就業規則や給与制度において留意すべき点
[前提]
所定時間:9:00~17:30
休日: 土、日、祝祭日、年末年始(12/30~1/5)
[質問]
1.社員が時間外や休日などに常に連絡を受けられるように待機状態にある
場合、就業規則、給与支給において『待機手当』等を支払う義務がある等、
留意すべき点を教えてください。
関連事例や法令もあわせて教えてください。
2.社員が上記1の待機状態から連絡を受け、作業を行った場合、
就業規則、給与支給において『呼出手当』等を支払う義務がある等、
留意すべき点を教えてください。
関連事例や法令もあわせて教えてください。
3.上記2のとき、作業を行った場所が「自宅」、「自社」、「客先」等の
違いで就業規則、給与支給において留意すべき点を教えてください。
関連事例や法令もあわせて教えてください。
投稿日:2008/03/05 20:33 ID:QA-0011676
- *****さん
- 神奈川県/情報処理・ソフトウェア(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
時間外や休日における待機及び呼出への対応
■ご質問の「呼出待機時間」が労基法上の労働時間に当たるかどうかについての定義規定はありません。参考判例は「労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、(実際に)労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である」としています(三菱重工長崎造船所事件最高裁・第一小法廷・平成12. 3. 9判決)。
■要は、「労働からの解放の保障の有無を実質的に検討して判断せよ」ということで、呼出の頻度があまり高くなければ、「対応問題が発生した際には電話または客先に出向いて対応する」ことが労働契約上義務付けられていても、場所的拘束は緩やかであると解され、呼出待機は使用者の指揮命令下にあるとはいえず、労働時間に該当しないと解されます。具体的基準が示されていませんので、御社(必要に応じ労働者代表との協議を経て)にて決定していただくことになります。
以上を踏まえてご質問をレビュー致します。
① 待機義務が実質的に社員を場所的にどの程度強く拘束するによって判断してください。なお、参考判例が出された時期に比べ、携帯電話の爆発的普及による場所的拘束の低下を考慮する必要があります。それでも、待機する社員の自由をある程度拘束することになる(遠距離に出かけられない、酒量などが制限されるなど)ことから、何らかの金銭的補償は妥当だと思います。
② 待機期間中に連絡を受け、作業を行った場合は、まず当然「時間外労働賃金」の支払いが必要になりますが、それ以外に、呼出の都度、支給する呼出手当は、多分に待機手当や割増賃金と重複する部分もあり、両手当の平行支給には慎重な検討が欲しいところです。呼出に関わる時間外、休日労働に限り、所定の割増賃金の割増率を引上げ適用するのも選択肢の一つでしょう。
③ 作業を行った場所は、移動に要する交通費の支給、時間外労働に開始及び終了時点の取極めが明白にされていれば、特に留意すべき点はないと思います。
■なお、支給するとした場合の金額についても、「ほとんど労働をする必要のない勤務」に対する労基局長通達による賃金の基準くらいしか、参考にできるものは見当たりません。
投稿日:2008/03/06 19:52 ID:QA-0011688
相談者より
ご対応有難うございます。
参考になりました。
投稿日:2008/03/07 09:53 ID:QA-0034691参考になった
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