有給休暇申請での違法なこととは
いつも悩んだ時にご相談させて頂き大変助かっております。
有給休暇の取得時申請についてですが
・有給休暇申請はいつまでに行うのが正しいのか?またそれは会社側が決めたことが絶対であり、就業規則に記載されていれば従わざるを得ないのか?
(就業規則に記載がなくても代表者の意見は絶対?)
・申請するのに理由の記載は必要なのか?
・申請は当日、もしくは後日でも受理出来るのか?
(病欠、コロナのような感染症での欠勤には使えないのか?)
会社側の対応が違法となることを知りたくて質問しました。
現状具体的な申請方法として
・3週間前までに申請すること
・取得理由を記載
・病欠等の当日の欠勤には使えない
これらに違法性は無いのでしょうか?
よろしくお願いいたします
またカテ違いでしたら申し訳ありません。
投稿日:2025/10/20 10:22 ID:QA-0159675
- ポヨポヨさん
- 北海道/その他業種(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|・3週間前までに申請すること
一般的には、時季変更権の行使に必要な期間として3日から1週間程度が
妥当とされています。3週間前は問題となった際、よほど合理的な理由が
ない限り、長すぎると判断される可能性が高いものと思案いたします。
|・取得理由を記載
有給休暇の利用目的は、労働基準法の関知しないところとされており
(自由利用の原則)、会社は労働者に対して取得理由を尋ねる義務も、
労働者が会社に理由を伝える義務もありません。
よって、業務上の必要性が無い限りは、理由記載は任意・又は、私用の為
と指導なされるのが宜しいでしょう。
|・病欠等の当日の欠勤には使えない
急な病欠等の当日申請を有給休暇として認めることを一切拒否するのは、
労働者の有給休暇取得の権利を侵害し、違法となる可能性があります。
当日申請でも、事業の正常な運営を妨げる特段の事情がない限り、認める
必要があります。
投稿日:2025/10/20 12:12 ID:QA-0159686
相談者より
お世話になっております。
明確な回答を頂き大変参考になりました。
今後の会社側の対応に役立たせて頂きます。
ありがとうござういました。
投稿日:2025/10/20 14:29 ID:QA-0159691大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
結論
有休の取得時期・理由は原則として労働者の自由。会社は手続のルールを定められるが、事実上有休取得を実質不可能にするような運用は違法。病気・感染症での取得を一律に否定することも原則違法。
1. 法律の大前提(重要)
・年次有給休暇は労働者が請求する時季に与えなければならないのが原則です。使用者は「事業の正常な運営を妨げる場合」に限って取得時期の変更(時季変更権)を行使できます。
・「時季変更権」は使える場合と使えない場合が判例・実務で細かく判断されます(代替要員の有無・繁忙度・業務の性質など総合判断)。濫用は違法となり得ます。
2. 「いつまでに申請させるか」(事前申請期間)──法的評価
・法定で〆切日(何日前まで)を定める規定はありません。したがって会社は就業規則等で事前申請の方法や期限を定められますが、
その手続きが実質的に有給取得を妨げる(事実上取得不可能にする)運用なら違法となります(裁判例・労務実務の考え方)。
・したがって「3週間前必須」と就業規則で定めること自体は可能ですが、実務上は例外(急病ややむを得ない事情)を認める運用にしておかないと違法リスクが高まります。
3. 「理由の記載は必要か」──法的評価
・有給取得の理由を問う必要はないのが原則です(理由によって取得を拒否することは許されません)。ただし業務上の調整のために最小限の確認(連絡手段や緊急連絡先など)を求めることは許されます。
・実務で理由を申請書に書かせる運用は違法ではないものの、理由を根拠に一律に拒否したり差別的取り扱いをするのは違法リスクあり。
4. 「当日申請・後日申請の可否」──法的評価
・当日申請や事後申請を一切認めないとする運用は問題です。事前申請が原則でも、急病などのやむを得ない事情に対応できる仕組み(当日連絡の方法、事後申請の受付ルール)を用意しておくべきです。労働局の相談例でも、事後に年休化するかどうかは制度的に明確にしておくことが重要とされています。
5. 「病欠・感染症(例:コロナ)での有休利用」──法的評価
・病気や感染症だからといって年休が使えないという扱いは原則違法です。年休は理由を問わず取得可能。事業所独自の病気休暇制度があるならそちらを使う選択肢はあり得ますが、年休を一律否定することはできません。
6.ご提示の現行ルール(評価)
・3週間前までに申請すること
・取得理由を記載
・病欠等の当日の欠勤には使えない
・「3週間前までに申請」:規則で定められるが、急病・緊急時の例外規定がないなら運用は違法リスクあり(事実上取得できない運用と評価される恐れ)。
・「取得理由の記載」:理由記載自体は違法ではないが、理由を理由に却下・不利益取扱いをすることは違法。必要最小限に留めるか「任意記載」扱いが無難。
・「当日の病欠には使えない」:原則として認められない(違法)。病気や感染症で欠勤した日に事後申請で年休に振り替えることを認める制度か、最少でも個別判断の仕組みを用意する必要がある。
7.「時季変更権(会社が時期を変更する権利)」についての運用上の注意
・会社が時季変更権を行使する場合は、その行使が事業の正常な運営を妨げる具体的事情に基づく必要があります。漠然と「繁忙期だから」とするだけだと裁判で違法とされるケースがあります。行使する際は事情の説明と代替案(可能な範囲で)提示が実務上望ましいです。
8.まとめ
・会社は事前申請ルールや様式を定められるが、「事実上有休を使わせない運用」は違法。例外(当日・事後申請)を必ず用意すること。
・取得理由は原則不要。理由を根拠に一律拒否したり差別的取り扱いをするのは違法リスク。
・病欠や感染症での取得を一律に否定することはできない(就業規則で病気休暇など別制度を設けることは可能だが、年休まで否定してよいわけではない)。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/20 12:16 ID:QA-0159687
相談者より
お世話になっております。
詳細な回答を頂きありがとうございます。
就業規則に記載の内容とも確認しながら会社側の対応に役立たせて頂きます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/10/20 14:32 ID:QA-0159694大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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