他社にない事業を手がけ、
困っている顧客に寄り添い続けて40年
絶大な信用を誇る朝日新聞との提携で次のステージへ
株式会社学情
中井清和さん
人の一生と企業の命運がかかっている仕事、そこに正義はあるか
人材ビジネス業界、とりわけ採用関連業界の現状については、どのように見ていらっしゃいますか。今後、この業界はどうあるべきでしょう。
残念ながら、業界としての秩序が伴っていない状態と言わざるをえません。事業を目先の利益やシェアの奪い合いとしか考えず、そのためには手段を選ばないような企業が多すぎるのです。業界のリーダーであるべき大手企業からして、そうなんですから。他の業界では、大手がリーダーシップを発揮して企業倫理を確立し、業界全体の秩序を守っています。われわれの業界は、そうなってはいないのです。本来、この仕事には正義がなければいけません。その部分でも、弊社が引っ張っていけたらと思っています。
一方、企業の人事部門についてはいかがですか。
採用については、みなさん血眼になっていますが、採用してから後の、育成や定着といった部分については、まだ取り組みが遅れているのかなと思います。今後は、むしろそこが重要になってくるのではないでしょうか。たくさん採用しても、まるでザルのように、3年で3割の若者が辞めてしまう。深刻な労働力の減少が懸念される中で、そんな人材の無駄づかいをしている余裕はありません。
昭和30年、40年代にも人手不足の時代はありました。企業はこのとき、寮を作ったり、運動会を開催したり、あるいは終身雇用制を導入したり、人を定着させる努力を惜しみませんでした。そうしてある程度時間をかけて、人を育ててきたわけです。そういう歴史に学ぶことも、必要でしょう。人を大事にしない会社に、未来はありません。私自身が起業する契機となったリストラのことを思い出しても、やはりそういう思いは強いですね。
御社の今後の展望をお聞かせください。
昨年度、弊社では国から、来日している外国人留学生のための就職支援対策事業を受託しました。留学生の場合、ある程度日本語を話せますし、できれば日本で就職したいわけです。そうしたニーズを、人材不足に悩む日本企業につなげていく仕組みが作れないかと考えています。いわゆるグローバル人材採用事業です。インターネットの就職情報サイトも現在は日本語だけですが、これを多言語で展開していけば、外国の学生も日本の企業やビジネスに関心を持ち、理解を深めていくでしょう。
それともう一つ。弊社では、有給・報酬ありの長期インターンシップ情報に特化した「インターン・ジョブズ」という新しいサイトを立ち上げました。報酬を得て、成長しながら企業や仕事を学びたい学生と、その学生を戦力としてしっかり見極めたい企業とをつなぐサービスで、特に海外の有名なグローバル企業にも積極的に声をかけているのが特徴です。フランスのソシエテ・ジェネラルとか、スイスのUBSとか――国内は働く側も、雇う側も先細りのイメージですが、世界にはまだまだ大きなニーズがある。そこへチャレンジしていきたいですね。
ありがとうございました。では最後に、人材ビジネスに携わっている、あるいは携わろうとしている読者の方々、また起業を志す後進の方々へ、メッセージをお願いします。
私が独立を迷っているとき、会社経営をしている、私のおじがこんなことをいいました。「『棚からぼたもち』ということわざがあるが、あれは、黙っていても棚からぼたもちが落ちてくるという話ではない。棚の上にはたしかにぼたもちがあるけれど、下から見上げていても、それは見えない。実際に自分で手を伸ばして初めて、それがあるとわかる。自分で行動を起こせば、ぼたもちは必ずあるんや」と。だから、チャレンジしてみろ、というわけです。その言葉に、すごく勇気づけられました。やらずに後悔するより、たとえ失敗しても、やって後悔するほうが幸せだと思いますし、私の経験から言うと、必ずやっていけるものです。世の中、そんなに捨てたものではありません。棚の上にはぼた餅が必ずある。だけど、それが落ちてくるのを待っていてはダメなんです。自ら手を伸ばして取りにいかなければいけません。
社名 | 株式会社学情(英文:GAKUJO Co.,Ltd.) |
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本社所在地 | 大阪市北区梅田2-5-10 学情梅田コンパス |
事業内容 | 【人材関連サービス】 新卒採用事業、第二新卒・中途採用事業、人材紹介・派遣事業 【広告関連サービス】 一般広告メディア取り扱い・制作、各種SPツール制作 |
設立 | 1977年11月 |
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。