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【解説】「テレワーク」ガイドラインの変更点と実務対応

一般社団法人日本テレワーク協会 主席研究員

今泉 千明

6 休憩時間の取扱いについて

イメージ画像

【変更点】 休憩時間の取扱いについて新たに記載
労働基準法34条2項では、原則として休憩時間を労働者に一斉に付与することを規定しています。テレワークガイドラインでは「テレワークについても、労使協定により、一斉付与の原則を適用除外することが可能」としています。
また、テレワーク中の労働者について、本来休憩時間とされていた時間に、使用者が出社を求めるなど具体的な業務のために就業場所間の移動を命じた場合、当該移動時間は労働時間と考えられます。このため別途休憩時間を確保することに留意する必要があります。

7 時間外・休日労働の労働時間管理について

【変更点】 時間外・休日労働の適用について具体的に記載
テレワークガイドラインでは時間外・休日労働について、次のように定めています。
「テレワークについて、実労働時間やみなされた労働時間が法定労働時間を超える場合には、時間外・休日労働に係る三六協定の締結、届出及び割増賃金の支払いが必要となる。また、現実に深夜に労働した場合には、深夜労働に係る割増賃金の支払いが必要となる(労働基準法第36条及び第37条)」。
労働者は、業務に従事した時間を日報等に記録します。使用者はそれをもってテレワークを行う労働者の労働時間の適切な把握に努め、必要に応じて労働時間や業務内容等について見直すことが望まれます。
労働者が時間外や深夜、休日に業務を行ったとしても、労働者から事前申告がなかったか事前に申告されたが許可を与えなかった場合で、かつ労働者から事後報告がなかった場合には、労働時間に該当しないことになります。ただし、次の条件に該当することが必要です。

1:使用者からの強制がないこと
時間外等に労働することについて使用者から強制されたり、義務付けられたりした事実がないことが必要です。

2:使用者からの黙示の指揮命令がないこと
当該労働者の当日の業務量が過大である場合や期限の設定が不適切である場合など、時間外などに労働せざるを得ないような使用者からの黙示の指揮命令があったと解し得る事情がないことが必要です。

3:時間外労働を客観的に知り得ないこと
時間外等に労働を行ったことが客観的に推測できるような事実がなく、使用者が時間外等の労働を知り得なかったことが必要です。時間外等に当該労働者からメールが送信されていたり、時間外等に労働しなければ生み出し得ないような成果物が提出されたりしているなどという事実がないことが必要です。

8 長時間労働対策について

【変更点】 長時間労働防止のための手法を新たに記載
テレワークは、業務効率化による時間外労働の削減につながるというメリットが期待されます。一方、テレワークが長時間労働を招くおそれがあることも指摘されています。労働者が使用者と離れた場所で勤務をするため相対的に使用者の管理の程度が弱くなるおそれがあるためです。
使用者は単に労働時間を管理するだけでなく、長時間労働による健康障害を防止することも求められています。テレワークにおける長時間労働を防ぐために、テレワークガイドラインでは下記の手法を挙げています。

1:メール送付の抑制
テレワークにおいて長時間労働が生じる要因として、時間外、休日、深夜に業務に係る指示や報告がメール送付されることが挙げられます。

2:システムへのアクセス制限
テレワークを利用する際に、企業等の社内システムに外部のパソコン等からアクセスする形態をとる場合が多くあります。深夜・休日はアクセスできないよう設定することで長時間労働を防ぐことが有効です。

3:テレワーク時の時間外・休日・深夜労働の原則禁止
業務の効率化やワーク・ライフ・バランスの実現の観点からテレワークを導入する場合、その趣旨を踏まえ、時間外・休日・深夜労働を禁止することも有効です。

4:長時間労働等を行う者への注意喚起
テレワークにより長時間労働が生じるおそれのある労働者や、休日・深夜労働が生じた労働者に対して、注意喚起を行うことが有効です。

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この記事ジャンル テレワーク、リモートワーク

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