【労働法超入門】派遣労働者の雇用安定に関する希望聴取
労働新聞社
改正派遣則・告示の4月施行分では、(1)派遣労働者の雇用安定に関する希望聴取と(2)マージン率などの情報提供に関して、事業主の義務が強化されています。
今回は、(1)希望聴取の内容をみていきます。派遣元事業主(人材ビジネス業者)は、一定条件を満たす派遣労働者に対して、雇用安定措置を講じるものとされています。派遣先の同一部署で3年継続して就労する見込みのときは強制義務、1年以上継続して就労する見込みのときは努力義務です。
対応としては、(1)派遣先への直接雇用依頼、(2)新たな派遣先の提供、(3)派遣元での無期雇用、(4)その他(有給の教育訓練等)の4種類が挙げられています。
雇用安定措置を講じる前提として、派遣元指針では、従来から、派遣元に対して、面談や電子メール等により「継続就業の希望の有無・希望する雇用安定措置の内容」を把握するよう求めていました。
派遣元は、派遣労働者自身の職業設計に基づき(1)の措置が必要なら・派遣元に依頼文書などを発しますが、直接雇用に至らなかったときは(2)~(4)の措置を講じるという順序になります。
今回の改正では、希望聴取に関する規定を、指針から派遣則に格上げしました。派遣元事業主は、雇用安定措置の対象者に対して「希望する措置の内容を聴取」したうえで、「派遣元台帳に記載」しておく必要があります。
派遣先は、自社の雇用政策に基づき、直接雇用するか否かを判断します。当然、依頼に応じられないケースもあり得ますが、派遣先にも直接雇用の推進に関する義務が課せられています。
派遣元から直接雇用の依頼があった労働者に関しては、「優先雇用の努力義務」、「労働者募集情報の提供(正社員以外に対する募集情報を含みます)」の規定が適用される点には留意が求められます。
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