在宅勤務制度に関する実態アンケート(労務行政研究所)
実施企業は36.4%。未実施でも検討・予定している企業が61.5%に達する。
運用上の効果は「育児による離職リスク軽減」が54.9%で最多
4 在宅勤務の効果、課題
在宅勤務の効果、今後の方向性、課題・問題点、運用上の工夫[図表28~31、事例5]
在宅勤務により得られた効果は「育児による離職リスク軽減」が54.9%、「社員の通勤問題の解消」が46.1%。想定以上に効果があったのは、「社員の自己管理能力の向上」7.8ポイント、「ゆとりや健康的な生活の支援による離職・休職防止」6.9ポイント
[1]在宅勤務で得られた効果
在宅勤務により得られた効果を聞いたところ(複数回答)、「育児による離職リスク軽減」が54.9%、「通勤問題の解消」が46.1%となった。「効果があるものはなかった」と回答したのはわずかに2社(2.0%)であった[図表28]。
ところで、先の[図表3]で、導入時の目的を聞いたが、結果を比較可能な102社について見てみると、想定していた効果が実際にあった割合が高いのは、「社員の自己管理能力の向上」7.8ポイント、「ゆとりや健康的な生活の支援による離職・休職防止」6.9ポイント、「オフィスにかかる経費の削減」5.9ポイントであり、これらの3項目について当初想定以上の効果があったことが分かった[図表29]。逆にマイナスとなっているもの、つまり想定より効果が上がらなかったものとしては、「介護による離職リスク軽減」−34.3ポイント、「通勤問題の解消」−33.4ポイント、「育児による離職リスク軽減」−21.6ポイントが上位3項目となった。
[2]在宅勤務者数についての今後の方向性、課題、工夫
在宅勤務実施済み企業に、今後の在宅勤務者数を増やしたいか否か尋ねた[図表30]。「増やしていきたい」が75.0%であり、4社に3社は在宅勤務を拡大したい意向であることが分かった。
同様に、在宅勤務の課題や問題点を聞いたところ(複数回答)、「労働時間の管理が難しい」が61.2%と最も多かった[図表31]。以下、「仕事の進捗(しんちょく)状況の管理が難しい」60.2%、「在宅勤務者と在社勤務者間のコミュニケーションに問題がある」53.4%、「情報漏洩などのセキュリティ面で不安がある」42.7%、「在宅勤務者の評価が難しい」41.7%の順に続く。
回答企業は異なるものの、未導入企業が導入しない理由と、導入企業が認識している課題を比較したのが、[参考2]である。未導入企業が導入しない理由として挙げているが、導入済企業にとっては大きな課題でない項目として、「在宅勤務する上での業務の切り出しが難しい」19.5ポイント、「情報漏洩などのセキュリティ面で不安がある」14.7ポイント、「経営者の理解が得られない」11.8ポイントがある。逆に、未導入企業の想定以上に導入済み企業で課題とされているものとして、「仕事の進捗状況の管理が難しい」−19.0ポイント、「在宅勤務者と在社勤務者間のコミュニケーションに問題(懸念)がある」−15.2ポイント、「非適用対象者との間に不公平感がある」−11.4ポイントが指摘できる。 実施済み企業における運用上の工夫をまとめたのが、[事例5(省略)]である。「まずは試験的に実施して、ノウハウを集める」「1カ月に1回は会社に来てもらい上司と面談、仕事のボリューム、日頃困っていること等を相談する機会を設けている」等が挙げられた。
◎調査名:「在宅勤務/ITツール等の業務上使用に関する実態調査」
1. 調査対象:
『労政時報』定期購読者向けサイト「WEB労政時報」の登録者から抽出した本社に勤務する人事労務・総務担当者の計9515人
2. 調査期間:
2017年6月14~30日
3. 調査方法:
WEBによるアンケート
4. 集計対象:
294社(1社1名)。業種別、規模別の内訳は[参考表]のとおり。なお、本調査は社名を秘匿扱いで行ったため、事例等においては会社名を一切公表していない。所属業種については、調査時点におけるものとした。なお、項目により集計(回答)企業は異なる。
5. 利用上の注意:
[図表]の割合は、小数第2位を四捨五入し小数第1位まで表示しているため、合計が100.0にならない場合がある。また、本文中で割合を引用する際には、実数に戻り再度割合を算出し直しているため、[図表]中の数値の足し上げと本文中の数値とは一致しないことがある。
[参考表] 業種別、規模別集計対象会社の内訳
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