派遣社員の健康診断の結果について
先日、派遣元窓口の方と会話をした際、
A社は、社員の健康診断の結果を確認し、不安な点があれば都度社員と会話をしている
B社は、個人情報の観点から社員の一般健康診断の結果はいっさい把握しておらず、管理もしていない、本人に特に確認はしないため健康状態はわからない
という回答でした
派遣元企業は、派遣社員への健康診断の実施義務、健康診断の結果を把握することが原則として義務付けられているのかと思っていましたが、個人情報の保護から、B社のような対応もあり得るのでしょうか。
投稿日:2025/08/25 14:54 ID:QA-0157115
- もやもやさん
- 静岡県/輸送機器・自動車(企業規模 3001~5000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 派遣元の健康診断に関する法的義務
労働安全衛生法第66条では、事業者(派遣元も含む)は労働者に対して一般健康診断を実施する義務があります。
また、同法第66条の4では、医師等から交付された診断結果(意見書)を記録・保存しなければならないとされています。
したがって派遣元企業には、健康診断を実施すること、
結果(少なくとも「有所見か否か」など)を把握し、必要に応じて就業上の措置を行うことが法的に求められています。
2. 健康診断結果と個人情報の取り扱い
健康診断の結果は要配慮個人情報にあたり、本人の同意なく第三者(派遣先など)に提供することはできません。
ただし、派遣元が自ら把握・管理することは法令上の義務なので、個人情報保護法に反するものではありません。
つまり、派遣元が結果を把握すること自体は必須(法令義務)
派遣先にそのまま結果を伝えることは原則NG(本人同意が必要)
という整理になります。
3. 事例に対する考え方
A社の対応
健康診断結果を把握し、必要に応じて社員と面談している。これは法令の趣旨に沿った適正な運用です。
B社の対応
「個人情報だから結果を一切見ない」としてしまうのは、派遣元の義務(結果把握・保存・就業上の措置)を履行していない可能性が高いです。
もし本当に一切結果を見ていないなら、労安法違反になり得ます。
4. 実務でのバランス
派遣元は健康診断結果を本人から直接回収して保存し、必要に応じて産業医意見を聴取する。
派遣先には、必要最小限の情報(「就業制限の有無」「配慮が必要か否か」など)を本人同意の上で提供する。
「個人情報だから見ない」ではなく、「本人同意なく外部に出さない」というのが正しい考え方
5.まとめ
派遣元には健康診断の実施と結果の把握・管理義務があります。
B社のように「結果は一切把握していない」という運用は、個人情報保護を理由にしても正当化できず、法令違反の可能性があります。
ただし、派遣先への提供は本人の同意がなければできません。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/25 15:53 ID:QA-0157125
相談者より
派遣元が派遣社員の健康診断の結果を管理、把握することは、労安法で義務付けられていると思っていたので、B社の派遣元担当者の言葉には非常に違和感がありました。
A社からもB社からも50代の社員を派遣社員として受け入れています。
このところ、40代、50代の派遣社員を救急車で搬送する事例も出てきましたので、B社の対応には不安がありました。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/26 14:00 ID:QA-0157255大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
B社の対応は、法令に遵守していない可能性が高いものと思案しますが、
正確には、常時使用する労働者に該当するか否かで判断が変わります。
B社について、健康診断を実施しない理由を聞いてみるのが良いでしょう。
労働安全衛生法により、派遣元企業には派遣社員に対して以下の義務があります。
↓ ↓ ↓
<健康診断の実施義務>
特定の有害業務に従事しない場合でも、常時使用する労働者(1年以上の雇用見込み
があり、週の労働時間が正社員の4分の3以上)に対しては、雇入れ時および年1回の
定期健康診断の実施が義務付けられています。
<健康診断結果の把握・管理義務>
健康診断を実施した事業者は、その結果を適切に記録・保存し、医師の意見を聞いて必要に応じて就業上の措置を講じる義務があります。これは労働者の健康管理を目的としているため、個人情報保護法よりも労働安全衛生法が優先されます。
投稿日:2025/08/25 16:13 ID:QA-0157129
相談者より
ご回答ありがとうございました。
健康診断の結果は把握していないと、派遣元担当者から言われましたが、実施をしていないとは聞いていなかったので、確認したいと思います。
投稿日:2025/08/26 13:46 ID:QA-0157248参考になった
プロフェッショナルからの回答
派遣会社
一般的には「一般健康診断」は派遣元企業、「特殊健康診断」は派遣先企業に実施義務があります。
派遣会社が「社員の一般健康診断の結果はいっさい把握していない」ということはありません。何より安全配慮義務があるので、個人情報保護にも反しません。
投稿日:2025/08/25 16:25 ID:QA-0157136
相談者より
労安法で義務付けられていると思っていたので、
B社の派遣元担当者から、社員の健康状況は把握していないと聞いて非常に違和感がありました。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/26 13:52 ID:QA-0157252参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
B社の対応はあり得ません。
労働安全衛生法上、
健康診断実施義務とその結果の把握、対応義務は会社にあるからです。
むろん個人情報なので、提供範囲は必要最低限とするなど配慮などは必要です。
投稿日:2025/08/25 17:36 ID:QA-0157156
相談者より
労安法で義務付けられていると思っていたので、
B社の派遣元担当者から、社員の健康状況は把握していないと聞いて非常に違和感がありました。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/26 13:49 ID:QA-0157250参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、使用者は当然ながら労働安全衛生法等で義務付けられている従業員の就業上の健康管理をされる必要がございます。派遣元会社につきましても雇用主としましてこうした法的義務が発生します。
そして、こうした法令上の義務を果たす上で必要とされる措置につきましては、個人情報保護の対象外とされていますので、当然ですが把握しない・管理しないといった措置については認められません。
投稿日:2025/08/25 19:11 ID:QA-0157168
相談者より
労安法で義務付けられていると思っていたので、
B社の派遣元担当者から、社員の健康状況は把握していないと聞いて非常に違和感がありました。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/26 13:49 ID:QA-0157249参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご参考
ご参考として、厚生労働省作成のパンフレット「派遣労働者の労働条件・安全衛生の確保のために ~派遣元・派遣先の責任区分の十分な理解と相互の連携を~」について情報提供させていただきます。
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000868397.pdf
以下の記載があります。
※安全衛生の確保に関する重点事項<派遣元>として、「健康診断の及びその結果に基づく事後措置等」。
※安全衛生の確保に関する重点事項<派遣先>として、「特殊健康診断」。
※派遣元と派遣先が連携して実施すべき重点事項として、「健康診断に関する協力や配慮」。
投稿日:2025/08/25 23:11 ID:QA-0157182
相談者より
労安法で義務付けられていると思っていたので、
B社の派遣元担当者から、社員の健康状況は把握していないと聞いて非常に違和感がありました。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/26 13:52 ID:QA-0157254参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
B社のような対応はあり得ません。
個人情報保護の意味をはき違えているのではないでしょうか。
健康診断実施、その結果の把握は会社として当然の責務です。
投稿日:2025/08/26 09:24 ID:QA-0157203
相談者より
B社の派遣元担当者は、これまでにも虚偽の発言が多く、不安に思っていました。
今回、個人情報の保護の観点から、社員の健康状況は把握していないと聞いて非常に違和感がありました。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/26 13:51 ID:QA-0157251参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。