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注目される「労働移動」と過渡期を迎える日本の雇用
~働き手にとって魅力的な職場とは?~

第一生命経済研究所 総合調査部 マクロ環境調査G 副主任研究員 奥脇 健史氏

注目される「労働移動」と過渡期を迎える日本の雇用

要旨

  • 足元で、「労働移動」に対する関心が高まっている。企業間の労働移動が円滑である国ほど生産性及び生涯賃金が高いとされており、円滑な労働移動の推進は日本の経済成長率と賃金を高めていくための有効な手段と考えられている。
  • 日本では転職希望者が引き続き増加傾向にある一方、企業では近年人手不足が継続しており、どのように人材を確保していくのか、自社につなぎとめるのかが企業の課題となっている。労働移動に対する政策的な後押しも見込まれる中で、企業は働き手の確保についてより真剣に向き合っていく必要があるだろう。
  • 働き手がどのような仕事を理想とするのかをみると、「収入が安定している」、「自分にとって楽しい」、「私生活とのバランスがとれる」仕事の割合がすべての年代において高い。年代、性別ごとにみると、比較的年齢が若い層ほど収入を重視する傾向があるほか、男性のほうが比較的「高い収入が得られる」仕事、女性のほうが比較的「私生活とバランスがとれる」仕事を理想とする割合が高い。
  • 転職者比率が高い20代が仕事に対して重視するポイントの参考として、実際に転職をした同年代の働き手の前職離職理由をみると、20~24歳では「労働時間、休日等の労働条件」を理由としたものの割合が最も高い。25~29歳をみると男性で最も高いのは「給料等の収入」。女性で最も高いのは「労働時間、休日等の労働条件」を理由としたもので、また「結婚、出産・育児、介護・看護」を理由としたものも高い割合となっている。年代、性別が異なると、傾向も変わってくる。
  • 企業間の労働移動の円滑化に向けた議論が活発化し、働き方の多様化も進む中、足元の雇用を取り巻く環境は過渡期を迎えているといえるだろう。このような中で、環境の変化に合わせて自社の労働条件を見直し、より魅力あるものとしていければ、働き手の確保、つなぎとめにつながる。逆に他社が見直しを進めていく中で遅れをとれば、相対的な自社の魅力が薄れ、自社が必要とする人材の確保がより困難となるだろう。企業が働き手を確保していくためには、自社が必要とする人材の属性も踏まえて賃金水準や労働環境を再確認し、働き手にとって魅力的なものか、環境の変化も織り込みながら随時検証していく必要があるだろう。

1.社会の関心が高まる企業間の労働移動の円滑化

足元で、「労働移動」に対する社会の関心が高まっている。岸田首相は10月の所信表明演説において、「構造的な賃上げ」の実現に向けた必要な要素として「労働移動の円滑化」を掲げ、政府は来年6月までに労働移動円滑化のための指針をとりまとめるとした。各種調査によると、企業間の労働移動が円滑である国ほど生産性が高く、生涯賃金も高いとされている(注1)。時代や環境の変化に伴い、終身雇用、年功序列制度など日本型雇用慣行の見直しの必要性が叫ばれる中で、円滑な労働移動の推進は、欧米諸国と比較して低い日本の経済成長率と賃金を高めていくための有効な手段と考えられている。

一方で、働き手の側からも労働移動の活発化がより求められる傾向にある。日本の労働移動の現状をみると、2021年の転職者数は290万人と、2019年の353万人からコロナ禍において減少したものの(注2)、転職希望者は引き続き増加傾向にある(資料1左図)。

このような中、企業では近年人手不足が継続しており、どのように人材を確保していくのか、自社につなぎとめるのか、ということが課題となっている(資料1右図)。今後政策的な後押しが加わり、企業間の労働移動が活発化していくと考えられる中で、企業は人材の確保についてより真剣に向き合っていく必要があるだろう。このような中で、本稿では働き手がどのようなポイントを重視して企業を選ぶのかについてみていきたい。

資料1 転職希望者の推移(左図)及び日銀短観雇用判断DI(右図)の推移

2.年代、性別により異なる仕事に対する志向

働き手は仕事に対しどのようなポイントを重視しているのか、まず世論調査における「どのような仕事が理想か」という設問に対する回答結果をみてみたい。それによると、すべての年代において理想的な仕事を「収入が安定している」、「自分にとって楽しい」、「私生活とバランスがとれる」とする割合が高い(資料2)。年齢別でみると、比較的年齢が若い層ほど収入を重視しており、特に「高い収入」という項目は20~40代の働き手がより理想とする傾向にある。また、男女別でみると、男性のほうが比較的「高い収入が得られる」仕事、女性のほうが比較的「私生活とバランスがとれる」仕事を理想とする割合が高いなど、年代、性別が異なると、傾向も変わってくる。

資料2 どのような仕事が理想だと思うか(左図:年齢へつ、右図:男女別)

次に、20代の若年層の働き手に焦点をあてる。この年代は他の年代と比較し転職者比率(資料3、注3)が高いことに加え、大卒の新卒就職者の3年目までの離職率は3割程度で推移している。労働移動の活発化は比較的新しい考え方を持つ若年層から進むと考えられ、この層の人材確保のために企業が要する労力はより大きなものとなっていくだろう。

資料3 年齢階級別転職者比率(2021年)

20代の働き手が仕事に対して重視するポイントをみる参考として、実際に自らの意思で転職をした同年代の働き手がどのような理由で前職を離職しているのかを確認する(注4)。まず20~24歳をみると(資料4)、男女ともに「労働時間、休日等の労働条件」を理由にしたものが最も多く、次いで「職場の人間関係」、「給料等の収入」を理由としたものが続く。この結果は前述の世論調査の結果ともおおむね整合性があり、20代前半の働き手は仕事に対し、特に自分にとっての働きやすい「労働環境」を重視していると考えられる。

資料4 男女別転職入職者が前職を辞めた理由別割合の推移

続いて、25~29歳をみると(資料5)、20~24歳時点と比べると傾向は変わり、男女の差がより顕著になる。25~29歳男性で最も高いのは「給料等の収入」を理由とした転職で、20~24歳時点より賃金を重視する傾向が強まる。また、「会社の将来」、「結婚、出産・育児、介護・看護」を理由にした転職の割合が高まるなど、20代後半になりある程度仕事の経験を積んだことやライフステージが変わっていく中で、あらためて自身の仕事や将来のキャリアについて見つめ直す働き手が多く、それがこの層の高い転職率にもつながっていると考えられる。

25~29歳女性をみると、最も高いのは「労働時間、休日等の労働条件」を理由とした転職で、同年代の男性と比較して仕事に対し働きやすい「労働環境」を重視していると考えられる。20~24歳女性と比較をしてもこの傾向は大きく変わらない。一方、異なってくるのが「結婚、出産・育児、介護・看護」を理由としたものの割合が大きく高まる点である。「労働時間、休日等の労働条件」を理由としたものの割合が高いということも、結婚等が影響している可能性があると考えられ、女性のほうが結婚等の影響を強く受けていることがあらためて確認できる。

資料5 男女別転職入職者が前職を辞めた理由別割合

3.働き手の確保に求められる働き手の属性と時代・環境の変化に合わせた対応

前述のとおり、足元では政府を中心に企業間の労働移動の円滑化に向けた議論が進んでいる。また、コロナ禍を契機にテレワークをはじめとする働き方の多様化が進むなど、雇用を取り巻く環境は過渡期を迎えているといえるだろう。このような中で、環境の変化に合わせて自社の労働条件を見直し、より魅力あるものとしていければ、働き手の確保、つなぎとめにつながる。逆に他社が見直しを進めていく中で遅れをとれば、相対的な自社の魅力が薄れ、自社が必要とする人材の確保がより困難となるだろう。

企業が働き手を確保する、つなぎとめていくためには、自社の賃金水準や労働環境を再確認し、自社が必要とする人材の属性も踏まえて検証していく必要がある。今回焦点をあてた20代に対しては、まずは労働時間、休暇の取りやすさといった「働きやすさ」に資する施策を検討していくことが有効であると考えられる。特に、20代後半にかけてライフステージの変化を経験する働き手が増えていく中では、その変化に合わせた働き方を選択できるようにすることが重要である。例えば、前述のテレワークやフレックスタイム制度など場所や時間に捉われない働き方の導入は、育児と仕事の両立を考える働き手にとって有効な選択肢となろう。また、配偶者の転勤などにより転職を検討するケースもあることから、フルリモートで勤務できる環境づくりなど配偶者の勤務状況の影響を緩和する仕組みの導入も選択肢になると考える。そのような制度の導入によって、従来対面で行っていた業務管理や働きぶりの評価が難しくなることから、働き手一人ひとりの職務を明確化し労働条件を設定する「ジョブ型」的な雇用形態を取り入れていくことも一案であろう。それはいわゆる年功型賃金の解消にも寄与し、若年層にとって魅力ある賃金形態の実現につながっていく可能性もあるだろう。

また、環境の変化が続く中では、働き手が重視するポイントも同時に変化していく。例えば、日本で賃上げの動きが強まる中で今後ますます「賃金」を重視する層が増えていくことや、男性の育児休暇取得などが推進される中では結婚・育児等を理由に転職する男性がさらに増加していく可能性もあると考える。企業は自社の労働条件が働き手にとって魅力的なものか、環境の変化も織り込みながら随時検証していく必要があるだろう。

【注釈】

  1. 第12回「新しい資本主義実現会議」(2022年11月10日) 内閣官房「企業間の労働移動の円滑化・リスキリング・構造的賃金引上げに関する基礎資料」参照。
  2. 転職者数の推移
資料6
  1. 転職者比率とは、就業者数全体に占める転職者数の割合のこと。
  2. 「雇用動向調査」の結果は年によって振れがあるため、近年の傾向を把握する意図で2017年~21年の5年間の平均値でみることとする。

【参考文献等】

  • 首相官邸「第二百十回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説」
  • 第12回新しい資本主義実現会議 内閣官房(2022)「企業間の労働移動の円滑化・リスキリング・構造的賃金引上げに関する基礎資料」
  • 日本・東京商工会議所(2022)「人手不足の状況および新卒採用・インターンシップの実施状況に関する調査」
  • 総務省「労働力調査」
  • 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
  • 内閣府「国民生活に関する世論調査(2021年9月調査)」
  • 厚生労働省「雇用動向調査」
  • 厚生労働省「新規学卒者の離職状況」
  • 内閣府(2022)「第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」
  • 経団連(2022)「2022年版経営労働政策特別委員会報告」
株式会社 第一生命経済研究所

第一生命経済研究所は、第一生命グループの総合シンクタンクです。社名に冠する経済分野にとどまらず、金融・財政、保険・年金・社会保障から、家族・就労・消費などライフデザインに関することまで、さまざまな分野を研究領域としています。生保系シンクタンクとしての特長を生かし、長期的な視野に立って、お客さまの今と未来に寄り添う羅針盤となるよう情報発信を行っています。
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