本誌特別調査
2017年度 部長・課長・係長クラス・一般社員の
ホワイトカラー職種別賃金調査
13職種に見る最新実態と諸格差の動向
グローバル化の進展もあり、役割給・職務給に代表される仕事基準の人材マネジメントを志向する企業が、徐々に増えつつある。こうした動向に先んじて当研究所では、2000年から職種・職位別賃金調査を実施している。これは、実在する社員の賃金水準について、職種や職位という銘柄で絞り込んで把握できるデータである。このほど、2017年度の調査結果がまとまった。例年どおり、経営企画・営業など13職種を対象に、部長・課長・係長クラス・一般社員の4職位について賃金水準を調査した。
ここでは賃金の支払い形態が月例給与+年間賞与の場合の調査結果について紹介する。
ポイント
(1)職位別に見た年収の平均額
●部長は900万円台後半~1000万円台、課長は700万円台後半~800万円台、係長クラスは500万円台後半~600万円台、一般社員は300万円台後半~400万円台前半の水準
(2)職種別に見た年収の平均額
●部長の場合、最高は「購買・資材調達」の1084.6万円、以下、「生産技術」1080.3万円、「研究」1078.2万円、「経営企画」1044.7万円、「法務・特許」1043.5万円などで、「営業」を除く12職種が1000万円台
●課長では、「研究」の881.9万円が最高、以下「購買・資材調達」869.2万円、「法務・特許」846.6万円の順
平均額と分布状況
月例給与の平均額と分布状況[図表1~2]
部長55万~65万円未満、課長50万円前後、係長クラス30万円台、一般社員25万円前後が一つの相場
以下では職位別に職種ごとの月例給与を全対象者の平均額で見ていく。
部長
水準が高い順に見ると「〈1〉経営企画」64.4万円、「〈11〉生産技術」63.5万円、「〈2〉営業企画・商品企画」63.4万円などとなっている[図表1]。
分布を見ると[図表2]、「55万~60万円未満」「60万~65万円未満」に多くの職種の最頻値(最も多い割合)が集中していることから、“55万~65万円未満”程度が、部長の月例給与の一つの相場といえる。
注:わが国では職種別賃金相場が確立されておらず、上記および以下に続く各職種の集計結果は、毎回の調査により変動している。これらの数値は、一般的な職種別の相場というより「今回の調査で得られた各職種・各職位に就く者の賃金の実態」として見ていただきたい。
課長
水準が高い順に見ると「〈13〉購買・資材調達」51.9万円、「〈8〉研究」51.3万円、「〈2〉営業企画・商品企画」51.0万円と続く[図表1]。水準が最も低い職種は「〈1〉経営企画」の48.8万円であり、どの職種も50万円前後の水準となっている。分布を見ると[図表2]、最頻値はすべての職種において「45万~50万円未満」「50万~55万円未満」に集中している。
係長クラス
水準が高い順に見ると「〈2〉営業企画・商品企画」「〈5〉法務・特許」38.8万円、「〈1〉経営企画」「〈8〉研究」38.7万円などとなっている[図表1]。分布を見ると[図表2]、ほとんどの職種で「35万~40万円未満」と一部「30万~35万円未満」に最頻値が集まっており、30万円台が一つの相場になっている。
一般社員
水準が高い順に見ると「〈2〉営業企画・商品企画」「〈3〉営業」25.8万円、次いで「〈5〉法務・特許」25.7万円などとなっている[図表1]。分布を見ると[図表2]、「25万円未満」「25万~30万円未満」に全職種の最頻値が集まっており、[図表1]の各職種・水準を勘案すると、25万円前後が一つの相場といえる。
ここでは前回の集計結果は示していないが、今回集計における各職位の月例給与水準の傾向は、景気の回復や有効求人倍率の改善、政労使会議等による賃金上昇機運の高まりを受けてもなお、2016年度と比べ大きく変わらない。
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