有給休暇消化のための雇用契約延長について
いつも大変参考にさせて頂いております。
さて今年12月31日で退職する社員がおり、有給休暇の消化を希望しております。
(有期雇用の契約社員で、12月31日が契約満了日となっております)
しかしながら、年内は職場が忙しく休みを取らせることが難しい状況です。
このような場合、有給休暇を消化するために1ヶ月程度の契約延長をすることについて
何か問題はありますでしょうか。
また、本人からそのような希望があった場合は、会社としては応じる義務がありますでしょうか。
ご教示のほどよろしくお願い申し上げます。
投稿日:2014/11/19 09:52 ID:QA-0060872
- *****さん
- 東京都/その他メーカー(企業規模 301~500人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
有休消化について
会社には時季変更権がありますが、退職日以後は
時季変更が不可能ですから、本人の申し出があれば、有休を与える必要があります。
契約延長については、双方の合意があれば可能です。
ただし、有休消化のためだけの延長であれば、その間は、労務提供がなされるわけでは
ないのに、社会保険等が発生しますので、有休買取も検討した方がよろしいでしょう。
有休買取は原則禁止とされていますが、退職時だけは認められています。
買取の際の1日あたりいくらにするかは、通常の有休とは別扱いとなりますので、
合意があれば問題はありません。
投稿日:2014/11/19 10:42 ID:QA-0060873
相談者より
さっそくのご回答をありがとうございます。社会保険料の件、思い及んでおりませんでした。ご指摘いただき感謝いたします。その点も踏まえて検討したく存じます。
投稿日:2014/11/19 13:57 ID:QA-0060876大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
残日数に応じて調整的に金銭を支払って解決する方法を検討
有給休暇を消化させるだけの目的で契約延長することは可能ですが、 なんだか逆立ちしたような感じでスッキリしませんね。 一層のこと ( 本人の申入れが必要ですが )、 残日数に応じて調整的に金銭を支払って解決する方法をご検討されてはいかがですか。 これなら、 事前の買上げとは異なるので、 手間をかけず、 合法的に解決することができます。 更に、 買上げ支給額は、 所得税法上、 退職所得になるものと思われ ( 同法30条1項 )、 本人にも有利に働く筈です。
投稿日:2014/11/19 11:22 ID:QA-0060874
相談者より
さっそくのご回答をありがとうございます。買い上げという選択肢、具体的な方法やメリット等、とても参考になりました。視野に入れて検討したく存じます。
投稿日:2014/11/19 13:59 ID:QA-0060877大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、労働基準法第39条第5項におきまして「有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」と定められています。
御社の場合、「年内は職場が忙しく休みを取らせることが難しい状況」という事ですが、上記条文にある「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、当該従業員がいなければ職場が殆ど機能せず、かつ代替要員もいない等極めて限られた状況と解釈されています。従いまして、単に忙しいという理由のみでこうした時季変更権を行使する事は出来ません。
加えまして、当事案の場合には退職する社員でもありかつ年休取得についても日程的にかなり余裕を持って事前に申し出られていますので、猶さら申し出を拒む事は違法性が高くなるものといえるでしょう。仮に年休が多く残っていたとしましても、普段から年休取得を促さなかった会社側にも問題があるものといえますので付与を拒む理由にはなりえません。
従いまして、契約延長をするのではなく、会社側で極力人員調整をする等の対応で希望通り年休を付与されるべきといえます。どうしても困難の場合ですと、当人の自発的な同意を得た上で契約延長されるか、或は年休を買い上げする事で対応される事が必要です。
投稿日:2014/11/19 11:27 ID:QA-0060875
相談者より
さっそくのご回答をありがとうございます。契約延長をせずどうにか有給付与する、あるいは買い上げを視野に入れ検討したく存じます。
投稿日:2014/11/19 14:00 ID:QA-0060878大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
有給休暇消化のための雇用契約延長について
一つ目のご質問につきまして、労使間の合意のもと延長されることは差し支えありません。
契約延長が難しい場合は、12月31日までに業務の支障をきたさない範囲内で有給休暇を取得させ、退職で請求が不可能な残余分は双方合意のもと会社が買い上げるという方法もあります(この場合、買い上げた年休の支払額について、労働基準法はもともと金銭での買い上げを否定しているので、何ら規定はありません。買い上げ単価は会社が任意で定めても差し支えないとされています)。
なお、買い上げた分は退職所得(所得税法30条「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得」、また基本通達30-1でも「退職所得等は本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので退職したことにより起因して一時に支払われる給与をいう)にあたりますので、手続きとして退職所得の受給に関する申告書の提出(忘れると20.42%の源泉徴収になります)と退職所得にかかる源泉徴収票の発行が必要となります。
二つ目のご質問につきまして、会社として応じる義務はないかと存じます。有給休暇の本来の趣旨は「労働者の心身を回復させ、労働力の維持培養を図る」とあるように次への労働力意欲を高めることにあります。今回のような有給休暇の消化の希望を全部認めていたら業務が立ち行かなくなり、現実的には難しいかと思われます。そのため、普段から有給休暇の取得利用がしやすい環境を整備しておくことが肝要です。
投稿日:2014/11/21 06:36 ID:QA-0060890
相談者より
ご回答をありがとうございます。退職所得としての手続き等、大変参考になりました。有給休暇の趣旨に基づき、普段から利用できる環境を整えていきたいと思います。
投稿日:2014/11/21 15:48 ID:QA-0060893大変参考になった
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