人事白書調査レポート2022 制度・評価・賃金
ジョブ型雇用の導入で考えられるメリット・デメリットは?
「ジョブ型雇用」の導入が広がることで考えられる変化について聞きました。ここでのジョブ型雇用とは、「個々の従業員の職務範囲を明確にするとともに、基本的にジョブローテーションは行われず、本人の同意無しに他の職務へ異動が行われないもの」と定義します。
メリット:「従業員一人ひとりの役割が明確になる」が約9割
ジョブ型雇用の導入が広がることで考えられるメリットについて聞きました。「そう思う」「ややそう思う」を合わせた割合は、「従業員の主体的なキャリア形成を促すことができる」が71.8%、「従業員一人ひとりの役割が明確になる」が91.6%、「社外から専門性の高い人材を獲得できる」が74.8%、「組織の労働生産性を向上できる」が56.9%となっています。
メリットの中では「従業員一人ひとりの役割が明確になる」が9割に達し、最も多くなっています。また、ジョブ型雇用は従業員が主役である点を考えると、「従業員の主体的なキャリア形成を促すことができる」が約7割を占めている点が注目されます。
デメリット:「ジョブローテーション(転勤・異動)の打診が難しくなる」が約8割
次に、デメリットを見ると、「そう思う」「ややそう思う」を合わせた割合は、「組織への帰属感や、他の人との協力関係が育みにくくなる」が60.2%、「スキルで人材を探す必要があるため、採用の難易度が上がる」が63.8%、「専門性の高い人材が社外へ流出してしまう」が57.4%、「ジョブローテーション(転勤・異動)の打診が難しくなる」が79.8%となっています。
「ジョブローテーション(転勤・異動)の打診が難しくなる」が約8割と最も多くなっていますが、ジョブ型雇用の定義に沿えば想定通りの回答といえます。一方、「組織への帰属感や、他の人との協力関係が育みにくくなる」「スキルで人材を探す必要があるため、採用の難易度が上がる」「専門性の高い人材が社外へ流出してしまう」はそれぞれ約6割であり、残りの約4割は「そう思わない」「あまりそう思わない」と回答しています。メリットの結果と考え合わせると、ジョブ型雇用の導入による変化について、ポジティブに捉えている企業が多いことがわかります。
『人事白書2022』の本誌では、ジョブ型雇用の導入状況や、その理由についても掲載しています。
実施時期 | 2022年3月7日~3月31日 |
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調査対象 | 『日本の人事部』正会員 |
調査方法 | Webサイト『日本の人事部』にて回答受付 |
回答数 | 5,200社、5,441人(のべ) |
質問数 | 153問 |
質問項目 | 1.戦略人事/2.採用/3.育成/4.制度・評価・賃金/5.ダイバーシティ&インクルージョン/6.働き方/7.組織開発/8.注目の人事課題(ウェルビーイング、パーパス、職場の関係性) |
出典:『日本の人事部 人事白書 2022』
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