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有休休暇を分割付与から通常付与への変更について

いつもお世話になっております。

表題の件についてご質問させていただきます。

弊法人では現在、正社員を例にすると入社時に3日、入社時から6ヶ月経過後に7日の有休を付与し、その後は入社時ではなく入社後6ヶ月経過後から1年後を次回付与日とする運用を行っております。後者の入社後6ヶ月経過後を基準日とする運用は分割付与においては明確な法令違反であることは勿論認識しておりますので、そこも含めて早急な変更を検討しております。

上記を踏まえ質問させていただきます。

① 現在の分割付与(入社時3日+6ヶ月経過後7日)を通常付与(入社時0日+6ヶ月経過後10日)に変更し、6ヶ月経過後に法定日数を付与、以降は入社から6ヶ月経過後を基準日として翌年以降付与する。また、これまで入社時に前倒しで付与していた3日分については特別休暇(入社時特別休暇、目的制限なし)を新設し、入社時に2日付与(過去のデータを抽出したところ、入社時の3日について、6ヶ月以内に3日間取得した方は殆どいない)とすることを検討しております。この場合、入社時の付与日数が有休3日から特別休暇2日に減ってしまうので、やはり不利益変更に該当してしまい、職員ひとりひとりの同意が必要になってくるのでしょうか。確かに入社時の付与日数は3→2日に変わっていますが、合計日数としては有休3日+有休7日が特別休暇2日+有休10日で特別休暇も有休休暇も総数としては増加する扱いとなってはおります。
② ①において、入社時特別休暇の付与日数を2日ではなく3日とした場合はいかがでしょうか。
③ ①において、入社時特別休暇を病気休暇(目的を病欠等に限定する)とした場合はいかがでしょうか。

ご多忙のところ申し訳ございませんがご回答よろしくお願いいたします。

投稿日:2025/11/25 17:39 ID:QA-0161133

アストラエルさん
東京都/医療・福祉関連(企業規模 101~300人)

プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答9

プロフェッショナルからの回答

井上 久
井上 久
井上久社会保険労務士・行政書士事務所 代表

ご回答申し上げます。

ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。

大前提
1. 年休の法定付与日は「6か月+8割出勤」で一括10日付与が原則
(労基法39条1項)
(1)分割付与は
「労働者が取得する蓋然性がある少数日数」
「残りは6か月後」
のみ許容される(行政通達 昭63.3.14基発150号)。
御法人の「6か月後から1年後を基準日とする運用」は、
ご認識のとおり 法定基準日をズラす点で違反性があるため、早急な是正が必須。

(2)総論(不利益変更の判定基準)
不利益変更の判断は“制度全体でみる”か、“該当する休暇制度単独でみる”かで結論が分かれます。
判例の傾向:
加重・複合的利益衡量(全体で増えているなら不利益と言いにくい)
…電電公社事件、丸子警報器事件の系統
休暇制度ごとの個別評価(特別休暇→有休の日数削減は不利益)
…トヨタ自動車事件、国立大学法人事件の系統
→「有休から“目的制限のある休暇”への置換」「自由度の減少」は不利益と判断されやすい。

2.質問に対する回答
(1)入社時3日(有休)→ 特別休暇2日(目的制限なし)+ 有休10日(6か月後)
結論:“不利益変更と評価される可能性は低い”。同意は原則不要。
   ただし、制度整備上「説明・意見聴取(労使協議)」は推奨。
理由(ポイント)
(1) 総日数が実質的に増える(10+2=12日>10日)
入社後6か月までの期間で比較
項目→旧制度→新制度
入社時付与→有休3日→特別休暇2日
6か月経過後→有休7日→有休10日
合計→10日→12日(+2日)
よって年間ベースの労働者の利益は増加。

(2)「有休 → 特別休暇」でも、特別休暇に目的制限がないことが重要
→ 使用自由度は実質同等
→ 法的劣後(労基法39条の年休)とはいえ、
 “日数の減少ではなく、制度全体でみれば利益増” のため不利益性は弱い。
判例でも、
“制度全体での利益増”は不利益変更にあたらない可能性が高い
とされる。

(3)実務上もこの変更はよく行われ、労基署も「問題なし」と扱うケースが多い
特に
法違反状態の是正
全体としてのメリット付与
特別休暇の目的制限がない
という3点が揃うため、実務上は同意不要で改定可能。

結論(1)
→ 不利益変更とは評価されない可能性が高い
就業規則変更(意見書・届出)は必要
→ 個別同意は原則不要
→ ただし説明文書の配布・周知は必ず行う

(2)入社時特別休暇の付与日数を「3日」とした場合
結論:不利益変更のリスクゼロ。完全に労働者有利。
入社時 3日 → 特別休暇3日
6か月後 7日 → 有休10日
合計 10日 → 13日
→ 旧制度より 確実に利益が増える
よって、
不利益変更ではなく「労働者に有利な変更」と判断され、同意不要。
むしろ労働者は有利なのでリスクゼロ。

(3)入社時特別休暇を「病気休暇(病欠に限定)」にした場合
結論:=不利益変更。原則として「個別同意が必要」。
最も注意すべきポイントです。
理由
(1) 有休3日(自由利用)→ 病気に限定された休暇2日or3日
→ 使用自由度が大幅に減少(年休は完全に自由利用)
→ 判例でも自由度減は不利益と明確に評価
 (例:国立大学法人事件・目的限定の休暇への置換は不利益)
(2) 病気休暇は「私用には使えない」=労働者の利益が下がる
→ 健康管理上の福利厚生だが、
 “年休と同等の価値”はない
→ 明確に不利益
では、労使協議の“合意”ならどうか?
就業規則の変更により対応は可能だが、
不利益変更に該当するため、
労働者の個別同意(入社済職員)
または、合理性が極めて高い場合(判例型の高度要件)
が必要。
今回のケースは、
“法違反状態の是正”+“病気休暇の導入”
というメリットがあるものの、
入社時休暇の「自由利用性」が下がる
→ 不利益の方が優先評価される可能性が高い。
実務上は個別同意を取るべき。

3.まとめ
変更案→不利益変更?→個別同意→実務リスク
(1)有休3 → 特別休暇2(自由利用)+有休10→原則 不利益でない→不要→低
(2) 有休3 → 特別休暇3(自由利用)+有休10→不利益でない→不要→無
(3) 有休3 → 病気休暇2〜3(目的限定)+有休10→不利益変更→必要→高
特に(3)は要注意です。

4.推奨案(実務とリスク低減)
もっとも合理的なのは(1)の方式+特別休暇2日(自由利用) です。
法違反の是正
労働者側のメリット(総日数増)
特別休暇は目的制限なしで自由利用
個別同意不要
労基署にも説明が通りやすい
判例上も不利益性が乏しい
特別休暇を3日にする必要もなく、2日で十分に合理的です。
以上です。よろしくお願いいたします。

投稿日:2025/11/26 12:02 ID:QA-0161161

相談者より

ご回答ありがとうございました。大変参加になりました。
追加で質問失礼します。
仮に特別休暇を付与せずに、現状の分割付与(入社時3+6カ月経過後7日)を通常付与(入社時0+6カ月経過後10日)のみの変更となった場合は不利益変更+個別同意まで必要でしょうか。全体としては日数に変わりはないから同意までは不要でしょうか。

投稿日:2025/11/29 08:23 ID:QA-0161279大変参考になった

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プロフェッショナルからの回答

小高 東
小高 東
東 社会保険労務士事務所 代表(特定社会保険労務士) 

ご質問の件

1.2.3
特別休暇(入社時特別休暇、目的制限なし)を新設しとありますが、
この特別休暇が労基法の有休以外の特別休暇なのか、
あるいは、労基法の有休を名称だけ変えているだけなのかによります。

特別休暇2日+有休10日ということで、労基法の有休とは別物であれば、
もともと3日取得者はいない、かつ有給が増えていますので、
不利益変更とまではならないでしょう。

特別休暇ということですので、労基法の有休を増やすというよりは、
別物とした方がよろしいでしょう。
その場合には、入社半年後に労基法の有休を10日付与するのであれば、
付与日を変更する必要はありません。

投稿日:2025/11/26 12:15 ID:QA-0161163

相談者より

ご回答ありがとうございました。大変参加になりました。
追加で質問失礼します。
仮に特別休暇を付与せずに、現状の分割付与(入社時3+6カ月経過後7日)を通常付与(入社時0+6カ月経過後10日)のみの変更となった場合は不利益変更+個別同意まで必要でしょうか。全体としては日数に変わりはないから同意までは不要でしょうか。

投稿日:2025/11/29 08:23 ID:QA-0161280大変参考になった

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プロフェッショナルからの回答

米倉 徹雄
米倉 徹雄
KIZASHIリスキリング社会保険労務士法人 代表社員

回答いたします

ご質問について、回答いたします。
※前提、特別休暇は有給の特別休暇と解釈させていただきました。

|不利益変更に該当してしまい、職員ひとりひとりの同意が必要になってくる
|のでしょうか。

ご記載内容を拝見する限り、1つ1つで判断すれば不利益部分もあると見えますが、
総合的に考えれば、1の変更によって従業員が被る不利益の程度は大きなもので
はありません。よって、不利益変更には該当しない内容かと思案します。

特段、2日を3日にする必要もないと考えられます。

また、入社時特別休暇を病気休暇(目的を病欠等に限定する)とする
ことも不利益変更に該当するものとまでは言えないと判断します。

投稿日:2025/11/26 14:54 ID:QA-0161181

相談者より

ご回答ありがとうございました。大変参加になりました。
追加で質問失礼します。
仮に特別休暇を付与せずに、現状の分割付与(入社時3+6カ月経過後7日)を通常付与(入社時0+6カ月経過後10日)のみの変更となった場合は不利益変更+個別同意まで必要でしょうか。全体としては日数に変わりはないから同意までは不要でしょうか。

投稿日:2025/11/29 08:24 ID:QA-0161281大変参考になった

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プロフェッショナルからの回答

服部 康一
服部 康一
服部賃金労務サポートオフィス代表

お答えいたします

ご利用頂き有難うございます。

ご相談の件ですが、ご認識の通り入社時の休暇付与日数が減る事から労働条件の不利益変更に該当するものといえます。

しかしながら、休暇総数自体は減らない事に加えまして、今後新たに入社する社員のみが適用対象者になる事からも、不利益の程度は低いものといえます。

従いまして、従業員に対し真摯に変更事情を説明される事によって、労働契約法第10条でも示されています通り変更後の措置も特に個別同意を得られなくとも有効になるものと考えられますし、それ故2の措置とされる方がベターとはいえますが必要とまではいえないでしょう。

また、3の措置につきましても違法性を問われる可能性は低いでしょうが、敢えて病気休暇に限定する理由は乏しいともいえますので、限定されないのが望ましいとはいえるでしょう。

投稿日:2025/11/26 19:11 ID:QA-0161197

相談者より

ご回答ありがとうございました。大変参加になりました。
追加で質問失礼します。
仮に特別休暇を付与せずに、現状の分割付与(入社時3+6カ月経過後7日)を通常付与(入社時0+6カ月経過後10日)のみの変更となった場合は不利益変更+個別同意まで必要でしょうか。全体としては日数に変わりはないから同意までは不要でしょうか。

投稿日:2025/11/29 08:24 ID:QA-0161282大変参考になった

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人事会員からの回答

オフィスみらいさん
大阪府/その他業種

従業員には明らかに不利益が及ぶわけでもなく、総合的に判断すれば、不利益変更とまではいえないでしょう。

あえて2日を3日にする、あるいは入社時特別休暇を病気休暇とすることに、合理的な理由も見当たりません。

投稿日:2025/11/27 09:52 ID:QA-0161206

相談者より

ご回答ありがとうございました。大変参加になりました。
追加で質問失礼します。
仮に特別休暇を付与せずに、現状の分割付与(入社時3+6カ月経過後7日)を通常付与(入社時0+6カ月経過後10日)のみの変更となった場合は不利益変更+個別同意まで必要でしょうか。全体としては日数に変わりはないから同意までは不要でしょうか。

投稿日:2025/11/29 08:24 ID:QA-0161283大変参考になった

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プロフェッショナルからの回答

服部 高明
服部 高明
服部 社会保険労務士事務所 代表

労働基準法

 以下、回答いたします。

(1)今後入社される方々が対象になる場合、労働契約法第7条が適用されることになろうかと思われます。

第七条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

(2)本件の場合、労働基準法に則り是正対応するものであり、また同法で定められている最低基準を上回る内容であり、特段の支障は生じないものと認識されます。


第十三条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。

投稿日:2025/11/27 09:58 ID:QA-0161209

相談者より

ご回答ありがとうございました。大変参加になりました。
追加で質問失礼します。
仮に特別休暇を付与せずに、現状の分割付与(入社時3+6カ月経過後7日)を通常付与(入社時0+6カ月経過後10日)のみの変更となった場合は不利益変更+個別同意まで必要でしょうか。全体としては日数に変わりはないから同意までは不要でしょうか。

投稿日:2025/11/29 08:25 ID:QA-0161284大変参考になった

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プロフェッショナルからの回答

服部 康一
服部 康一
服部賃金労務サポートオフィス代表

再度お答えいたします

ご返事下さいまして感謝しております。

お尋ねの件につきましては、ご認識の通りと考えられますが、労働者に真摯に説明される事が重要といえるでしょう。

投稿日:2025/11/29 12:54 ID:QA-0161286

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プロフェッショナルからの回答

服部 高明
服部 高明
服部 社会保険労務士事務所 代表

労働契約法第7条

【追加の御相談】
 仮に特別休暇を付与せずに、現状の分割付与(入社時3+6カ月経過後7日)を通常付与(入社時0+6カ月経過後10日)のみの変更となった場合は不利益変更+個別同意まで必要でしょうか。全体としては日数に変わりはないから同意までは不要でしょうか。

【回答】
(1)現在の社員については、付与日が前倒し(6か月)されることから不利益は生じないものと認識されます。

(2)一方、「今後入社される方々」に対しては、現状の分割付与(入社時3+6カ月経過後7日)ではなく通常付与(入社時0+6カ月経過後10日)がなされることになります。
 この場合、入社に際して新たに締結される「労働契約」の内容として、「(変更のあった)就業規則の内容(通常付与)」が適切なものなのかどうかが論点になろうかと思われます。具体的には、労働契約法第7条の規定に則り判断されるものと考えられます。

(3)本件の場合、労働基準法で定められている内容であり、また、同法に則り是正対応するものであり、特段の支障は生じないものと認識されます。個別同意も必要ないものと考えられます。

(御参考)
(労働契約の成立)
第七条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

投稿日:2025/11/29 13:04 ID:QA-0161288

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プロフェッショナルからの回答

井上 久
井上 久
井上久社会保険労務士・行政書士事務所 代表

追加のご質問にご回答申し上げます。

追加のご質問をいただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
考え方や規定等につきましては、ご説明申し上げました通りです。
追加のご質問
「仮に特別休暇を付与せずに、現状の分割付与(入社時3+6カ月経過後7日)を通常付与(入社時0+6カ月経過後10日)のみの変更となった場合は不利益変更+個別同意まで必要でしょうか。全体としては日数に変わりはないから同意までは不要でしょうか。」
につきましての最終の判断は、所轄の労働基準監督署が行うものと存じます。
つきましては、本ご質問は、所轄の労働基準監督署の監督官にご確認されることをお勧め申し上げます。よろしくお願いいたします。

投稿日:2025/11/29 22:05 ID:QA-0161296

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回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。



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