妊娠中の従業員の働き方について
いつもこちらでお世話になっております。
今回は、妊娠が判明したスタッフの今後の働き方についてご相談させていただきたいです。
妊娠が判明した時(4週)から急につわりが始まり、急遽スタッフ全体のシフト調整や業務調整が必要になっています。
彼女の業務内容は、患者宅を訪問しての看護師業務です。(移動は自転車、自らが運転、運転手に運転してもらう、徒歩など)
体調不良との申告を受け急遽看護師全体のシフト調整を行い、最低限の訪問(ほとんど体を動かさない)と他はほぼ毎日内勤業務を行うように調整しました。また、残業や遅番も発生しないシフトに変更しています。
内勤業務は、各種書類やレポート作成、関連各所への連絡、院内外の電話でのやりとり、物品の管理や準備です。
しかしながら、体調が悪そうにしている姿を見て周りが過剰に気を遣ってしまい、管理者が訪問を代行してしまう、物品の準備をしない等あり、ほぼ1日中椅子に座って時間を持て余すような状態になっています。
管理者は、何かを指示して万が一流産などしてしまったら自分自身が責任を問われるのではないかと恐れて、「しない」ことに対して一切指摘をできないと言っています。
また、表現が非常に悪いのですが、本人が妊婦であることに胡坐をかくタイプのようで、「配慮してもらって当然」というような勤務態度となっていることから他の看護師のストレスが増しています。
日常生活程度の活動(ステーション内を歩く、物品を袋に準備する)ができない場合、傷病手当を利用して安定するまでお休みしてもらうなどの提案はこちらからできるものでしょうか。
それとも「診断書が出ていない限り、与えられた業務を行ってほしい」と伝えてしまってよいものでしょうか。
もちろん過度な要求をする意図はありませんが、どこまで周りが配慮すべきか分からずとても困っています。
ご意見をいただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/24 13:54 ID:QA-0152873
- 困った人事さん
- 東京都/医療・福祉関連(企業規模 11~30人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
妊娠=就労不能ではないため、「診断書なしで特別な就業制限を希望する場合は、本人と話し合いの上で業務調整」を行います。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
原則、妊娠=就労不能ではないため、「診断書なしで特別な就業制限を希望する場合は、本人と話し合いの上で業務調整」を行います。
しかし、日常生活に支障があるレベルのつわりなどがある場合は「病気」とみなされ、診断書の有無が重要な判断材料になります。
2.法的・制度的な観点
(1) 母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)
医師が妊婦の就業制限を必要と判断した場合、このカードで勤務の制限・業務内容変更・通勤緩和などを事業主に指示できます。
これがない場合は、あくまで本人の申告レベルにとどまるため、「業務の一部免除」や「勤務時間調整」は事業主の裁量となります。
したがって、「診断書(または母健連絡カード)なしで現業をほぼ免除したまま勤務継続する」状況は、周囲の不満や業務の不均衡を引き起こすリスクが高いと言えます。
(2) 傷病手当金の対象
妊娠や出産そのものは病気ではありませんが、重度のつわり(妊娠悪阻など)により労務不能と医師が診断した場合は対象になります。
このため、「出勤できるが何も業務できない」という状況が継続する場合、医師の診断を得て休職・傷病手当の利用を検討するのが自然な流れです。
3.実務上の対応ステップ(おすすめ)
STEP1:医師の意見をもらうように依頼する
「現在の勤務状況について、医師の判断(母健連絡カードや診断書)をいただけますか」と本人に説明
「このまま本人の体調を尊重したまま出勤を継続するか」
「休職等の判断を医師に仰ぐか」
を検討するため、医学的な裏付けが必要であると伝えてください。
※この段階で責任を事業主側が背負うのではなく、医師の判断に基づいて対応する姿勢が重要です。
STEP2:業務内容の明確化と説明
「妊娠を理由に業務全体を免除する意図はない」ことを明示的に伝える。
例えば、以下のような表現が有効です。
「会社としても可能な限り配慮をしていきたいと考えています。ただし、医師からの制限指示がない場合には、本人の体調を考慮しつつも一定の業務はお願いしたいと思っています。体調が優れず業務遂行が難しい場合は、医師の診断や指導の下で休職も視野に入れていくことも含め、相談させてください。」
STEP3:職場全体への配慮とケア
他の職員の不満やストレスもケアしながら、「配慮」と「職務遂行のバランス」について定期的に見直しを行うようにしましょう。
管理者に対しては、「責任を恐れてすべて免除にするのではなく、医師の診断をもとに判断できる体制を整える」ことが重要であると指導します。
4.まとめ
項目→ポイント
本人の申告→体調悪化は尊重すべきだが、業務免除の判断には医学的根拠が必要
診断書の有無→診断がない場合は、一定の業務をお願いすることに問題なし
傷病手当金→医師により「就労困難」と判断された場合に申請可
職場対応→医師の意見を軸に、公平性と配慮のバランスを取る
管理者の不安対策→医師の指示があれば責任を背負い込む必要なし
以上です。よろしく、お願いいたします。
投稿日:2025/05/26 09:56 ID:QA-0152901
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。
理路整然とまとめられており、大変参考になりました。
妊婦であるスタッフに配慮しながらも、他のスタッフや組織の運営についても考慮しながら判断をしていきたいと思います。
また、雇用主の判断でなく、産科の主治医の判断を軸にして今後の就労について決定していくことはトラブルを回避し、公平性を保てる方法ですので是非そのようにしていこうと思います。
改めましてありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 10:53 ID:QA-0152924大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、実際に体調不良を度々起こすようでしたら、業務への支障のみならず母子の健康配慮の観点からも休職を指示されるべきといえます。
つまり、当人の希望であっても妊娠中で勤務をされる事が認められるのはあくまで体調に問題が無い場合ですので、妊娠差別等と勘違いして無理と思われる勤務を続行させる対応については、まさに本末転倒といえるでしょう。
投稿日:2025/05/26 09:57 ID:QA-0152902
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。
定期的に本人との話し合いや、主治医の産科の先生の判断を仰ぎながら進めて行こうと思います。
投稿日:2025/05/26 10:50 ID:QA-0152923大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
業務への支障可否、どの程度の業務負荷が適切なのかにつきましては、
専門家である、医師の指示に従うことを優先的に考えられた方が宜しい
かと存じます。
現に悪阻等の体調不良が生じているようですので、貴社としても
体調不良の程度については、母性保護の観点からも一定の把握が必要です。
まずは、貴社としては、対象社員の方の身体を第一に危惧していることを
お伝えの上、どの程度の業務上の配慮が必要なのかを、かかりつけ医より
書面で提出を行っていただき、そちらの結果を受けて、業務負荷の調整、
場合によっては休職指示の判断をされるのが最も適切かと存じます。
医師の指導に基づき、会社が適切な配慮をしている限り、会社側の責任は
問われません。又、医師の見解がない状態では、会社としても適切な判断も
難しいものと思案いたします。
投稿日:2025/05/26 10:39 ID:QA-0152913
相談者より
ご回答ありがとうございました。
まずは主治医の意見を確認し、本人との話し合いを進めて行こうと思います。
投稿日:2025/05/26 11:32 ID:QA-0152935参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
妊婦対応と放置は別物ですので、気を遣うということではなく、安全配慮義務は当然であって、そのための内勤指示であれば、業務に支障があった時点で業務継続を話し合うべきでしょう。
本人ができるなら、体調不良時どうするかなど、業務分掌が明確化できていないため、そのしわ寄せが他社員に行ってしまっている状況です。
一方的な命令では買う、本人の確認を取ることが重要なので、しっかり話し合って下さい。また本人が(勤務)できると言っていても、できない時はどうするかまで決めておくべきでしょう。
投稿日:2025/05/26 10:45 ID:QA-0152914
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 11:31 ID:QA-0152934参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
本人が妊婦であることに胡坐をかき、「配慮してもらって当然」というような勤務態度であれば、他の看護師のストレスが増すのも当然といえます。
この状態が継続することで、業務効率の低下、職場環境の悪化、引いては他の看護師のモチベーションの低下といった懸念が増幅されていく可能性は否定できないでしょう。
日常生活程度の活動(ステーション内を歩く、物品を袋に準備する)でさえできないという状態を鑑みれば、休職の提案をすることは合理的であるといえます。
「診断書が出ていない限り、与えられた業務を行ってほしい」と伝えること自体は問題はありませんが、体調の良し悪しは本人にしかわからないので、本人の健康と安全に配慮するのであれば、休職を奨めるほうが賢明ではないかと考えます。
投稿日:2025/05/26 11:08 ID:QA-0152929
相談者より
回答ありがとうございます。
仰る通りです。
この状態になってからまだ1週間程度ですが、他看護師のストレスが溜まっています。
本人は生活費が必要なこともあり休職は希望しませんが、座っているだけだと完結しない業務が多すぎるためこの状態を継続するのは難しいと感じているところです。
頂いた回答を参考に話し合いをすすめようと思います。
投稿日:2025/05/26 12:00 ID:QA-0152937大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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