人事担当者の現状と方向性
――調査結果から探る、これからの人事部と人事担当者の要件
人事担当者の意識と行動
人事担当者に求められるマインド
一般論として“人事担当者に必要と考えられるマインド、姿勢”は何か尋ねたところ(三つまでの複数回答)、(1)「信頼感」59.5%(2)「公 正・中立、高いモラル」49.3%(3)「バランス感覚」38.1%がトップ3で、4位以下を大きく引き離しています【図表4】。社員に相対する立場とし て、社内の利害関係にとらわれず、不偏的・客観的に事に当たり、かつこうした姿勢を社員によく認知してもらうことを、まず重視していることがうかがえま す。
自己啓発の実施状況
自己啓発の取り組み内容
人事担当としての能力・スキルを高めるために行っている自己啓発の内容を見ると(“特に行っていない”場合を含む複数回答)、「ラジオ、テレビ、専門書、 インターネットなどによる自学、自習」33.3%が最も多く、これに「自己啓発は特に行っていない」32.9%が続きます。以下、「社外の勉強会、研究会 への参加」25.2%、「民間教育訓練機関の講習会、セミナーへの参加」23.1%、「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」21.7%などとなってい ます。
役職別に見ると、順位に異同はあるものの、各役職とも上記項目が上位を占めています。ただし、「自己啓発は特に行っていない」については、主任・係 長クラス以上は2割台、項目全体の3~4位であるのに対し、一般社員クラスでは51.0%と過半数に上り、2位の「ラジオ、テレビ、専門書、インターネッ トなどによる自学、自習」を20ポイント以上上回っている点が目を引きます。
また、主任・係長クラス以上の各役職では、次の項目が他の役職に比べて高い割合となっています。
◆主任・係長クラス:「ラジオ、テレビ、専門書、インターネットなどによる自学、自習」37.7%、「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」32.1%
◆課長クラス:「社外の勉強会、研究会への参加」34.0%、「民間教育訓練機関の講習会、セミナーへの参加」32.1%、「通信教育の受講」16.0%、「人事関連書籍を読む」12.3%、「人事関連雑誌を読む」8.5%
◆部長・次長クラス:「社外の教育機関(専修学校、各種学校、大学、大学院等)の講座の受講」6.7%、「公共職業能力開発施設の講座の受講」4.8%
役職間で見た場合、主任・係長クラスは自宅や社内でできる手近なところに軸足を置き、課長クラスは比較的手広く自己啓発の手段・チャネルを駆使している、と捉えることができるでしょう。
定期的な情報交換や交流会、勉強会等を行う相手(自部門以外)
人事担当者の中には、他部署や他社の動向に広くアンテナを張り、最新かつ“生きた”情報収集の手段・場を確保することに腐心している担当者も多いと 思われます。ここでは、自部門以外で、他部署・社外などどのような所属・立場の人と交流の場を持っているか聞きました(“こうした交流等の場はない”とす る場合も含む複数回答)。
最も多いのが「社内の他部署の人(労働組合、従業員代表含む)」で41.7%、これに「自部門以外の人との定期的な交流は、基本的にない」 34.5%が続きます。以下、社外では「同業他社の人事担当者」23.6%、「社外の人事担当者以外の職種の人」19.3%などとなっています。
役職別では、一般社員で「自部門以外の人との定期的な交流は、基本的にない」が55.8%と過半数を占め、こうした交流を持っている場合の各項目 (相手先)を見ても、他の役職の割合を大きく下回ります。一方、主任・係長クラス以上では、各項目の割合や順位に大きな差はありません。
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。