【労働法超入門】育児休業取得状況の公表
労働新聞社
男性の育休取得促進をターゲットとする「直接的な」対策は、出生時育児休業制度の創設をはじめとする育休制度の再整備(休業パターンのバリエーション拡大)です。それに加え、側面からサポートする対策も講じられていますが、本稿では「育児休業取得状況の公表」を取り上げます。これは、改正育介法の掉尾(とうび)を飾るもので、施行は令和5年4月からです。
男性の育休取得状況については、現在でも、次世代法の中で、「プラチナくるみん認定企業(特例認定一般事業主)」を対象として、公表を義務付けています。「くるみん」とは、次世代法に基づき一定基準を満たした「子育てサポート」を認定し、その証である「くるみんマーク」の使用を許可する仕組みです。「プラチナくるみん」は、通常の「くるみん」よりワンランク上の認定基準が設けられています。
一方、今回の改正では、育介法の中に公表に関する規定を新設しました。対象となるのは、「常時雇用する労働者が1000人を超える事業主」です。プラチナくるみん認定を受けていなくても、この規模要件を満たせば、公表義務を負います。公表すべき事項は、「男性の育休取得率または育休および育児目的休暇の取得率」です。この規模要件は、将来的に引き下げることも予想されます。
また、育介法とは別に、次世代法の関連規定も改正し、「くるみん」制度のさらなる拡充を図る方針です。
まず、「プラチナくるみん」ではなく、通常の「くるみん」企業についても、男性の育休取得状況の公表を認定基準の中に追加します。
次に、「プラチナくるみん」「くるみん」の認定基準そのものを見直します。たとえば、「くるみん」の男性育休取得率を現行の7%以上から10以上に引き上げます。最後に、くるみんの第3の認定基準として、「トライくるみん(仮称)」を創設します。くるみん関連の改正は、令和4年4月1日から施行されます。
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