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人材採用“ウラ”“オモテ” 
企業・求職者・人材紹介会社の「転職」三角関係

外資系ならではの
「採用アウトソーシング活用法」

ある外資系企業の事例

採用活動の効率化のために…

人材採用には面接、選考以外にもさまざまな実務がつきものだ。募集職種や条件のとりまとめ、求人広告の出稿、人材紹介会社への広報、面接日のセッティングや会場の確保…。その業務量は相当なものになる。当然、各社とも効率化にはいろいろと工夫をこらしている。その一つが採用専門のアウトソーシング会社の利用だろう。プロの集団だけにうまく活用すれば、これほど心強いものはない。もっとも、その使い方にも企業によっていろいろなパターンがあるようだ。

実はアウトソーサーだったのです

「今度、採用担当が代わることになったんです。引き継ぎをしたいので、一度ご来社いただけないでしょうか…」

P社の採用担当・Kさんからそんな連絡をもらったのは、Kさんが担当になって、ちょうど1年ほど経った頃だった。組織変更を頻繁に行なう企業は珍しくない。1年で担当交代というのは比較的早いが、いろいろと社内事情もあるのだろう。

数日後、P社を訪問すると笑顔のKさんが応接室で待っていた。

「これまでありがとうございました。実は、私、P社の社員ではなく○○社の者なんです。お気づきでした?」

「あ、そうだったんですか!」

○○社は私もよく知っている採用アウトソーシング会社である。そう言われてみれば、何となくそんな気もしていたのだが、Kさんの名刺はP社のものだったので表面的にはまったく分からなかった。前任者からKさんに担当が代わって、採用業務の事務手続きは非常にスムーズになった印象があった。

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「そうおっしゃっていただけるとうれしいですね。前任者まではP社の人事の方が直接採用を担当していたんです。ただ、人事は他にもたくさん仕事がありますよね。なかなか細かいところまで行き届かなかったようで、それで私どもにご依頼があったんです」

Kさんが担当になってからは、募集職種を見やすい一覧表にしてくれたり、候補者が集まりにくいポジションについては、部門マネジャーが人材紹介会社に直接プレゼンテーションを行なう場を設けてくれたり、私たちとしてはとてもやりやすくなっていた。何かと多忙で問い合わせの電話一本かけるにも気を遣っていた前任者の頃とは雲泥の差といってもよかった。それだけに、わずか1年で担当交代というのは残念だった。

「でも、最近の採用業務はうまく回っていたんじゃないですか?」

そう言うとKさんは少し淋しそうな表情で担当が交代する理由を教えてくれた。

外注のさらに外注というパターンも

「来月から、採用業務はP社の米国本社が契約している人事コンサルタント会社に全世界一括で委託することになったそうなんです…」

P社は外資系企業である。効率化を突き詰めると、大きい規模で外注した方がより有利になる…という判断をしたということか。担当を代えると採用側も、また人材紹介会社側もお互いのやり方に慣れるまでに多少時間がかかるものだが、それ以上にコスト面で効果があると踏んだのだろう。

「新しい採用担当はその人事コンサルタント会社の方になるそうです。来週にはこちらの事務所に来ますので、ご挨拶できるように引き継いでおきます」

翌週、私はP社の新しい採用担当者を訪問した。相手が外資系の人事コンサルタント会社ということで、最初は様子見である。

「今日はお忙しいところ、ありがとうございます」

新任のFさんはとても腰の低い方だった。外資系企業の人らしくない。「全部お話ししておいた方がやりやすいですよね…」と思いがけない事実まで教えてくれた。

「先ほどお渡しした名刺、人事コンサルタント会社のものですが、実は私自身はそこの社員ではなく、△△社の者なんです。日本にはアウトソーシング部門がないので外注されたんですよ」

「ああ、△△社の方なんですか!」

またしても驚かされた。前任者のKさんが所属していた○○社同様、△△社もよく知られている採用アウトソーシング会社だ。つまり、今回は外注のさらに外注ということのようだ。

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「P社のオフィスに不在の時には、△△社の方に連絡してください。連絡先はこちらです」

そう言いながらFさんは△△社の名刺も渡してくれた。ここまで腹を割ってくれれば、ある意味でやりやすいともいえるが…。形の上では丸投げに近く、間に入っている人事コンサルタント会社の顔がよく見えないだけに、多岐に渡る採用実務がスムーズに回っていくのかどうか、少し不安もある。

「私もこういうパターンは初めてなんですが、お互い採用を成功させるためのパートナーということで…どうぞよろしくお願いいたします」

なるほど、こういうことも「あり」なのか…。人当たりの良さそうなFさんの笑顔を見ながら、外資系企業らしいP社の割り切ったスタイルに思わず感心してしまったのだった。



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