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『労政時報』調査記事
社宅管理の最新実態
──3割が今後、社有社宅を減少・廃止する意向
労政時報 労務行政研究所では、「社宅・寮、住宅融資制度に関する実態調査」を実施しました。本記事では、そのうち、保有の寮・社宅の動向に関する集計結果を中心に取り上げています。社宅については、隔年で調査しているものです。
※『労政時報』は1930年に創刊。70余年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌です。ここでは、同誌記事の一部抜粋を掲載しています。
保有していた企業のうち、独身寮については約5割が、
社宅については約6割が統合・廃止

自社で保有している独身寮については29.8%と約3割が、社宅については25.6%と4社に1社が、2000年以降に統合・廃止しています。

ただし、上記は寮・社宅を「もともと保有していない」企業も母数に含めて算出した割合である点に留意が必要です。例えば、社宅については過半数の56.2%が「もともと保有していない」であるため、これを除くと、統合・廃止割合は6割近く(58.5%)にも上ります。独身寮についても同様で、ほぼ半数(49.5%)が統合・廃止していることになります。このようにしてみると、2000年以降に寮・社宅を統合・廃止した企業はかなりの割合に上るといえます。

「もともと保有していない」企業を除いて規模別にみると、大手ほど統合・廃止した割合は高く、1000人以上では独身寮で58.4%、社宅で64.2%に上ります(なお、「もともと保有していない」割合は規模が小さいところほど高く、300人未満では8割台に上る)。

集計(回答)企業は異なるものの、前回2005年の調査では、2000年以降に保有の独身寮を統合・廃止した企業は30.5%(「もともと保有していない」企業を除いて47.9%)、社宅を統合・廃止した企業は21.6%(同49.6%)でした。今回の調査結果と比べると、社宅については統合・廃止した割合が高まっており、この2年間に統合・廃止を進めた企業もあったのではないかとみられます(独身寮については大きな変化なし)。

統合・廃止した場合は、「一部について統合・廃止」が独身寮で73.2%、社宅で69.9%と大半を占めます。一方、「全部を廃止」はそれぞれ3割前後に上ります。

また、廃止した寮や社宅の入居者への対応については、「借り上げの寮や社宅に入居」が独身寮67.4%、社宅61.0%で最も多く、「別の社有の寮や社宅に入居」はそれぞれ48.4%、39.0%となりました(複数回答)。借り上げで対応したケースが多いことが分かります。また、「住宅の手配はせずに、手当を支給」は独身寮では6.3%にとどまりましたが、社宅では13.4%に上りました。

現状維持が多数を占めるものの、
社宅については約3割が減少・廃止の意向を示す

独身寮、社宅を保有している企業に対して今後の方向性を聞いたところ、「現状を維持する」が独身寮80.2%、社宅67.2%で主流です。ただし、社宅については「減少させる」(21.6%)、もしくは「廃止する」(9.5%)が合わせて31.0%(116社中36社)に上ります。さらに、この36社のうち24社(66.7%)は2000年以降に社有社宅の統合・廃止を実施した企業で、今後もさらに統合・廃止を進める意向をもつものです。社有社宅については、老朽化や維持管理のコスト、社員間の公平性など問題も多く指摘されますが、今後はさらに縮小・廃止の方向に進むものとみられます。

なお、「増加させる」が社宅では1.7%しかなかったのに対し、独身寮では8.4%と1割近くに上ります。ここ数年の新卒採用競争の過熱化から、より魅力ある採用条件の一つ(福利厚生の充実)として、独身寮の増加を検討する企業もあるのでしょう。新卒採用の活発化や求人増に伴い、独身寮の新築や老朽化した寮の建て替え、部屋設備の充実等を実施・検討している企業も少なくありません。

ちなみに、「減少させる」「廃止する」と回答した企業に社員への代替措置を尋ねたところ、“借り上げの物件に入居させる”が圧倒的に多く挙げられ、“手当を支給”というところはわずかにとどまりました。

図表1 保有の独身寮・社宅についての今後の考え方
図表1 保有の独身寮・社宅についての今後の考え方
[注] 独身寮、社宅を現在保有している企業に聞いたもの。
社宅の有無、83.8%が「社宅あり」。
「借り上げ社宅のみ」が多い
社有社宅と借り上げ社宅の両方に回答のあった321社についてみたところ、「借り上げ社宅のみ」ある企業が47.4%で最も多く、次いで「社有・借り上げともあり」が33.3%、「社有社宅のみ」はわずか3.1%となりました。これらを合わせると、83.8%と大半が「社宅あり」という結果になります。

社有社宅よりも借り上げ社宅のほうが格段に多い理由としては、転勤等の短期ニーズへの対応のしやすさや維持管理の手軽さなどが挙げられます。前項でもみたように、社有社宅を統合・廃止する代わりに、借り上げ社宅に移行する企業も少なくありません。企業の社宅制度は、借り上げが主流です。

図表2 社有および借り上げ社宅の有無
図表2 社有および借り上げ社宅の有無
社有社宅の有無、「あり」が36.3%。
1000人以上の規模では過半数が保有している
図表3 社有社宅の有無
図表3 社有社宅の有無
前項でみたように、社有・借り上げを合わせると社宅を有する企業は8割超に上りますが、社有社宅を保有しているのは集計(回答)企業325社のうち36.3%です。

規模別にみると大手ほど保有率は高く、1000人以上では55.8%と過半数が保有しているのに対し、300~999人では35.5%、300人未満では8.1%と格差が顕著です。産業別では、製造業46.8%、非製造業26.6%と製造業のほうで20ポイントほど保有率が高くなっています。

ちなみに、300人未満規模で借り上げ社宅制度を有する企業は50.0%に上ります。社員数の少ない企業では、自社で社宅を保有するよりも必要に応じて借り上げで対応した方が、より効率的なためといえるでしょう。

注)
1) * ここでは、労務行政研究所が2007年10月3日から11月30日にかけて、全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3828社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)349社の合計4177社を対象として(回答があったのは326社)行った調査をもとに、『日本の人事部』編集部が一部をピックアップし記事を作成しました。調査は「社宅管理の最新実態」と題されたもので、詳細は『労政時報 第3724号』(2008年4月25日発行)に掲載されています。

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