人材紹介会社のキャリアコンサルタント
その仕事の実態と、求められる経験とは――?
転職相談、対企業の折衝業務、求人案件の開拓業務…… キャリアコンサルタントの仕事で重視される適性
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企業の採用担当とも共通点あり
実際に、私の知る範囲でも人材紹介会社から企業の採用担当に転職した人は少なくない。
「採用業務もある意味では営業ですからね。予算の範囲内で、必要な人材をしっかり採用しないといけない。そこはキャリアコンサルタントの仕事とかなり重なる部分です。企業としては、目標達成意欲のある採用担当者が欲しいというのはあると思いますよ」
そう話してくれたのは、元キャリアコンサルタントで現在はシステム系企業の人材採用を担当しているKさんだ。Kさんは最初に会った時から、「私も前職では人材紹介会社に勤めていたんですよ」とざっくばらんに話してくれたので、私としてはとてもやりやすい取引先である。
そこで、Kさんになぜ採用担当に転職したのかを聞いてみた。
「人材紹介会社は、基本的にはアウトソーサーなので、企業からのオーダーに合った人材を探すのが仕事ですよね。それをずっとやっているうちに、自分で採用プランを練って発注する立場で仕事をしてみたくなったんです」
逆に人事からキャリアコンサルタントに転職したいと考える人の場合は、さまざまな業界の各職種を手がけてみたいという人が多いようだ。確かに、システム系の企業なら、コンピュータ関係のエンジニアの採用がほとんどになる。専門的に深掘りしていきたいタイプと、その反対に幅広く担当してみたいタイプとで分かれるのかもしれない。
「もう一つは、自分がキャリアコンサルタント時代に、『企業と紹介会社がお互いに協力すれば、もっと効率的に採用できるのに』とずっと考えていたことですね。それで自分ならうまくできるのではと思ったんです」
確かに人材紹介会社の立場からすると、「仕事内容や募集背景をもっと具体的に教えて欲しい」「採用が終わった職種については、終了したという連絡が欲しい」など、細かい要望はかなりある。
「ITのような採用で競合する会社が多い業界は、やはり紹介会社への気配りが大事だと思うんです。最終的に入社を決めるのは候補者でも、キャリアコンサルタントのさじ加減一つで印象がだいぶ変わってきますからね。キャリアコンサルタントの方が仕事をしやすいようにこれからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いします」
いつもにこやかなKさん。これも大事なことだろう。紹介会社出身の採用担当者でも、威張っている人や、無愛想な人はいる。そういう人を見ると、「前職ではちゃんと成果を上げていたのだろうか?」と思ってしまう。
やはりキャリアコンサルタントの仕事は、営業に限りなく近いのではないだろうか。
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