育児・介護支援制度の最新実態
2010年6月30日より、改正育児・介護休業法が施行されました。主な改正内容は、(1)短時間勤務制度の導入義務づけ(2)労働者からの請求による所定外労働の免除制度の新設(3)子の看護休暇制度の拡充(4)パパ・ママ育休プラス(父母ともに育児休業を取得する場合の休業可能期間の延長)(5)介護休暇の新設 です。これを受けて、民間調査機関の労務行政研究所(理事長:矢田敏雄)では、各企業の育児・介護休業等の最新実態を調査しました。今回はこの中から育児休業・介護休業それぞれの「期間」「休業中の月例賃金の取り扱い」について紹介します。
※『労政時報』は1930年に創刊。80年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌です。ここでは、同誌記事の一部抜粋を掲載しています。
◎調査名:「育児・介護休業等に関する実態調査」
1. 調査対象:全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3,571社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)328社の合計3,899社。ただし、持株会社の場合は主要子会社を対象としたところもある。
2. 調査時期:2010年8月25日~10月15日
3. 集計対象:上記の調査対象のうち、回答のあった287社。
育児休業の期間
「法定どおり」が7割で主流だが、1,000人以上規模では「法定を上回る」が6割を超える
法令等の定め
- 原則、子が1歳に達するまで。両親ともに取得する場合は1歳2ヵ月、保育園の入所待ちなど一定の条件下では1歳6ヵ月に達するまで(法5条、9条の2)
育児休業の期間については、上記に示した「法定どおり」とする企業が70.7%と7割を占め、「法定を上回る」企業は 29.3%でした。集計(回答)企業は異なるものの、「法定を上回る」とする企業は、労務行政研究所が2007年2~3月に行った同様の調査(以下、 「07年調査」という。結果は第3705号―07.7.13)では26.3%、さらにさかのぼって2003年11月~2004年1月に行った調査(結果は 第3630号―04.5.28)では、15.3%であり、増加しています。
今回の調査について規模別にみると、「法定どおり」とする企業は1,000人以上36.8%、300~999人79.0%、300人未満92.6%で、規模による格差が顕著となっています。1,000人以上の大手では、「法定を上回る」が63.2%と6割を超えています。
「法定を上回る」場合、最長でいつまで休業可能なのか尋ねたところ、「1歳6ヵ月~2歳未満」が61.9%、「2歳~3歳未満」が28.6%、「3 歳以上」が6.0%となりました。法定期間(原則子が1歳になるまで)よりも半年~1年程度長い休業を認めている企業が主流です。「3歳以上」で具体的内 容が明らかなものとしては、“3歳に達した後の4月末日まで”“3歳に達する月の月末まで”“産休終了後3年間”などがみられました。また、「その他」 (3.6%)は、“小学校卒業までの間で最長3年間”“4歳までの間で最長3年間”などでした。
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。