起業経験を強みにできない人材、できる人材
採用リスクを気にする企業が多い? 起業経験のある人材の採用
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狙い目は同じ志向を持つベンチャー
その一方で、起業に失敗した後のことまでしっかり計算してキャリアをプランニングしている人もいる。典型的な例がBさんだった。
Bさんは、学生時代から起業したいという夢を持っていたのだという。しかし、調べていくとベンチャー企業とは失敗するケースの方が多いということが分かったそうだ。
「新卒のときは、まず『MR(医薬情報担当者)』として就職しました。慢性的に人が足りない職種で、数年間のブランクがあっても、前の会社である程度の実績を残していればいくらでも採用してくれる会社があるという話も聞いていましたし…。絶対失敗できないという覚悟で必死に働くのも大切ですけど、再挑戦するための受け皿もあった方がいいですよね」
このように計画的なBさんだったが、残念ながら起業した会社を退くことになってしまったのだという。
「友人たちと3人で始めたのですが、営業方針を巡って、だんだん意見が合わなくなっていきました。そのまま続けていくのも難しいということで、会社は友人に譲って、私はもう一度MRとして働きながら、新たなチャンスを模索したいと思っています」
前職の人脈やスカウトなどから、MRの再就職の話はすでに複数あるという。
「単にMRに復帰するだけではなくて、やはり次のビジネスにつながる仕事をしていきたいという思いもあるんです。ですから、会社立ち上げの経験が活きる、医療・医薬系業界の経営企画などの仕事があれば、ぜひご紹介いただきたいのですが…」
医療・医薬系業界にはベンチャー企業も多い。MRの知識があって、なおかつ経営者としての経験もしているBさんに会ってみたいという企業はわりとありそうだなと、私は頭の中で数社をリストアップした。
「ベンチャーの場合は、大手企業などからスピンアウトした方が起業した会社も多いですからね。起業志向の強い人を仲間として受け入れてくれやすい傾向はあると思います。経営企画などの仕事での再就職を希望されるなら、大手よりもベンチャー系をおすすめします」
Bさんはそんな私の話を熱心に聞いてくれた。やはり、起業経験のある人がいちばん働きやすいのは、同じような経験をした人が経営している企業ではないだろうか。Bさんの考え方に合う企業をなんとか見つけたいと私は考えていた。
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