ストレスチェックのスコアだけを信じると危険です
「ストレスチェックの結果は集団分析をして、総合健康リスクの値を見ればいい」そんな風に思っていませんか?
厚生労働省が推奨する方法でストレスチェックを実施すると、社員の健康リスクが数値で表記されます。
健康リスクは全国平均を100として、数字が大きいほどリスクが大きい(=ストレス度が高い)とされます。健康リスクが110だった場合、全国平均よりも10ポイント高い状態です。
そして、1ポイントにつきリスクが全国平均よりも1%差があることを示しています。例えば、健康リスクが120の社員は、全国平均よりもリスクが20%高いことを示しています。
具体的にどの程度のスコアなのかと言えば、低い人になれば50前後の数字を示す社員もいますし、一方で200を超えるようなスコアを示す場合もあります。そして、今回のストレスチェックでは高ストレス者(面談希望者で実施者が認めた場合)に対する面談を実施する必要があるのですが、実は、上記の健康リスクと高ストレス者とは必ずしも一致しません。
上記の健康リスクは「仕事の量」「仕事の裁量」「上司の支援」「同僚の支援」という4項目から算出されます。しかし、ストレスチェックの57項目では「抑うつ感」や「活気」といった、ストレス反応といわれる項目も問われており、これらのストレス反応がどれだけ高くても、健康リスクには反映されない仕組みになっています。
一方で、面談対象となる高ストレス者の抽出に関して、厚生労働省推奨の方法で行うとストレス反応が高い者も高ストレス者として抽出されます。そのため、事業所全体の健康リスクは全国平均よりも低いにも関わらず、高ストレス者が全体の20%以上を占めるというようなケースも発生しています。
(高ストレス者は全体の10%程度になるように厚生労働省の推奨基準は設定されています)
さらに、平均の健康リスクが低いといっても、その分布に注目する必要があります。ある企業では、全社平均の健康リスクは全国平均を下回っていたものの、個人別に見ると全国平均(=100)を上回る健康リスクの従業員が30%以上もいました。
恐らく、平均値だけを見ていたのでは、絶対に気付かなかったでしょう。ストレスチェックを形骸化しないためには、
パッと見のスコアだけを信じるのではなく、データを分析して見ていく必要があるのです。
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早期離職対策・社員定着率向上コンサルタント
「早期離職白書」の作者であり、若手社員と育成担当者への研修・セミナーを全国で実施している。
また、2015年10月よりストレスチェックサービス「りーふBiz」をリリースし、現在はメンタルヘルスケアサービスも展開中。
井上 洋市朗(イノウエ ヨウイチロウ) 株式会社カイラボ 代表取締役
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