るのが当たり前」といった先入観や偏見から、上司が部下の育休取得を認めないなど、男性の育児参加を妨げるような言動におよぶことを、渥美さんはパタニティー・ハラスメントと呼び、そうした行為が多くの職場にまん延している現状に警鐘を鳴らしています。

実際、男性の育休取得に対する職場の抵抗感は根強く、先述のライフネット生命保険の調査でも、実に20.1%、およそ五人に一人が同僚男性の育休取得を「不快に思う」と回答しています。さらに育休取得者が男性の上司(管理職)の場合は25.8%と、不快に思う人の割合が高まりました。また、女性より男性のほうが育休を取得することに対して不快に思う人の割合が高く、取得者が同性であると不快に思う人の割合が増加する傾向も見られました。まさに「男の敵は男」であり、そうした目に見えない企業文化、すなわち組織で働く人々が囚われている固定観念の壁こそが、男性の育児参加を阻む最大の障害であるといっていいでしょう。

一部にはその厚い壁を打ち破り、パタハラが生じるような職場環境を改めようと、思い切った対策を打ち出す企業も現れています。日本生命保険では、現場の自主性にまかせていては男性の育休取得は進まないと判断、本人や上司の意識改革を促すために、今年4月から11年10月以降に生まれた子どもを持つ男性社員全員に1週間程度の育休取得を原則義務付けました。6月末現在で約200人が対象になっています。

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