育児・介護支援制度の最新実態
育児休業中の月例賃金の取り扱い
「支給しない」が9割台でほとんど
法令等の定め
- 育児休業の申し出や取得を理由に解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない(法10条)
- 育児休業期間中の賃金を支払わないことは不利益な取り扱いに該当しないが、休業期間を超えて働かなかったものとして取り扱うことは「不利益な算定」に該当する(指針第2の11の(3)のハ)
休業中の賃金については、上記のように支払う義務はなく、企業が任意に定めることができます。
法定期間(子が1歳[一定の条件下では1歳2ヵ月または1歳6ヵ月]に達するまで)については雇用保険から育児休業給付が支給されるため、ここでは(1)法定期間と(2)法定を上回る期間に分けて、賃金の支給状況を尋ねました。
(1) 法定期間
「支給しない」が95.4%とほとんどを占め、「一部支給」はわずか1.4%にとどまりました。300人未満規模では、すべての企業が「支給しない」でした。
「一部支給」する場合の具体的内容としては、“育児手当2万円/月”“25%支給”“育児休業給付と合わせて80%となるよう支給”などがみられました。
また、「その他」(3.2%=285社中9社)として、“休業開始から5日間は有給”という企業が5社みられました。ごく短期間について有給とする 意図を尋ねたところ、“少しでも有給とすることで、育児休業の取得(特に男性の取得)を促進するねらいがある”との回答が複数から得られました。厚生労働 省は、男性の子育て参加や育児休業の取得促進等を目的とした「イクメンプロジェクト」を、2010年6月より始動しています(「イクメン」とは、育児を積 極的に楽しみ自分自身も成長する男性のこと。イクメンプロジェクトサイト:http://www.ikumen-project.jp/ )。数日という短期間ではありますが育児休業を有給にすることで、特に男性の取得促進に効果があるとすれば、今後このような施策は他の企業にも広がっていく可能性があるでしょう。
(2) 法定を上回る期間
「法定を上回る期間」についても、上記(1)と同様「支給しない」が92.9%とほとんどを占めています。「社会保険料相当額を支給」する企業は皆無でした。ちなみに現在、子が3歳に達するまでは社会保険料の免除が認められています。
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