働き方改革から学び方改革へ
キヤノンが実践する人生100年時代に
必要な「変身力」の育て方
須藤由紀さん(キヤノン株式会社 人事本部 人材・組織開発センター 人材開発部長)
山田修さん(キヤノン株式会社 人事本部 人材・組織開発センター 技術人材開発部長)
小さな波を着実に起こし、いずれは大きなうねりに
キャリアサポート体制の強化、研修型キャリアマッチング制度、学び方改革、教え方改革などの取り組みを行うなかで、見えてきた課題はありますか。
山田:研修型キャリアマッチング制度を立ち上げてから3年が経ちましたが、まだまだ一部の職種に限られているのが現状です。今はソフトウェアエンジニアへの転向に使われていることが多いのですが、それ以外の職種にも広げていきたいと考えています。新たな技術が日々生まれているので、新しい職種も今後どんどん生まれるでしょう。可能性を狭めることなく、人材を育成していきたいです。
キヤノンは、チーム力が非常に強い会社だと思います。カリスマ的な存在が引っ張っていくのではなく、チームとしての力を上げていくことで総合力を発揮します。扱っている製品を見渡すと、入力から出力まで幅広い領域で、画像や映像を扱っています。つまり、会社はいろいろな技術・専門性を持った人たちが集う場になります。今でも社内連携は活発で、部門横断活動や委員会など横のつながりがあり、それがキヤノンの強みになっています。これからも、強固なチーム力を磨いていきたいですね。
須藤:学び方改革と教え方改革についてはまだ発展途上で、改善の余地があると思っています。コンテンツももっと良いものにできますし、社内での認知度がすごく高いとは言えません。社員が求めているものに耳を傾けながら、また、キヤノンの社員がどのようなスキルを持っていてほしいのかを整理しながら、さらに拡大させていきたいですね。
一連の取り組みのなかで、社内の空気感や社員の主体性などに変化は見られましたか。
須藤:会社全体を包み込むような、大きな波にはなっていないのが現状です。けれども、小さな波は確実に起こせています。影響範囲はまだ小さいかもしれませんが、届いている層からは非常にポジティブな反応があります。研修型キャリアマッチング制度に関しても、利用者からは「自分の可能性が広がった」「進みたい方向性が明確になった」という声が聞こえてきます。小さな波は、いずれ大きなうねりに変わっていくと期待しています。実際に変身することで職業人生を豊かにさせている人の声が周囲に伝播して、次の応募や学びにつながっていくことを期待しています。