正社員を「労働者派遣契約」で派遣するには
最近「一般人材派遣業」の許可を受け、人材派遣事業を進めているのですが、派遣事業を始める前から正社員として雇用していた社員(Aさん)をお客様先へ常駐する仕事に従事させる場合についての質問です。
・お客様とは「労働者派遣契約」のもと、時間単価で労働契約。
・Aさんの給与支給はいわゆる正社員の給与規程のもとで支払いしている。
・正社員の給与は年俸制に近い制度で月額固定給。
・Aさんは正社員の人事考課制度のもとにある。
・Aさんの就業規則(俗にいう休暇取得の権利、勤務時間の規則など)は内勤者向けの規則配下にある。
以上のような状況の場合で、お客様先へAさんを”派遣”すると、例えば内勤者は7.5時間勤務が標準なのに派遣先の標準は8時間、といった差が生まれた場合、Aさんの勤務時間と給与の考え方はどのように整理すべきでしょうか。
今考えているのは、Aさんを(登録型)人材派遣社員用の就業規則のもとにおき、給与も売上連動型の時間給与にすべき?と思案中です。
ただし、Aさんはあくまでも正社員で期間の定めがない労働契約のもとにあるため、お客様との契約が終了した場合には、もとの就業規則に戻す必要もあるのか??と悩んでいます。
完全な登録型の派遣社員ではないスタッフを「派遣契約」のもとで業務に従事させる場合の対応方法についてアドバイス願います。
投稿日:2005/09/28 12:35 ID:QA-0002080
- *****さん
- 東京都/情報サービス・インターネット関連(企業規模 6~10人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
正社員を「労働者派遣契約」で派遣するには
■許可取得された「一般労働者派遣事業」は、通常は派遣労働者名簿に登録されているだけで全く雇用関係もなければ給与の支払いもなく、派遣先の企業が決まったところで初めて雇用関係を生ずる場合の事業形態です。今回のご相談のように、常用雇用される労働者のみが派遣対象労働者である場合は、届出制の「特定労働者派遣事業」に該当します。
■派遣労働者と派遣元の間の雇用契約を派遣労働契約と言います。雇用契約という点では通常の正社員の雇用と特別の違いはありませんが、派遣労働者として雇用することを明記すると共に派遣事業を前提にした労働契約に変更(人材派遣社員用の就業規則の作成と適用)しておくことが必要です。
■今後の新規採用者は別として、既存の正社員であるAさん或いは今後の派遣要員へのシフト社員については、労働条件の変更となると思われますので、労使双方が合意できる範囲内での変更と関連規程の追加・変更が必要です。このインフラが整備できれば、ご質問の諸点も容易に解決できると考えます。(個別派遣案件ごとにその都度決めていくのは大変です)以上、常時雇用を前提としたコメントです。
■他方、「Aさんを(登録型)人材派遣社員用の就業規則のもとにおき」とありますが、登録型は「派遣先の企業が決まらないと雇用関係は生じない」ことですから、Aさんの常時雇用を解消することを意味します。つまり、現在の正社員としての雇用関係を終了させ、新たに「派遣労働者名簿に登録だけするという関係」を結ぼうということなので、見返りとして余程の好条件を提示しない限り実現は難しいでしょう。
投稿日:2005/10/01 13:40 ID:QA-0002105
相談者より
ご丁寧にご回答いただき、ありがとうございます。
●「【Aさんに対し】派遣労働者として【改めて】雇用することを明記すると共に派遣事業を前提にした労働契約に変更(人材派遣社員用の就業規則の作成と適用)しておくことが必要」ということで、早速人派用就業規則の整備・点検を図ることにいたします。
●なお、制度上の確認ですが、「一般・・・」の許可がある事業者は「特定派遣事業」の届出は特に不要、という認識でいますが、正しいでしょうか。(労働局に確認した際には、「一般」の許可があれば「特定派遣」はできます、との回答を得ています。)
以上、再度ですがご回答頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。
投稿日:2005/10/01 19:25 ID:QA-0030835大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
正社員を「労働者派遣契約」で派遣するには
■「一般・・・」の場合「特定・・・」と比べると、労働者雇用が不安定な状態になることが明らかであるため、厚生労働大臣の許可を得なければならず、役員構成に関して欠格条項があるなど、格段に厳しい許可要件が定められています。
■「特定・・・」の届出要件はすべて、「一般・・・」の許可要件に含まれていますので、「一般・・・」の許可がある事業者は「特定派遣事業」の届出は不要という認識は間違いありません。
■(参考)「特定・・・」を行う者が、たとえ一人でも常時雇用していない労働者を派遣労働者とすると、「特定・・・」に該当しなくなるため、一般労働者派遣事業「一般・・・」の許可を得なければならなくなります。
投稿日:2005/10/02 11:56 ID:QA-0002110
相談者より
再度のご回答、誠にありがとうございました。
いずれにしても、社内の”インフラ”整備を早く進め、スタッフが気持ちよく仕事に専念できるよう努めたいと思います。
引き続き、よろしくお願いいたします。
#初めてここのサイトを利用いたしましたが、とてもスピーディーに且つ的確にお答えをいただくことができ、満足しています。
これからも利用させていただきたいと思います。
投稿日:2005/10/03 07:44 ID:QA-0030838大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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