割増賃金の基礎となる賃金項目について
標記の件についてですが、弊社では労働に付随する手当が数多く存在しております。
①現在、社内給与規程では、割増賃金の基礎となる項目は、基本給、役職手当、住宅手当(住宅状況に応じて定額支給の為)を基礎としておりますが、その他にも営業手当(営業職担当の者)、営業推進手当(営業職担当かつ管理職)等の【業務内の担当に応じて毎月固定で支給される手当】が複数存在しているのですが、こちらについては、割増賃金の基礎となるのでしょうか?
②厚生労働省のHPや労働基準法第37条を確認すると、「除外できる賃金」は詳細に記述されておりますが、「参入しなくてはならない賃金」については、明確な記載がございませんでしたので、各会社により手当の名称や手当の主旨(個人の事情に基づくのか、労働に関係して支給される手当なのか等)も変わってくると思いますので、今後弊社で手当新設等になった場合、一般的な「参入しなくてはならない賃金」を考える際、参考になる定義の様なものがあればご教示いただけますと幸いです。
以上、2点となります。
ご回答のほどお願いいたします。
投稿日:2024/04/30 15:39 ID:QA-0138117
- めひかりさん
- 福島県/銀行業(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
割増賃金の基礎について
厚生労働省のリーフレット(下記参照)にも記載のとおり、以下の1~7に該当するもの以外は全て割増賃金の基礎に含める必要があります(限定列挙)。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001159457.pdf
1. 家族手当
2. 通勤手当
3. 別居手当
4. 子女教育手当
5. 住宅手当
6. 状況に応じた臨時的な賃金
7. 1ヶ月以上の期間ごとに支払う賃金
また、手当の名称が1~5に該当しても、一律に支給されるようなものは割増賃金の基礎から除外することができません。
したがって、ご質問にあるような業務内の担当に応じて毎月固定で支給される手当は全て割増賃金の基礎となります。
手当を新設する場合も同様の考え方となります。
投稿日:2024/04/30 17:02 ID:QA-0138119
相談者より
迅速なご回答ありがとうございました。
もう一点ですが、前述した手当を「割増賃金の基礎に含めなくてはいけない」というのは、労働基準法に基づいて含めなくてはいけないという認識でよろしいでしょうか?
含めない場合、労働基準法違反に該当して調査が入った場合、何かしらの処罰対象に該当してしまうのでしょうか?
投稿日:2024/04/30 17:13 ID:QA-0138121大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
1.全て割増賃金の基礎となります。
2.除外できる賃金だけを限定列挙してますので、
除外できる賃金以外は全て割増賃金の基礎となるとお考えください。
投稿日:2024/04/30 18:26 ID:QA-0138131
プロフェッショナルからの回答
追加の質問への回答
労働基準法第37条の定めによります。
残業代の不払いは労働基準監督署からの是正勧告の対象となり、過去に遡っての支払や対策の実施が求められます。
度重なる指導にもかかわらず法違反の是正が行われない場合など、重大・悪質な事案については刑事罰の対象となる可能性があります。
投稿日:2024/04/30 19:10 ID:QA-0138134
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、1につきましては、2と関連しますが、割増賃金の算定基礎額に含まれる扱いとなります。
2につきましては、「除外出来る賃金」以外は原則全て「算入しなくてはならない賃金」となります。つまり、前者についてはご周知の通り詳しい説明がなされていますので、それに該当しなければ算入が必要になるものといえます。
投稿日:2024/04/30 23:10 ID:QA-0138143
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
割増賃金の計算に際しては、「通常の労働時間または労働日の賃金」が基礎になり、この「通常の労働時間等の賃金」から除外できる手当は法定されております。
労働に関係のない個人的事情に基づいて支払われることから、計算の基礎にいれると割増賃金の額に不均衡生じる、計算技術が困難である、というのが除外理由になります。
除外できる手当であっても、名称にかかわらず実質で判断されますので、例えば、物価手当、生活手当等の名称であっても、扶養家族の有無、数によって算出される手当であれば、家族手当に該当し計算基礎に含める必要はありませんが、扶養養家族数に関係なく一律に支給されている場合や、基本給に応じて額が決まっている場合は、家族手当には該当せず、割増賃金の計算基礎に含める必要があります。
通勤手当であっても、距離に関係なく支払われる部分がある場合は、その部分は算定基礎に含める必要があります。
住宅手当に関していえば、賃貸住宅居住者には家賃の一定割合、持家居住者にはローン月額の一定割合を支給するもの、家賃(及びローン)月額が5万から10万円の者には2万円、同10万円を超える者には3万円を支給するもの、といった場合は算定基礎から除外できますが、賃貸住宅居住者には一律2万円、持家居住者には1万円を支給するもの、扶養家族がある者には2万円、ない者には1万円を支給するもの、全員に一律一定額を支給するもの、であれば計算基礎から除外できないというのが、行政の解釈になります。
営業手当(営業職担当の者)、営業推進手当(営業職担当かつ管理職)に関していえば、これらが「営業職の技能および営業実績に対する手当」、といった趣旨で支給しているのであれば、これらの手当は割増賃金としての性格を持つものではなく、「通常の労働時間または労日の賃金」であり、法所定の除外賃金(限定列挙)のいずれにも該当しないため、割増の基礎に算入する必要があります。
今後、御社におきまして手当新設等になった場合、計算基礎に算入すべきか否かは、基本的には7つの限定列挙に含まれるか否かが基本的な考え方になりますが、あくまで実質で判断することになり、上記行政通達の考え方が参考になると考えます。
投稿日:2024/05/01 08:59 ID:QA-0138152
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