健康診断結果に対する医師の意見聴取について
いつも大変お世話になっております。
労基の調査時に、健康診断の結果所見あり社員について
医師から意見聴取をしていないことについて指摘をうけました。
恥ずかしながら、義務付けられていることを知らず、
これから急いで対応するところです。
その中でいくつか疑問があり、ご教授いただけますでしょうか。
①二以上事業対象者
二以上事業対象者で常勤しているのは弊社ですが、保有資格の問題で選択事業所を別会社にしております。健康診断は別会社で受診。
②中途入社
前職で健康診断を実施され、入社後コピーを提出いただいている。
①②では、弊社で意見聴取をする必要があるでしょうか。
それもと対象外となるでしょうか。
また、医師から意見聴取をする場合従業員からの同意が必要でしょうか。
必要ない場合、意見聴取をすることの案内文を作成し、配布する予定です。
必要な場合、全員から同意書の提出が必要でしょうか。もしくは代表従業員からの同意でも問題ないでしょうか。
以上、ご回答いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/11 15:17 ID:QA-0161868
- てん10さん
- 北海道/その他業種(企業規模 11~30人)
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
(1) 健康診断結果に所見がある場合、医師の意見聴取は事業者の義務(安衛法66条の4)
→ 所見あり者は全員対象。
→ 二以上事業者や前職健診コピーであっても、当社が「現に使用している」以上は原則意見聴取が必要。
(2) 医師意見聴取に従業員の同意は本来不要
→ 法令に基づく「事業者の義務」であり、同意の有無に関係なく実施できる。
→ ただし「個人情報の扱い」についての通知は望ましい。
2.二以上事業対象者の場合の扱い
ポイントは「どの会社に対する健康確保義務があるか」です。
●労基法・安衛法上の責任者は
“現在使用している事業者”(=御社)
選択事業場が別会社であっても、それは雇用保険・社会保険上の選択の問題であり、
→ 健康診断における事業者の安全配慮義務とは無関係。
よって
御社において意見聴取義務が発生します。
健診実施が別会社であっても、
健診結果を御社が把握し
就労場所が御社である以上
御社が意見聴取を実施することになります。
3.中途入社者(前職の健診結果コピー提出の場合)
結論:
→ 所見ありなら御社で医師意見聴取が必要。
理由:
安衛法66条1項は「雇入時健康診断」を規定
ただし「3ヶ月以内の前職健診を代替活用してよい」運用がある
しかし
意見聴取義務(66条の4)は“現在の事業者”に課されるもの
つまり、
健診そのものは前職の結果で代替可能でも、
意見聴取は御社が実施しなければ法令遵守にならない。
4.医師意見聴取には従業員同意が必要か?
●結論:不要(法令に基づく事業者義務)
安衛法66条の4により、
医師の意見聴取は「事業者が必ず行わなければならない義務」であり、
本人が拒否しても実施可能
同意書は法定書類ではない
よって「法的に必要な同意」はありません。
5.従業員への案内・同意書の扱い
同意は不要ですが、次の配慮が望ましいです。
●案内文として通知する内容
健診結果に所見がある場合は医師に意見聴取すること
法令に基づく安全衛生上の義務であること
個人情報の取扱いは安全衛生目的に限定する
就労上の配慮が必要な場合の措置内容
これは「本人の安心」と「個人情報保護法対応」のため。
●同意書は不要
企業によっては任意で「健康情報取扱い同意書」をとる場合もあるが、
法定義務ではない。
●代表者の同意で代替は不可
個人情報であるため、
もし「同意書を任意でとる」場合は個別同意が必須。
6.行政指摘を受けないための実務ポイント
所見あり者をリスト化(自動抽出)
産業医へ意見聴取依頼(個人情報通知の文書付)
医師意見書を保管(5年間)
意見内容に基づき就労措置を実施(配置転換・残業制限等)
措置記録の保存(5年間)
本人への説明記録も残す
行政調査では「実施した証跡」が重要です。
7.まとめ
健診結果に所見がある場合の「医師意見聴取」は、御社が事業者として必ず実施しなければならない義務(安衛法66条の4)。
二以上事業所勤務者でも、前職健診のコピー利用者でも、御社が現使用者である以上、御社が意見聴取を実施する必要がある。
意見聴取に従業員の同意は不要。通知文を配布すれば十分。
同意書が必要な場合は、個人情報の観点から個別同意となる。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/11 15:39 ID:QA-0161869
相談者より
井上様
いつも参考にさせていただいております。
今回についてもわかりやすく詳細に教えていただき大変助かりました。
二以上事業や中途採用者についても対応いたします。
また、文章は同意書ではなく、必要性を記載した案内文章を作成し従業員に周知いたします。
また、意見聴取に関する書類も必要年保存するようにいたします。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/12/11 16:06 ID:QA-0161876大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
健康診断で有所見者がいる場合、安衛法により事業者は医師の意見聴取を
行う義務があります。
二以上事業対象者であっても、実際に労務管理を行うのが御社であれば、
健診を他社で受けていても、御社にも意見聴取義務が生じます。
中途入社者について、前職の健診で有所見があれば、使用者である御社が
意見聴取を行う必要があります。
従業員の同意は、医師意見聴取そのものには不要ですが、健診結果を医師へ
提供する目的を明示するため、案内文などで事前通知することは必要です。
以上が原則的な考え方ですが、今回、労基署より指摘を受けておりますので、
最終確認は所轄の労基署へ行っていただくのが安全です。場合によっては、
事情等に配慮した柔軟な判断が下される場合もあります。
投稿日:2025/12/11 15:50 ID:QA-0161872
相談者より
米倉様
承知いたしました。
二以上、中途に関しても他社員同様に対応いたします。
同意書は得ず、事前に案内文章を作成し従業員に周知いたします。
労基へは是正の日程を告げられていますので、
地域の産業センターに連絡しそれまでに意見聴取ができるよう手配するように進めます。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/12/11 16:08 ID:QA-0161877大変参考になった
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
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