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健康診断等における健康情報の取扱い

・当社では、事業者としての健康管理責任は、本社人事部においてその役割を担っていますが、各社員の健康管理の実施については、本社各部の部長あるいは全国に所在する支店の責任者である支店長のいわゆる「所属長」が実施することと、社内規程により定めています。

・定期健康診断等の健診結果については、「健康診断票兼指導票」として、「本人交付用」と事業者の控えである「事業者用」の2種類が作成されます。2種類の様式や記載内容は同じであり、「健診結果」として、各検査の数値データとそれによる医師の判定が記載され、また、有所見者等に対しては、「病名・症状・指導区分・受診指導」欄及び「生活指導」欄に当該情報が記載されます。

・「本人交付用」は専用の封筒に封入され各社員に配付されますが、「事業者用」については、社員毎に封入されず、各所属長あてに、配下の社員の結果をまとめて交付し、それに基づき、所属長は必要な者に対して健康指導を行っています。


 この取り扱いに関して、社員から、「健診結果」欄及び「病名・症状・指導区分・受診指導」欄の情報は、本来、本人又は医師のみが知り得る機微情報であり、「定期健康診断結果に基づく社員指導」の実施のためとはいえ、機微情報を事業者及び産業医以外の所属長が知り得ることについて問題はないのか。
 「定期健康診断結果に基づく社員指導」の実施のために必要な情報は「生活指導」のみでいいのではないか、と指摘がありました。

 この指摘に対して、当方としては、以下のとおり現在の取扱いは妥当であるものと考えているところですが、専門家の方のご意見を頂戴できれば幸いです。

○厚生労働省の定める「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」(解説)において、専門職ではない労働者本人の上司や人事労務担当者等が労働者の健康情報を取り扱う場合、必要となる情報は医師の所見等に限られ、検査値等のいわゆる生データは必要がないことが考えられるとされており、当社の「健康診断票兼指導票 事業者用」の「健診結果」欄には検査値等のいわゆる生データが記載されているため、上記指針に基づくと、本人又は医師以外のものに当該データが開示された状態にあることは不適切と言える。
 しかしながら、同省の定める「労働安全衛生法第66条の5第2項の規定に基づく健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」においては、労働者の健康状態を把握し、適切に評価するためには、健康診断の結果を総合的に考慮することが基本であり、例えば、平成19年の労働安全衛生規則の改正により新たに追加された腹囲等の項目もこの総合的考慮の対象とすることが適当と考えられる、とされていることから、検査値等の「健診結果」欄も、所属長が社員への指導を行う上で必要な情報と考えられる。
 したがって、定期健康診断結果に基づく社員指導(社員との対話)を実施するため、「健康診断票兼指導票 事業者用」に記載された「病名・症状・指導区分・受診指導」欄は「生活指導」欄と併せて、当社の社員の健康管理を実施する責任を担う所属長が、社員の健康状況を把握する上で必要となる情報である。

 以上、よろしくお願いいたします。

投稿日:2011/03/03 17:50 ID:QA-0042790

*****さん
沖縄県/保険(企業規模 10001人以上)

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プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答3

プロフェッショナルからの回答

服部 康一
服部 康一
服部賃金労務サポートオフィス代表

お答えいたします

ご利用頂き有難うございます。

御相談の件ですが、個人情報保護と労働安全衛生法上の健康管理及び安全配慮義務が交錯する事柄であって非常に難しい問題といえます。

確かに個人情報保護の観点からすれば従業員の指摘も誤りとはいえません。しかしながら、個人情報につきましては、法令遵守を行う為の取得や利用の際は認められています。そうでなければ、労働安全衛生法のみならず殆どの法的義務を会社が果たすことは事実上不可能といえるでしょう。

そもそも個人情報保護法は後になって出来たいわゆる一般法的性格を持つ法律であり、それ故多くの問題点も指摘されているところですので、特別法たる労働法令に優先するものではないといえるでしょう。

従いまして、文面のような労働安全衛生法上の責任を果たす上で健康診断情報を取り扱う際には、違法行為にはならないものと考えられます。但し、そのような義務を果たす為に「生データまで必要になる」といった考え方に関しては疑問を禁じえません。現実問題としまして数値を知らなければ健康状態が分からないということはやはり考え難いものといえます。それ故、出来る限りそうした生データについては人事管理責任者のみが管理し、健康管理上必要な情報のみ産業医に確認された上で所属長に伝えることが妥当というのが私共の見解になります。

投稿日:2011/03/03 23:07 ID:QA-0042797

相談者より

ご回答ありがとうございました

投稿日:2011/03/07 15:08 ID:QA-0042844参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

川勝 民雄
川勝 民雄
川勝研究所 代表者

医師の勧告に基づく適切な業務指導以外はやらせるべきではない

※.問題のポイントは、「 個人情報に該当する健診結果の取扱い 」 と、「 企業としての管理配慮義務の限度 」 の2点に整理して考えるのが分かり易いと思います。前者に就いては、「社員個人情報取扱規程」を定め、周知、遵守すべきです。 .
※.後者に関しては、テレビや新聞等で誰でも知り得る程度の素人知識しか持っていない職場ライン長に、部下の生検査値等の 「 健診結果 」 を持たせることの恐ろしさを考えれば、医師の勧告に基づき、適切な業務指導すること以上のことは許すべきではないと考えます。ライン長にしても、迷惑千万な話です。

投稿日:2011/03/04 10:11 ID:QA-0042806

相談者より

ご回答ありがとうございました。

投稿日:2011/03/07 15:11 ID:QA-0042846参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

増沢 隆太
増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 人事・経営コンサルタント

時流

ご提示のお考えは一理あると思いますし、絶対的な間違いだとは思いません。ただしそれに異議を唱える、違和感を感じる社員はいて当然と思います。つまり「正しいかどうか」ではなく、何のための管理かという目的意識の問題でしょう。
労務管理、安全管理上、素人の管理者が出来ることは限界があります。たとえば生活習慣病は適切な治療によって、就労上は支障がないこともあります。しかし数値だけで判断すれば危険な状態であるなど、およそ素人が判断できるものではありません。特に精神疾患等デリケートな問題や性感染症やエイズ等、これまた素人が偏見を持たずに適切に対処するのが難しい問題で、もし何かのきっかけで管理職がそうしたプライバシーを口走るようなことが発生しないと、断言できますでしょうか。
出来ないのが普通だと思いますので、不必要な情報開示は訴訟リスク、社員のモラール(士気)維持のため、ただちに止められるのがよろしいと存じます。

投稿日:2011/03/04 21:43 ID:QA-0042818

相談者より

ご回答ありがとうございました

投稿日:2011/03/07 15:09 ID:QA-0042845参考になった

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回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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