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「自社の従業員の副業支援」と「外部の副業人材の活用」が企業を活性化する!
「副業支援サービス」の傾向と選び方

「副業支援サービス」の傾向と選び方

多様な働き方が人材と企業を活性化するという認識が浸透しつつある中で、自社の従業員の副業を支援する企業や、外部の副業人材を活用する企業が増えています。「越境学習」や「パラレルキャリア」というキーワードも飛び交うようになり、副業のメリットは労働者と企業の双方において広がりを見せています。

そこで『日本の人事部』では、副業に関するトレンドをまとめました。副業に取り組む外部人材を活用するときの注意点や、副業を支援するサービスの種類・選び方も解説します。

副業とは

副業とは

本業以外の仕事で収入を得るのが「副業」です。まずは、混同されやすい「兼業」「複業」との違いや副業のトレンド、副業支援による企業側のメリットを見ていきます。

副業・兼業・複業の違い

副業・兼業・複業の違いは、以下のように整理できます。

いずれも本業以外に収入を得るという点では共通しますが、それぞれの言葉には微妙なニュアンスの違いがあり、仕事の優先順位や目的によって使い分けられています。

副業
  • 本業のほかに副次的に収入を得る仕事
  • 収入、労働時間ともに本業よりも少ない
兼業
  • 本業のほかに仕事を持つこと。複数の仕事に対して優先順位をつけない意味合いで使われることが多い
  • 企業に所属しながら、自らも経営者として事業運営する場合にも使われる
複業
  • 副業を含む社外活動に対して使われる、より広い概念
  • 第二のキャリアを築くパラレルキャリアでは複業と表現されることが多い

日本における副業の歴史

日本では、副業についてどのような変遷をたどってきたのでしょうか。

かつての日本では終身雇用が主流であり、副業はタブー視されていました。副業という言葉が浮上するきっかけとなったのは、2008年のリーマンショックです。経済活動において多大な影響を受けたことから、従業員の生活を守ることを目的に大手企業を中心として副業を容認する動きが見られました。

副業が本格化したのは、働き方改革の推進です。2018年に厚生労働省のモデル就業規則が改訂され、「副業・兼業」という章が設けられました。そのため、2018年は「副業元年」と呼ばれています。これを機に一気に副業解禁ムードが高まると同時に、クラウドソーシングサービスが台頭。副業を行いやすい環境も整い始め、副業推進を後押ししました。

コロナ禍の2020年には、副業のニーズがさらに加速します。将来のビジネス環境への不安から、企業側では固定費削減を検討する動きが見られ、同時に労働者側では収入源を確保したいというニーズが高まり、これまで副業に積極的でなかった企業においても取り組みが進みました。

副業の直近トレンド

企業側の直近トレンドを見ると、みずほフィナンシャルグループの副業に関する人事制度導入や、キリンホールディングス、全日本空輸の副業解禁など、大手企業で副業を認める動きが進んでいます。

また、ライオン、ダイハツ工業、ヤフーでは副業人材の募集を行っており、外部の優秀な人材を求めるニーズも高まっています。カルビーでは、EC事業を担う「副業人財」を募集して話題を呼びました。

一方、副業を支援するサービスも広がりを見せています。クラウドソーシングを始めとする副業人材のマッチングサービスでは、職種やスキルマッチのほか、隙間時間を利用した「スポットバイト型」や、中長期的に副業人材として従事する「副業社員型」のサービスも登場しています。

このほか、副業制度設計支援や確定申告支援など、副業を認める企業と副業人材をサポートするサービスも増えています。

従業員の副業を支援するメリットとは

従業員の副業を支援することで、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。

キャリア自律の促進

キャリア自律とは、従業員自らキャリア開発を行うことをいいます。従業員が主体となって自身の成長のために動き始めれば、企業へのリターンも大きくなります。副業は、従業員が自分のキャリアを考えたり磨いたりする、良い機会となります。

優秀人材の流出防止

副業を許可することで従業員のモチベーションが高まれば、優秀人材の流出防止につながります。また、副業を支援している企業は好意的なイメージを持たれる傾向があるため、採用活動でのアピール力向上も期待できます。

事業・組織の活性化

従業員が副業で得たスキルや人脈が自社に還元されることで、イノベーション創出や組織の活性化が期待できます。新たな取引先や事業パートナーが見つかるケースもあり、事業拡大につながることもあります。

「自社の従業員の副業」を支援する外部サービスとは

「自社の従業員の副業」を支援する外部サービスとは

副業ニーズの高まりを背景に、現在ではさまざまな方面から副業を支援するサービスが提供されています。ここでは、自社の従業員の副業を支援するためのサービスの種類と利用するメリットを見ていきます。

副業支援サービスの種類

副業を支援するサービスは、副業人材のマッチングサービスと、副業する従業員を支えるサービスとに大別されます。サービスの特徴によって、以下のように整理できます。

▼副業マッチング支援
形態 特徴
再委託型
  • 企業から業務の委託を請け、副業人材に再委託する形態
  • 人材仲介会社、クラウドソーシング、システム会社などがある
あっせん型
  • 企業と副業人材との間で仕事の斡旋を行う形態
  • 人材仲介会社などがある
プラットフォーム型
  • 委託業務の募集から締結までを行うプラットフォームの形態
  • クラウドソーシング、シェアリングエコノミーなどがある
メディア型
  • 業務委託する募集案件を発信できるメディアの形態
  • インターネット上の募集広告、SNSなどがある
参照:経済産業省 関東経済産業局|外部人材活用ガイダンス
▼副業する従業員の支援
形態 特徴
バックオフィス支援
  • 副業によって発生する会計・税務、法務・労務などをサポートする
コミュニティ支援
  • 副業する人に特化した、仲間や案件を獲得したり情報を共有したりするコミュニティ運営

副業支援サービスを利用するメリット

副業支援サービスは企業側、副業を行う従業員側の双方にメリットがあります。具体的には、以下のようなことが挙げられます。

企業側のメリット
  • 自社の事情に合わせた形態での契約をスムーズに行える
  • 自社が求める副業人材とのマッチングを図れる
従業員側のメリット
  • 多くの情報を得ることにより副業の選択肢が広がる
  • 得意分野や条件などに合わせ、求める副業を簡単に探し出すことができる
  • 副業で起こった問題やトラブル、困りごとをサポートしてくれるサービスもある

「副業を行う外部人材」を活用するメリットと注意点

「副業を行う外部人材」を活用するメリットと注意点

副業を解禁する企業が増えたことで、市場にはさまざまなスキルを持った副業人材が増えています。外部人材を活用するメリットと注意点を見ていきましょう。

外部人材を活用するメリット

外部人材を活用するメリットには、以下のことが挙げられます

自社にないスキルを活用できる

外部人材の中には、専門分野において高いスキルを持つプロフェッショナルが多数存在します。自社にないスキルやノウハウを即取り入れることができる点は、大きなメリットです。専門性が必要な新規事業やプロジェクトの立ち上げに活用すれば、時間とコストの両面でメリットを得られます。

人件費の調整をしやすい

必要なタイミングに必要な業務のみを委託できるため、人件費の調整をしやすいというメリットがあります。環境の変化が激しい今、人件費を変動化できることは企業にとって大きな利点です。

従業員の過重労働を防ぐ

長時間労働を防ぐ必要がある現在では、従業員の業務負荷の軽減と生産性向上は多くの企業が抱える課題です。外部人材を活用すれば、たとえばルーティン業務を外部人材に委託し、従業員はコア業務に集中させるといったことが可能になります。従業員の過重労働を防ぎ、生産性向上に役立てることができます。

正規雇用のお試し期間として活用

採用したものの、マッチング度合いが今ひとつだったというリスクは常についてまわるものです。まずはお試し期間を設けて、企業側・労働者側ともに相性を確認してから長期的な雇用関係を結ぶという方法もあります。とくに重要なポジションへの採用では、二の足を踏みがちです。副業からスタートすることで、双方にとってメリットがあるといえるでしょう。

外部人材を活用する際の注意点

外部人材の活用では、注意すべきことがいくつかあります。うまく活用できるよう、事前に以下の点を確認しておきましょう。

募集要件の定義

外部人材に業務を委託する方法は、大きく次の3タイプに分かれます。

▼業務委託の種類
形態 特徴
タスク型 作業内容や納品物、期間を明確に定める
例)バナーやロゴのデザイン、翻訳、ライティングなど
プロジェクト型 業務範囲や成果物を明確にし、おおよその期間を定める
例)システム開発、キャンペーン実施など
ミッション型 ミッションに基づいた役割を遂行する
例)ブランディング、採用~育成の人材開発など

参照:フリーランス協会|独立・副業の手引き

募集要件には以下のような内容を盛り込み、後々にトラブルとならないよう、事前にしっかりすり合わせておくことが肝要です。

<要件の例>

  • 求めるスキルや経験
  • 業務内容や成果物(期待する役割や納品物のレベルなど)
  • 報酬(報酬額、諸経費、支払期日、支払方法など)
  • 契約期間または納期
  • 契約条件(就労場所、利用ツール、知的財産権など)

コミュニケーションにおける注意点

外部人材とのコミュニケーションでは、報告や相談が迅速にできる体制を作り、情報共有を密に行うことがトラブルを回避するポイントです。コミュニケーション手段は、対面のほか、メールやビジネスチャット、ビデオ会議といったデジタルツールの活用があります。自社に適した方法を選択し、コミュニケーションロスによる認識のズレを防ぐことが重要です。

リスクへの対応

外部人材を活用する際のリスクとして挙げられるのは、情報漏えい、納品遅延、権利侵害などです。これらのリスクを回避する方法として、守秘義務を徹底するための秘密保持契約や賠償責任保険への加入といった対策があります。また、初めての依頼では重大な案件を任せないようにするなど、スモールスタートによるリスク回避もひとつの方法です。

副業支援サービスの選び方・比較ポイント

副業支援サービスの選び方・比較ポイント

ここでは、副業を行っている外部人材を探せる副業マッチングサービスに焦点をあて、選ぶときのポイントと利用時の注意点を見ていきます。

副業マッチングサービスの選び方

副業マッチングサービスは年々増加しており、現在では、さまざまな角度から自社が求める外部人材を探せるようになっています。選び方のポイントとして、以下を参考にしてください。

提供形態は自社に合っているか

副業マッチングサービスには、仲介事業者が介在する「再委託型」、業務内容に応じて人材を紹介する「あっせん型」、募集から契約締結まで直接行える「プラットフォーム型」、募集広告を掲載して外部人材を募る「メディア型」の4タイプがあります。

課金方法では、以下のいずれかのパターンを採用していることが多くなっています。

<課金方法のパターン一覧>

  • 仲介料:マッチングが成立したときに仲介事業者に対して支払う費用
  • 利用料:サービスへの登録時にかかる場合と、委託する業務内容や報酬に応じて利用料が発生する場合とがある。付加サービスを利用した場合に、オプション費用が発生するサービスもある
  • 掲載料:マッチングの成立にかかわらず、募集内容を掲載した場合に支払う費用

提供各社で特徴や課金方法が異なるため、サービス内容をよく理解して、自社に適した選択をすることが重要です。

人材データベースは自社に適しているか

外部人材活用のニーズが高まり、現在では多様な視点や基準を用いて人材データベースを構成しているサービスが増えています。

総合型をはじめ、IT系、クリエイティブ系、人事系、EC系などの職種・業界に特化したサービスや、秘書・アシスタント業務などを時間単位で契約できるサービスもあります。自社が求める人材データベースとなっているかをしっかり確認しておく必要があります。

必要なサポートを受けられるか

外部人材への委託に慣れていない、またはトラブル時の対応が懸念される場合は、サポート体制についても確認しておきましょう。とくに業務委託の経験がないという場合は、要件定義や契約締結でつまずくケースが多く見られます。

スムーズな契約や外部人材をうまく活用するコツを知りたいという場合は、サポート内容もチェックしておきたいポイントです。

外部のサービスを利用する際の注意点

外部の人材であっても、事業や組織への共感や信頼を持てるかによって、そのパフォーマンスは左右されるものです。仕事を依頼する際は、自社が目指しているビジョンや依頼するうえでの期待値もしっかり伝えることが重要であり、ミスマッチを防ぐポイントとなります。

また、自社の従業員に対しても外部人材を活用することへの理解を促し、受け入れ体制を整えておくことが必要です。

「副業支援サービス」を提供する
全国のソリューション企業一覧

マッチングサービス

クラウドソーシング

コンサル・顧問

ギグワーク

スキル・時間販売型

営業

オンラインアシスタント

その他

変化に強い組織をつくるために

従業員の副業を支援することは、エンゲージメントの向上、生産性向上など企業にとって大きなメリットをもたらすことが期待されます。また、外部の副業人材を受け入れることは、人材獲得競争が激しい現在において、企業の成長を後押しする大きな助けとなります。変化に強い組織が求められる現在、多様な働き方を促進するための新たな取り組みに挑戦すべき時期にきているといえるでしょう。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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この記事ジャンル 副業・兼業制度

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