2回目の緊急事態宣言、1ヵ月足らずで 「就業に影響あり」3割以上
ディップ株式会社
【調査概要】
調査主体:ディップ株式会社
調査手法:インターネット調査(GMOリサーチ「JAPAN CLOUD PANEL」利用)
調査実施時期:2021年1月29日(金)~2021年2月2日(火)
対象者条件:47都道府県内在住の15~69歳の男女のアルバイト・パート、もしくは無職で求職中の人
有効回収数:6,270サンプル(アルバイト・パートサンプル4,653、無職1,617サンプル)
本レポートについて
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)(以下、新型コロナウイルス)により、雇用に対しても非常に大きな影響が出ています。
2020年平均の有効求人倍率は1.18倍※1と、リーマンショックの影響が出た2009年の0.47倍※1、第1次オイルショックの影響が出た1975年の0.61倍※1ほどの低い水準とはなりませんでした。しかし、前年からの減少幅としては-0.42ポイントと、1975年-0.59ポイント以来、45年ぶりの大幅な減少です。
特に、雇用形態別に見ると、正社員などアルバイト・パートを除く就業者は-0.39ポイント※2、アルバイト・パートは-0.47ポイント※3と、アルバイト・パートの減少幅が大きいことがわかります。
本レポートでは、 新型コロナウイルスによる就業への影響を調査しました。
第1回、第2回の緊急事態宣言前後でのアルバイト・パート、無職で求職している人の就業への影響をお届けします。
※1 厚生労働省:一般職業紹介状況(令和2年12月分及び令和2年分)より
※2 厚生労働省:一般職業紹介状況(令和2年12月分及び令和2年分)第3表 有効求人倍率(パートタイムを除く一般)を利用
※3 厚生労働省:一般職業紹介状況(令和2年12月分及び令和2年分)第3表 有効求人倍率(一般パートタイム)を利用
緊急事態宣言による就業への影響
まずは、緊急事態宣言による就業への影響をどの程度の人が感じているのかを見ていきましょう。
1回目の緊急事態宣言 「影響あり」約5割
1回目の緊急事態宣言では約5割の人が「影響があった」と回答しています。
それでは、2回目の緊急事態宣言ではどうだったのでしょうか。
2回目の緊急事態宣言 「影響あり」3割以上
2回目の緊急事態宣言では3割以上の人が「影響があった」と回答しています。
3月まで期間延長され、今後さらに影響が大きくなることが想定されます。
緊急事態宣言の影響による失業、離職の経験
では、具体的な影響がどの程度出ているのかを見ていきましょう。
まずは、失業、離職はどの程度の人が経験しているのでしょうか。
1回目の緊急事態宣言 「失業、離職の経験あり」16.6%
1回目の緊急事態宣言では16.6%の人が「失業、離職の経験あり」と回答しています。4.9%の人は、失業、離職いずれも経験している状況です。
それでは、2回目の緊急事態宣言ではどうだったのでしょうか。
2回目の緊急事態宣言 1ヵ月足らずのうちに「失業、離職の経験あり」8.5%
2回目の緊急事態宣言では、1ヵ月足らずであるにもかかわらず、8.5%の人が「失業、離職の経験あり」と回答しています。
属性別に見ると、失業、離職の経験はどの程度差があるのでしょうか。
学生は1回目・2回目共に3割超が失業、離職を経験
2020年(1回目緊急事態宣言)、2021年(2回目緊急事態宣言)共に、学生は3割以上が失業、離職を経験しており、他属性よりも高い水準です。現在、無職の人においては、他属性よりも高い水準ではありますが、2020年(1回目緊急事態宣言)の水準がより高く、失業、離職後に無職となり求職していることが想定されます。
【Pick Up】
2020年における失業の時期は4月がピーク、自己都合の離職は2月以前が最多
失業の時期としては、失業は4月が最も多く、前後の3月、5月も高い割合となりました。一方、自己都合の離職は2月以前が最多となっています。 失業、離職の経験が複数回ある場合は最も早い時期のものを回答しているため、実際には2020年後半での経験はこの結果よりも多いことが想定されます。
2020年のシフト、収入への影響と現在の状況
ここからは、現在就業している人への影響を見ていきます。シフト、収入への影響はどの程度出ているのでしょうか。
「シフトが減った」4割弱、そのうち9割は現在も影響が継続
4割弱の人が「シフトが減った」と回答しています。そのうち、9割が現在も影響が継続しています。
次に、収入について見ていきましょう。
「収入が減った」4割弱、そのうち9割強は現在も影響が継続、3割は影響がさらに拡大
シフトと同様、4割弱の人が「収入が減った」と回答しています。そのうち、9割超が現在も影響が継続しています。
また、シフト、収入の影響共に「影響は大きくなりさらに収入が減った」という人が3割以上います。
次項からは、就業への不安の実態を明らかにしていきます。
今後の就業への不安と就業先にあると安心する対応
まずは、現在の状況についてどの程度の不安を感じているのでしょうか。
就業への「強い不安あり」 4割超
「今後の就業への不安」の度合いを0~10点の11段階で回答していただいた結果です。
「0点(全く不安はない)」は5.4%に留まり、約95%は少なからず不安を感じています。特に、「強い不安あり(10~8点)」と回答した人は4割強と、非常に高い割合となりました。
では、属性別、失業、離職の経験別に見ると傾向はあるのでしょうか。
無職の人、失業、離職の経験者の不安は特に大きく約6割
前出「今後の就業への不安」において「強い不安あり(10~8点)」と回答した割合を属性別に見ると、現在無職で求職している人は約6割と突出しています。また、同回答を失業、離職の経験別に見ると、経験がない人に比べ、やはり不安を強く感じている傾向があります。現在は無職ではない人のなかにも、不安を抱えながら就業している人は多くいそうです。
最後に、就業先にあると安心する対応を見ていきましょう。
就業先に求めるものは「マスク・アルコールの整備」と「給与補償」
就業先に求める対応1位は「マスク・アルコールの整備」(25.3%)、その他2~4位は、給与や手当の補償が占めました。また、給与のみではなく、新型コロナウイルスの拡大が収まった際の復職についても不安に感じていることがわかります。
出社が必要な場合、マスク・アルコールの整備は、就業者の第一の安心材料になりそうです。また、就業先からの補償だけでなく、就業者に対し、休業手当の情報や申請方法を適正に案内するということ、復職など今後の就業について会話がされることなどが安心につながるのではないでしょうか。
※参考:バイト・パートも! シフト減でも受け取れる コロナ禍の休業手当を活用しよう
https://www.baitoru.com/contents/list/detail/id=2680
さいごに
本レポートでは、 新型コロナウイルスによるアルバイト・パート、現在無職で求職している人の就業への影響が明らかになりました。
本レポートで明らかになったこと
緊急事態宣言による就業への影響
- 1回目の緊急事態宣言 「影響あり」約5割
- 2回目の緊急事態宣言 「影響あり」3割強
緊急事態宣言の影響による失業、離職の経験
- 1回目の緊急事態宣言 「失業、離職の経験あり」16.6%
- 2回目の緊急事態宣言 1ヵ月足らずのうちに「失業、離職の経験あり」8.5%
- 学生は1回目・2回目共に3割超、現無職の人のうち4割が緊急事態宣言時の影響の可能性
- 2020年失業の時期は4月がピーク、自己都合の離職は2月以前が最多
2020年のシフト、収入への影響と現在
- 「シフトが減った」4割弱、そのうち9割が影響が継続
- 「収入が減った」4割弱、そのうち9割強が影響が継続、3割は影響が拡大
今後の就業への不安と就業先にあると安心する対応
- 就業への強い不安を感じている 4割超
- 無職の人、失業、離職の経験者の不安は特に大きく約6割
- 就業先に求めるものは「マスク・アルコールの整備」と「給与補償」
第1回緊急事態宣言の発令の影響と比べ、第2回目の発令では、影響しているという回答は低い水準となりました。しかし、既に失業者、離職者はでてきています。
シフト減や収入減の影響は2020年以降継続している人も多く、今後影響は継続されること、大きくなる可能性もあります。
アルバイト・パート、無職で求職している人の就業への影響をお届けすることで、実態を知っていただくきっかけ、状況改善のきっかけにしていただきたいと思っています。
また、このような状況下で、「知らなくて給付を受けられていない」ことがないよう、当社では休業支援金についてわかりやく解説をしたページ※を設置しております。
あわせてご覧ください。
※参考:バイト・パートも! シフト減でも受け取れる コロナ禍の休業手当を活用しよう
https://www.baitoru.com/contents/list/detail/id=2680
執筆者:ディップ総合研究所 ディップレポート編集室 川上由加里
「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」の企業理念のもと、“Labor force solution company”をビジョンに掲げ、『労働力の総合商社』として、人材サービス事業とAI・RPA 事業を提供しています。
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