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【ヨミ】ビーピーアール BPR

「働き方改革」「生産性向上」がスローガンとなる中、「BPR」は注目すべき言葉の一つです。「BPR」とは、「ビジネスプロセス・リエンジニアリング」(Business Process Re-engineering)の略。企業活動の目標(売上、収益率など)を達成するために、既存の業務内容や業務フロー、組織構造、ビジネスルールを全面的に見直し、再設計(リエンジニアリング)することを言います。社内の各業務プロセスを改善するという意味にとどまらず、研究開発や製造、原価・品質管理、製品・サービスの供給、人事評価など、すべての企業活動を顧客(市場)志向の首尾一貫したビジネスプロセスとして再統合および最適化し、効率や生産性を飛躍的に向上させることを目指す経営コンセプトです。
(2011/11/14掲載)
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BPRのケーススタディ

組織よりも顧客志向のプロセスを重視
ブームを呼んだ改革の源流は日本にあり

BPR」の概念は1990年代初頭、長期不況の閉塞感にあえぐ米国で生まれました。行き詰まり疲弊した企業経営は、小手先の修正では立て直せない――再び成長軌道を目指すために、従来の方法論にとらわれない抜本的な革新が求められたのです。そうした概念をBPRとして提唱したのが、元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマー博士と経営コンサルタントのジェイムス・チャンピー氏。93年に発表され、大ベストセラーとなった共著『リエンジニアリング革命』(Reengineering the Corporation: A Manifesto for Business Revolution)によって、BPRの考え方は世界的に普及しました。

同書において両氏は、BPRを「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネスプロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインし直すこと」と定義しました。ここでいうプロセスとは、「最終的な顧客に対して価値をもたらす一連の活動」のこと。BPRの原点にはいわゆる伝統的な企業組織――専門化・細分化が進み、プロセスが分断された職能別の分業型組織に対する反省があり、組織よりも顧客から見たプロセスを重視して、ビジネス構造をゼロから再構築することがその本質であるとされています。

BPRが登場した当時、バブル崩壊後の日本でも大いに歓迎され、改革を模索する民間企業のみならず、国や地方自治体などの公共機関にも一種のBPRブームが訪れました。しかし元をただせば、この改革手法の源流は、他ならぬ日本の先進企業にあったのです。ハマーとチャンピーは前掲書で、BPRの具体例としてフォードやコダックの業務改革を挙げています。

フォードでは調達部品の買掛金支払業務を、複数の伝票を突き合わせる古典的な会計処理からペーパーレスのコンピュータ処理に改めることにより、当該部門の大幅な人員削減に成功しました。またコダックでは、カメラ各部の設計部門が統合設計データベースを共有、設計作業を同時並行的に進める革新で、開発期間を半分にまで短縮しました。前者は、提携先の日本のマツダが買掛金支払業務をわずか数名で行っていたのを見習った改革であり、後者の例も、トヨタなど日本の自動車メーカーが開発期間の短縮を目指して実施していたコンカレント・エンジニアリングの手法をとりいれたものです。

日本企業が世界市場を席巻していた80年代後半、米国企業の一部には、カイゼンやQCサークルに代表されるプロセス重視の経営管理手法に日本の競争力の源泉を見出し、そのしくみに学ぶことで再生を図る動きがありました。そうした変化に注目したハマー博士たちが、再生を果たしつつあった企業の改革事例から共通項を抽出し、経営手法として体系化したのが「BPR」なのです。

ところが既存の組織構造の破壊に力点が置かれすぎたため、BPRの普及は結果として人員整理とそれに伴う混乱を増長させることになり、次第に経営手法としての有効性を疑問視する声が強まっていきました。97年には、MITシステムダイナミックス・グループが「リエンジニアリング活動の70%は失敗した」と報告しています。またBPRを推進する企業は、フラットな組織、知識重視、エンパワーメント志向となるため、高度な情報システムの導入が不可欠ですが、日本企業ではこのIT投資の費用対効果が上がらず、“金食い虫”のレッテルをはられるケースも少なくありません。現在では、こうしたプロセス志向の業務改革を単発で終わらせず、BPRをより良く継続的に実施していくためのしくみとして、「BPM」(ビジネスプロセス・マネジメント)が登場しています。

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