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『労政時報』調査記事
通勤・業務における自動車管理の最新実態
――マイカー通勤の許可条件、社有車に関する取り扱い

公共交通機関が完備されていない地方の事業所や交替制勤務を行っている企業では、マイカー通勤に依存しているケースが少なくありません。そこで、『労政時報』ではマイカー通勤や業務上使用、社有車管理等の実態に関して「通勤と業務における自動車使用等の実態調査」を実施し、その結果をまとめました。

マイカー通勤は条件付きで認めるケースが大多数

調査対象のうち、マイカー通勤を認める企業(事業所)は全体(204社)の94.1%と多く、「一切認めていない」は5.9%にとどまりました。「認めている」192社に、対象者の制限について聞いたところ、「部署・勤務形態による対象者の制限はない」が85.9%と最も多く、「営業や交代勤務者など特定の部署・勤務形態の者のみに対象を限定している」は14.1%となりました。

さらに、許可条件では、「無条件に認める」は12.0%にとどまり、「通勤距離・時間や保険加入などの条件を満たした者のみに認める」とする事業所が84.9%を占め、圧倒的に多くなっています。調査回答事業所は、地方の工場や本社が中心で、マイカー通勤を認める企業が多いのですが、駐車場スペースや交通事故による補償等を考慮するため、一定以上の通勤時間(例えば2時間以上)や通勤距離(同2Km以上)などの許可条件を設ける企業が主流となったものと思われます。

図表1 マイカー通勤許可条件の有無

図表1 マイカー通勤許可条件の有無

マイカー通勤を「条件付き」で認める場合の条件や基準について選択肢を設定して、回答を求めました(複数回答)。これによると、四輪・二輪とも「一定額以上の任意保険加入」が最も多く、四輪で88.1%、二輪で75.0%となっています。次に多いのは、「一定以上の通勤距離」とするケースです。四輪で53.1%、二輪で52.8%の事業所が挙げています。基準となる距離は、後述するように「2Km以上」に最も多く分布しています。

このほかの条件としては、「公共交通機関が利用できない」を挙げる事業所が四輪・二輪とも4割近くみられましたが、「事故歴が一定基準以下」などその他の項目は、それぞれ10%未満の割合でした。

なお、「その他」が四輪で10%程度あり、内容は「過去3年間に重大違反行為によって刑事・行政罰を受けていない」「会社が運営するドライバーズクラブへの加入」「会社主催の交通安全講習会への出席」などが挙げられていました。実際には、これらの条件項目をいくつか組み合わせているところが多くなっています。

図表2 マイカー通勤を条件付きで認める場合の条件(複数回答)
図表2 マイカー通勤を条件付きで認める場合の条件(複数回答)

四輪、二輪とも対人の保険金額は「無制限」が多い

「一定額以上の任意保険加入」を条件とする事業所について、その保険金額を集計してみました。これによると、四輪の場合、対人の保険額分布では「無制限」が63.1%と最も多く、次いで、「1億円」(16.1%)、「5000万円」(8.9%)などとなっています。

参考までに平均額について、無制限を除いて算出してみると、7167万円となりました。集計対象は異なるものの、7年前の調査(2000年)では、5000万円に17.9%、1億円(以上)に33.9%、無制限に35.7%が分布していました。当時と比較すると、「無制限」がかなり増加していることが分かります。損害賠償額の高額化に伴って、任意保険の加入条件も大型化してきているものとみられます。

ちなみに、「対人保険」のみを条件の対象としている事業所の割合は、四輪が26.6%、二輪が22.9%でした。

一方、対物の平均(四輪)は978万円。分布をみると、「1000万円」が31.9%で最多、以下「500万円」(30.8%)、「300万円」「無制限」がそれぞれ11.0%となっています。

ちなみに、二輪についても、四輪同様「一定額以上の任意保険加入」を条件とするところが75.0%と多く、その額は、対人ではやはり「無制限」に56.3%が分布(平均7095万円)、対物では「500万円」に32.4%が分布しています(平均871万円)。

次に、通勤距離を条件とする場合、どのような「距離基準」を設定しているのか尋ねました。これによると、「地図上の経路または実走距離」が66.6%で最も多く、次いで、「勤務先までの直線距離」(27.4%)、「その他」(6.0%)となりました。「その他」は「地図上の最短距離」などです。

通勤距離を条件とする場合の片道通勤距離別の分布をみると、「2Km以上」とする事業所が四輪で74.4%、二輪で74.7%と最も多くなっています。次いで、両者とも「1.5Km以上」に1割強が分布しており、この2階級で9割近くを占めています。

2Km以上が多いのは、通勤手当の非課税限度額が2Kmを最低通勤距離としていることが理由とみられます。

社有車の通勤利用を認める企業は約3割

回答事業所全体でみた社有車(トラックなど貨物・物流のみの用途のものは除く)の保有割合は、94.6%に上っています。保有台数を集計した結果では、「1~5台」(34.8%)が最も多く、次いで「21台以上」(33.2%)の順となっています(回答事業所間で規模格差がある点に注意)。

図表3 社有車の保有状況
図表3 社有車の保有状況

社有車を保有している事業所を対象に通勤利用(営業社員などの直行直帰の場合を含む)の認否を尋ねたところ、「認めている」という回答は30.2%にとどまっています。

通勤利用を認める場合の対象者については、「日常的に社有車を使用する部署の社員に限る」とする事業所が53.8%を占めています。なお、「その他」(7.7%)の回答では、「転勤・単身赴任者で、使用できる自家用車がない場合」という例が数件みられました。



■注
注1) * ここでは、労務行政研究所が2006年10月30日から12月1日にかけて、『労政時報』購読会員のうち、東京都23区以外に所在する従業員数101人以上の本社・支社、工場、営業拠点から任意に抽出した2495事業所を対象として(回答があったのは204事業所)行った調査をもとに、「日本の人事部」編集部が一部をピックアップし記事を作成しました。調査は「通勤・業務における自動車管理の最新実態」と題されたもので、詳細は『労政時報 第3698号』(2007年3月23日発行)に掲載されています。
注2) * 本調査の留意点
(1)同一企業に属する複数の事業所から回答があった場合は、それぞれを1件としてカウントしています。
(2)マイカー通勤・業務上使用、社有車管理等のルールおよび実態については、原則として各事業所で適用されている規程・運用に基づく回答です。

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