会社からの退職日指定について
いつも参考にさせて頂いております。
当社では自己都合により退職する場合は30日前までに書面で申し出ることと規程で定めています。
例えば8月9日に申し出をしたら退職日は9月8日(あるいはそれ以降の本人が希望する日で、有休消化の範囲内)だと思うのですが、人事担当の中で「原則、退職日は末日以外は認めないとしたい」という意見があります。勿論、現状では規程でもそのような定めはありません。転職先の入社日が必ず1日であるとも限りませんし、退職者の不利益にもなりかねないと思ってます。たとえ規程に定めず運用レベルであっても、会社から退職日を指定することは問題があるようにも思いますが、確証がなく、ご教示頂けましたら幸いです。
宜しくお願い致します。
投稿日:2010/08/10 11:24 ID:QA-0022281
- *****さん
- 東京都/その他金融(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
労働者の自由性を損なってまで、変更する合理性に乏しい
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■ ご承知の通り、労基法 ( 20条 ) は、使用者側からの雇用契約の解約 ( 解雇 ) に就いて、最低の予告期間を設けていますが、労働者側からの解約 ( 退職 ) に関しては、何等、制限を設けていません。
■ 基本になっているのは、民法( 627条 ) で、「 各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができ、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する 」(※)ことになっています。労基法は、民法に対する特別法として、使用者に、より厳しい制限を課している訳です。
■ 以上を踏まえて、ご相談を拝見しますと、「 原則、退職日は、末日以外は認めない 」 という考えは、恐らく、「 事務上の事由 」 だと思いますが、労働者の自由性を損なってまで、変更する合理性に乏しく、見送るのが賢明です ( 判例が見付かった訳ではありませんが、係争となれば、多分敗訴となるでしょう )。
(※)月給制の場合は、申入れを、当月の前半に行い、来月以後に解約となります。又、6箇月以上の期間単位の報酬契約の場合は、3箇月前の解約の申入れが必要となっています。
投稿日:2010/08/10 13:02 ID:QA-0022284
相談者より
投稿日:2010/08/10 13:02 ID:QA-0040921大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします。
退職日を会社側から指定するということに関して、法律上の定めはありません。しかし、「30日前までに書面で申し込む」という条件と、退職日が末日限定という条件のもとでは、退職される方を不当に拘束する期間が最大2カ月にわたってしまうという場面が発生してしまいます。そのため、「退職日は末日以外認めない」という原則を確立してしまうのは、避けた方がよろしいかと思われます。
さらに就業規則に定めがないのであれば、会社側が原則月末だと主張したとしても、法的には、退職の届出に記載されている退職日になります。
会社側から提示した退職日について、労働者の同意があれば変更も可能です(その際は、強制ではなく協力を仰ぐようなニュアンスを出しながら、退職日を末日への変更するよう促す方がより安全です)。
その際には会社の都合によって退職日がずれるわけですから、「会社都合」の退職となり、退職者にはむしろ有利に働く場合もあります(合意退職であれば「解雇」ではありませんので、会社側から解雇予告期間を設ける、または解雇予告手当の支払うなどの措置は必要ありません)。
また、末日にするということで、退職日の月の健康保険料・厚生年金保険料の社会保険料の負担は会社がすることになります。
法的には規定されていないとはいえ、退職者・企業側双方がしっかり話し合いをされた上で退職日の取り決めを行うことをお勧めします。
投稿日:2010/08/10 21:02 ID:QA-0022285
相談者より
投稿日:2010/08/10 21:02 ID:QA-0040922大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
退職日に関しまして制限を設けることに関しましては、民法第627条において雇用契約につき2週間前の申し出による解約の自由が認められていることからも妥当とはいえません。
加えて、末日以外の退職を認めないとなりますと、ご懸念の通り労働者を必要以上に拘束し、場合によっては職業選択の自由をも侵害する等大きな不利益を与えかねませんので、そのような違法性を問われかねない定めは置くべきでないというのが私共の見解になります。
ちなみに、業務引継や人員補充の観点から就業規則に30日前の退職申し出規定を設けて早期の申し出を促すことは差し支えないものといえますが、当人があくまで民法の定めに沿って14日後の退職等を主張される場合にはそうした民法の定めが優先するとした判例もございます。
従いまして、労使間のトラブルを避け気持ちよく退職してもらう上でも規定内容にこだわらず、相談の上で現実的かつ柔軟な対応をされることもまた重要といえるでしょう。
投稿日:2010/08/10 23:05 ID:QA-0022286
相談者より
投稿日:2010/08/10 23:05 ID:QA-0040923大変参考になった
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