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となりの人事部
日本の人事部「HRアワード2016」受賞者インタビュー
第76回 株式会社リクルートホールディングス

働く場所を従業員自らが選ぶ「リモートワーク」
働き方の選択肢を増やすことが、
個人の能力発揮と会社の成長につながる(前編)

株式会社リクルートホールディングス 働き方変革推進室 室長 林 宏昌さん
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ITツールとコミュニケーションが課題

―― 実証実験によって、どのような結果が出たのですか。

実証実験参加者のうち、実に、88%と9割近い人から「リモートワークには期待感が持てる」という回答を得ました。私自身も、新しい働き方への期待を強く感じました。実験を通じて、「この会社で働き続けたいと思う気持ちが強くなった」など、ロイヤリティが向上した人も多くいました。従業員にとってのメリットは、かなり早いタイミングから現れていたように感じます。

生産性の向上については、半分以上の人が「高まった」と回答しています。その理由の第1位は「集中できたから」、第2位は「通勤などの移動時間がなくなったため、時間を有効活用することができたから」。私としては、第2位の理由はある程度想定していましたが、第1位は意外な結果でした。毎日長い時間、通勤電車に揺られて出勤してきて、オフィスに来てもいろいろな人から話しかけられるなど、なかなか集中して仕事をすることができない現実があったわけですが、「リモートワーク」によってそれが払拭されたようです。

一方、課題として大きいと感じたのは、ITツールとコミュニケーションです。特に、ITツールに関しては、実際にやってみて分かった点がいくつかあります。例えば、ネットワーク環境が十分でなく、テレビ会議を問題なくできる状態ではなかったこと。若手社員の中には、家にインターネットを引いていない人もいます。その場合、スマホのテザリングで対応するなど、IT環境としては十分と言えません。また、オフィスでは大きなデスクトップの画面で仕事をしていても、家ではノートPCやタブレットを使用するため画面が小さくなり、エクセルなどのデータを扱うのに手間取ることもあったようです。そのような場合は、大きなディスプレイを貸し出すなどして対応しました。

通常の業務に関するコミュニケーションはどこにいてもできると考えましたが、問題は日常的な会話(雑談)をどうするかでした。これまでリクルートでは、相談したい人のところに行って雑談をしたり、立ち話をしたりすることをとても大事にしてきた文化があったからです。実際、「リモートワーク」を行うことによって、半数以上の人が「雑談が減った」と回答していますが、一方で18%の人たちが「コミュニケーション量が増えた」と回答しています。オフィスに週3日~4日いなくなったのに、なぜコミュニケーションが増えたのか。それは「チャット」を行っているからです。チャットの軽い感覚で会話をしていると、オフィスにいる時よりもコミュニケーションが円滑になり、それぞれが何をやっているのかがよく分かるというのです。

株式会社リクルートホールディングス 働き方変革推進室 室長 林 宏昌さん

―― つまり、特に大きな問題はなかったということですか。

今回、課題となったITツールとコミュニケーションについて言うと、順次対策を行い続けることで、乗り越えることのできないクリティカルなものはありませんでした。対策の一環として、サテライトオフィスを設置しています。現在、他社と提携する形で東京近郊に約35ヵ所のサテライトオフィスを用意し、長い通勤時間をかけてオフィスに出社することなく、家の近くにあるサテライトオフィスで働くことができる環境を設けています。

まず実証実験をやってみて、具体的な課題が出てきたら、それに対応する。実際にクリティカルな問題が出てきたら、一度止めるか、縮小すればいい。もちろん、細かな点を見ていけば課題はいろいろとあります。大事なことは、それらをすべてオープンにして、乗り越えるために常に皆とコミュニケーションを取ること。そして、必要な対策を順次打っていくことです。


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