歩合給に時間外割増分を含めてもよいか
歩合給(名称は仮ですが)を支給する場合、
歩合給そのものの計算は、売上、会社が指定するサービスの実施など
いくつか項目がわかれており、ポイント制×単価となっています。
その場合、その月に時間外が発生したときで、
歩合給にその時間外分を含める(もちろん、それを超えた時間外分は支払う)という
個別の合意ができ、給与明細にも歩合給に何時間分かも表示されており、
就業規則にも記載されていれば、問題ないでしょうか。
時間外をしないと業績があがらない人と、
時間外をしなくても業績があがる(歩合給が支給される)人に対する
区別といいますか、時間についての意識をもつ意味あいもあるのですが、
いかがでしょう。
ご回答のほど、よろしくお願いいたします。
投稿日:2011/09/13 12:45 ID:QA-0045983
- *****さん
- 岡山県/コンサルタント・シンクタンク(企業規模 1~5人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
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歩合給と時間外手当の関係
歩合給は通常、営業成績や何らかの成果などにより算定し、支給されるものでしょう。したがって、その算定根拠に時間外手当が含まれるのは適当ではないでしょう。基本給をベースにするか、あるいはそれさえも考慮せず、利益や収益の一定率を支給するのが妥当であり、納得性が高いと考えます。これとは別途に時間外勤務を行ない、それに則して時間外手当を支給するべきことも当然です。ただ、その2つは厳格に区分し、運用されるべき性質のものと考えます。
投稿日:2011/09/13 14:08 ID:QA-0045991
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
文面のような形式で歩合給に時間外割増賃金を含めること自体は可能ですが、そうする事で現行規定より労働者にとっては不利益になる可能性が生じるものといえます。従いまして、ご認識の通り労働契約法第9条に基きまして従業員との間で個別合意を得ることが必要になります。
投稿日:2011/09/13 23:29 ID:QA-0046005
プロフェッショナルからの回答
歩合給の割増賃金の手当相当分の明確な区分をご検証下さい。
今般ご相談頂いた歩合給設定については、歩合給に時間外手当部分を含めるという、個人の業績に連動した設計としたいという御社の方針が伺われます。
以下、この設計について検討します。
まず、労働基準法では、就業する場合は、例え出来高が少なかったとしても、労働時間に応じた一定額の賃金の保障をすることを事業主に義務づけています。これは、本人の能力にかかわりなく、仕事の繁閑により賃金が左右され、また、労働者を過酷な重労働に追いやり、生活を不安定にする弊害等を考えた措置です(第27条)。
一方、御社同様、業績に連動した歩合給制度を導入する企業は多く、こうした歩合給設定の原則以外どのような設定が適法か否かの法的なガイドラインは条文からの直接的な根拠はありません。しかしながら、判例より以下のポイントに留意すれば、歩合給に時間外手当部分を含めることが可能です。
1)歩合給の中のいくらが割増賃金に当たるかをそれ以外の賃金部分と明確に区別することができること。
2)その割増賃金相当部分を控除した基礎賃金によって計算した割増賃金の額と右割増賃金相当額とが比較対照できること。
の2点が必要です(高知県観光事件 最高裁第二判平6.6.13)
以上を踏まえて御社の対応を検証致しますと、1)に関しては「給与明細にも歩合給に何時間分かも表示されて」いるとのことでしたが、歩合給の中に、割増賃金相当部分がどの程度含まれているかこれだけでは不明瞭であります。例えば割増賃金部分の手当が給与明細上、明確に区分されていることが必要です。
また、2)に関しては、この割増賃金部分を除いた固定賃金を基礎として算出した割増賃金が、当初設定した割増賃金部分の手当と比較対照が可能である、すなわち、双方の額がほぼ等しいという結果を得られることが必要です。
尚、1時間当たりの単価計算に際して、基本給等の固定給は所定労働時間数で除するのに対し、歩合給などの出来高払い給与は、労基法施行規則第19条第1項第6号により、総労働時間数で除することになりますのでご留意下さい。
以上の事を踏まえて、御社の歩合給に関する設計をご検証下さい。
投稿日:2011/09/20 08:16 ID:QA-0046109
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