「プロフェッショナルなエンジニア」という
働き方を実現
転職を伴わない人材の流動化を促し、
日本経済の発展に寄与する
株式会社メイテック 代表取締役社長
國分秀世さん
経営陣の一員に加わり、社会に新たな価値を提供することを意識
広報部長に始まり、さまざまな本社業務を歴任されています。印象に残っている仕事についてお聞かせください。
とにかくすべての部署の仕事が、初めての経験でした。しかし、どんな部署も会社の一部なので、全体の中で果たすべき役割は何なのか、他部署とどう連携していけばいいのか、ということをまず考えました。これはエンジニアの発想と同じなのです。設計開発は、顧客だけでなく、最終的に製品を使うエンドユーザーのことまでしっかり考えなくてはなりません。本社でも、自分の仕事のエンドユーザーは誰なのか、常に意識して仕事をするようにしていました。
楽しかったのは、現場に直接関係するような仕事。たとえば、私が任命された当時から広報部は、「社外」と「社内」の両方に向けての情報発信を行っていました。社内向けの中には入社式や全社で行う運動会といったコミュニケーションイベント、地域ごとに泊りがけで行う集合研修などがあります。メイテックの社員は普段は顧客先に常駐していますから、このようにお互いの顔を直接見て、話し合えるイベントは非常に重要なのです。また、社内報などのツールを使って、バーチャルな接点を継続的につくっていく取り組みも欠かせません。そういった仕事を企画から運営まで、すべて担当しました。エンジニア時代とは取引先も違いますし、専門用語なども知らないことがたくさん出てきます。それでも、全体の流れをつかんで、細かいところは後で自分で調べたり、勉強したりして補うわけです。
2014年に代表取締役社長に就任されました。
代表取締役はその年からですが、2003年に取締役に就任してからは、一貫して「会社を経営する立場」という意識で取り組んでいました。メイテックがどうすれば社会に対して最大の価値を提供できるようになるか、また、どうすればエンジニアをはじめ所属メンバーが成長できる組織をつくれるか。それが自分のミッションだと、常に考えながらやってきました。
当社では、役員人事の客観性・透明性を高めるために、役員会の中に社外取締役を委員長とする「役員人事諮問委員会」があり、CEO、つまり代表取締役社長を選任する権限を持っています。私が社長に就任した2014年の時点では多少制度が異なっていましたが、基本的に指名委員会が候補者を決める仕組みは同じでした。代表取締役の責任・権限は最も重くなりますが、取締役として10年以上やってきたミッションが急に大きく変わったという意識はありませんでしたね。
「会社を経営する立場」になられてから、國分社長がメイテックを経営する上で、特に重要だとお考えになっていることは何ですか。
経済環境や顧客企業から求められることは日々変化します。その変化に対応するために、エンジニアの技術力、能力を高める工夫や努力を継続することが大前提となるため、その仕組みの構築が重要です。
当社のビジネスモデルは、いたってシンプルです。顧客企業の設計開発プロジェクトに優秀なエンジニアを派遣し、その技術力によって最高のパフォーマンスを提供し続ける。それによって対価をいただく、というものです。そのため、エンジニア一人ひとりのキャリアアップが常に求められるのです。
メイテックには現在、グループ全体で約8700人のエンジニアが所属しています。機械系、電気系、制御系、情報通信系、化学系、と専門分野が多岐にわたるだけでなく、機械系でも航空機系、自動車系など、それぞれの中で製品分野が細分化されています。さらに、複数以上の専門分野を結びつけるような、複合技術が要求される場合も少なくありません。
エンジニアが新しい技術を身につけられる、あるいは従前から持っている技術を生かしながら、新しい価値を生み出すことができる能力を身につけてもらう。一本の木に例えるならば幹を太くしながら枝葉をつけ、大きく育ってもらいたい。そんなエンジニアのスキルアップ、キャリアアップ支援こそが、顧客企業の満足度を上げるために不可欠だと考えています。
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。