勤務時間が異なる系列会社への出張について
ご教授願います。
弊社においては、就業規則にて以下労働条件を定めております。
1.1日の所定労働時間は8時間とする。(8:30~17:30 休憩1時間)
2.1年単位の変形労働制である。
3.系列会社へ出張時は、系列会社の始業・終業時間に従う。
実は従前までは系列会社も全て1日の所定労働時間が8時間であったため
問題はなかったのですが、今年(2026年)より系列会社の1つが1日の所定
労働時間を8時間10分に変更しました。
当然上記3に従い、当該系列会社へ出張時は8時間10分勤務(10分残業は
つけない)にて就労するよう案内したところ、一部の社員より
「われわれは1日8時間で労働契約しているのだから、1日当たり8時間10分
働けば10分の残業がつくはずだ」との意見が出されております。
労基法的に出張時ではありますが、1日当たり10分の残業代を出す必要は
あるのでしょうか?
投稿日:2026/01/06 10:58 ID:QA-0162729
- ロクサンズさん
- 山梨県/電機(企業規模 51~100人)
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
本件の争点は、出張先の勤務時間(8時間10分)が、出張元である貴社の労働契約・就業規則との関係で「時間外労働」に該当するかという点です。
1.結論
結論から申し上げますと、
原則として、1日10分分の残業代を支払う必要があります。
総務側の「出張だから残業はつかない」という整理は、労基法上は成立しにくいと考えられます。
2.労働時間判断の基本原則
労働時間・時間外労働の判断は、
「誰の就業規則・労働契約に基づいて労務提供しているか」
によって決まります。
本件では、
労働契約上の所定労働時間:1日8時間
雇用主:貴社
出張:あくまで貴社業務命令に基づく一時的配置
であり、雇用関係は一貫して貴社にあります。
したがって、系列会社の所定労働時間(8時間10分)が、
そのまま貴社従業員の所定労働時間になるわけではありません。
3.就業規則(3)の解釈について
就業規則の
「系列会社へ出張時は、系列会社の始業・終業時間に従う」
という規定は、通常、
業務運営上の秩序・協調を図る趣旨
始業・終業時刻(何時に来て、何時に退勤するか)の統一
を意味するものであり、
労働契約上の所定労働時間そのものを延長する趣旨とまでは解釈されません。
仮にこれを「所定労働時間も自動的に8時間10分になる」と解釈すると、
労働条件の不利益変更
就業規則の明確性・合理性の問題
が生じ、労基法・判例実務上も相当とはいえません。
4.1年単位の変形労働時間制との関係
1年単位の変形労働時間制を採用している場合でも、
あらかじめ就業規則・勤務カレンダー等で定めた所定労働時間を超える労働
は、原則として時間外労働となります。
出張先の都合により所定を超えて労務提供させた場合、
その超過分を「変形だから」「出張だから」として無償化することはできません。
5.実務上の適切な対応
現行規程のままであれば、次のいずれかが現実的です。
(1) 出張時の8時間を超える10分を時間外労働として支給
(2) 出張時の所定労働時間を含めた変形労働時間制の再設計・明文化
(3) 出張専用の取扱規程(みなし・調整ルール)を整備
特に(1)は最も法的リスクが低く、労使トラブルを回避しやすい方法です。
6.結論
出張先の所定労働時間が長くなっても、雇用元の所定労働時間は変わらない
1日8時間を超える10分は、原則として時間外労働
残業代不支給とするには、就業規則・変形労働時間制の再設計が必要
したがって、現行の就業規則の下では、10分の残業代支払いが必要と考えられます。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2026/01/06 11:40 ID:QA-0162734
相談者より
明確なるご回答ありがとうございます。1つ質問させてください。基本的には(1)にて対応しますが、参考までに(2)を選択した場合、規程にどのような文面を記載すれば宜しいのでしょうか?
投稿日:2026/01/06 13:05 ID:QA-0162744大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
実際に勤務した時間に合わせて給与支給する義務があります。8時間10分勤務を出張時に行ったのであれば、無しにはできません。給与不払いとなる可能性もあります。
もっとも、「出張時は、系列会社の始業・終業時間に従う」という条文に無理が無いでしょうか。出張であれば始業終業時間に合わない業務が普通のように思いますが、それが例外なのかどうか、貴社業務に照らして判断すべきです。
通常、出張時はみなし勤務にするなど、現実的な運用を規則化することが多いのはそのためです。
投稿日:2026/01/06 11:48 ID:QA-0162736
相談者より
「出張時は、系列会社の始業・終業時間に従う」という文面に無理があるとのご指摘ありがとうございます。早急に検討したいと思います。ご回答ありがとうございました。
投稿日:2026/01/06 13:40 ID:QA-0162752大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
貴社の所定労働時間が8時間と定められている以上、出張先での勤務が8時間10分
に及ぶ場合は契約上の労働時間を超えることになります。
また、法定労働時間の8時間を超える10分間については、労働基準法に基づき、
割増賃金の支払い義務が生じます。
就業規則の規定は勤務時間帯の調整を目的とするものであり、労働時間の延長を
無制限に認める根拠にはなり得ませんので10分ぶんの残業代の支払いは必要です。
投稿日:2026/01/06 11:51 ID:QA-0162737
相談者より
10分の残業代が必要とのこと。よく理解できました。ご回答ありがとうございました。
投稿日:2026/01/06 13:41 ID:QA-0162754大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
追加のご質問にご回答申し上げます。
追加のご質問をいただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
考え方や規定等につきましては、ご説明申し上げました通りです。
追加のご質問
「(2)を選択した場合、規程にどのような文面を記載すれば宜しいのでしょうか?」
につきましての最終の判断は、所轄の労働基準監督署が行うものと存じます。
つきましては、本ご質問は、所轄の労働基準監督署の監督官にご確認されることをお勧め申し上げます。よろしくお願いいたします。
投稿日:2026/01/06 14:46 ID:QA-0162760
相談者より
ご回答ありがとうございます。必要に応じ労基署へ確認致します。
投稿日:2026/01/06 16:41 ID:QA-0162767大変参考になった
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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