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となりの人事部
日本の人事部「HRアワード2016」受賞者インタビュー
第78回 プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社

P&Gは「スキル」に着目したプログラムを、
なぜ他社に無償で提供するのか?――
「ダイバーシティ&インクルージョン啓発プロジェクト」
発足の背景と活動内容とは(前編)

プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社 ヒューマン・リソーシス マネージャー 小川 琴音さん
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25年間、三つのステージを経て進化してきた「ダイバーシティ&インクルージョン」

―― では、御社が取り組みを始めた25年前から「インクルージョン」を強調されていたのでしょうか。

いえ、最初から「インクルージョン」という概念があったわけではありません。三つのステージを経て、ここまで来ました。以下の図をご覧ください。

<図1:P&Gジャパンのダイバーシティ&インクルージョン推進の変遷>

ロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社:ダイバーシティ&インクルージョン推進の変遷

まず「ステージ1」、女性活躍推進期です。1992年から「女性」に焦点を当てた取り組みをスタートさせました。きっかけは、研究開発部門でウーマンズネットワークが発足したことにあります。研究開発部門ではもともと女性社員が少ないので、女性が助け合おうというニーズが出てきたことから、情報を共有し、意見を吸い上げるネットワークが発足しました。それがほかの部署に波及していき、全社的なウーマンズネットワークが出来上がっていったのです。ただ、「女性」だけに焦点を当てると、「なんで女性だけ優遇されるのか」と男性から不満が出ました。また、女性からも「このままでは男性と女性がうまく協働できない」という声が挙がり、改めて議論が始まりました。

プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社 ヒューマン・リソーシス マネージャー 小川 琴音さん

ここからが「ステージ2」、ダイバーシティ推進期です。性別を問わず、個人個人の違い・多様性を尊重する、という「ダイバーシティ」に取り組む段階で、時期としては、1998年から2007年です。人事部門の中にも「ダイバーシティ担当」が置かれました。「ダイバーシティ・ネットワーク」を発足させ、ダイバーシティについて議論し、考え、学ぶ場をつくったのもこの頃です。社員の国籍別の割合を何年までにどれぐらいまで引き上げる、などの目標数値も定めました。この時期に、一気に多様性が進んだように感じます。男女比率など社員の属性の面でバランスが良くなりましたし、社内に違いを認められる雰囲気が出てきたのです。

そこから「ステージ3」、ダイバーシティ&インクルージョン推進期に移行。2008年から現在まで続いています。この時期に、多様性をどう受容し、活用していくか(インクルージョン)、という議論が活発になりました。当社では、さまざまなケースを通して調査を行い、「インクルージョンは、誰でもその概念と方法(スキル)を理解すれば習得できる」ということを発見。そこから具体的なトレーニングの開発が社内で進み、2012年に管理職研修の一部にトレーニングが組み込まれ、2016年から「スキル」単独のトレーニングの提供を開始しました。

また、2011年には、それぞれのライフプラン、ニーズ、希望を話し合う「キャリアデー」を全部門で開催。2013年には女性管理職比率30%を達成しました。そして2016年に、25年間積み重ねた経験を社外に発信する、啓発プロジェクトをスタートさせた、というわけです。

―― 御社の取り組みは、ほかの日本企業と比べると、かなり早い時期から始められているわけですが、最初は研究開発部門の女性活躍推進から始まった。それが性別を問わない取り組みになって、最終的には「インクルージョン」まで考えよう、という流れなんですね。

その通りです。1986年に男女雇用機会均等法が施行され、1990年頃には「女性でも、制服を着なくても、総合職として活躍できるのでは」というイメージを抱いて当社に入社してきた優秀な女性が多くいました。その中でも、マーケティング部門には90年代初頭から日本人でも女性管理職が数人いました。しかし、他部門ではまだ女性活躍が進んでいなかったため、92年にまずは特に女性が少ない研究開発部門からネットワークを立ち上げたのです。その動きが各部門や工場にまで波及し、全社的なムーブメントになりました。

―― 御社はアメリカに本社を構えていますが、「ダイバーシティ&インクルージョン」に対する強い意識は、そのことも影響しているのでしょうか。

はい。アメリカはウーマンズネットワーク、ヨーロッパはダイバーシティ推進といったように、当社グループでは、80年代初頭という日本よりもかなり早い時期から、ダイバーシティ推進に取り組んでいました。その後、均等法が施行されて女性が入社してくるようになり、女性を活用しなければいけない、という機運が日本でも高まっていきましたが、そういう全社的な風土も影響していることは確かですね。


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