不利益変更の同意について
親会社の変更に伴い就労条件の統一を目指していますが、一般職へのインパクトが大きく
同意が取れないのではと感じています。大きな変更点は、
・勤務時間の延長
9時~17時30分(昼1時間休み)→ 9時~18時(昼1時間、午後15分休憩あり)
・一般職の休日減少(総合職は現状の隔週2日で変更なし)
一般職の週休2日制 → 隔週2日制(1年単位の変形労働制)
・一般職への制服貸与 となります。
従前の労働契約が承継されるといっても、これまでグループ企業となった他社は親会社と
就労条件を統一しており、弊社だけ拒否することは難しそうな状況です。
労働時間が増えることに対しては基本給見直し予定です。また上記以外では、むしろ
親会社の就労条件の方が従業員にとってプラスな部分が多くなりますが、一般職は
採用時に週休2日を希望しております。
この様な状況で個別同意をとる場合の同意書はどの様なものになりますでしょうか。例えば
反対意見が記載されていた場合は、「同意します。」と記入してもらうまで何度でも説明を行い、
提出し直してもらうというものでしょうか。
また、「不利益変更をする合理的理由」に「親会社の変更」は該当しますでしょうか。
(無理に一般職を説得しようという考えではないのですが、どのような場合に該当するのか
不明だったため、質問させていただきました。)
ご教示いただければ幸甚です。よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2012/07/12 16:43 ID:QA-0050414
- *****さん
- 東京都/その他業種(企業規模 301~500人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
新親会社に吸収合併の場合ですと従前の労働契約が承継されることになります。仮にこれまでグループ企業となった他社は親会社と就労条件を統一しているとしましても、法的な状況は変わりませんし、従前の労働条件が低下する場合には当然ながら労働条件の不利益変更に該当します。
その上で質問事項にお答えいたしますと、まず「同意書の様式」を聞かれていますが、何も特別な様式が求められるわけではございません。より重要な事柄は形式よりも同意に至る交渉や同意の中身といえます。
「反対意見が記載されていた場合は、同意しますと記入してもらうまで何度でも説明を行い、提出し直してもらう」との件について、勿論真摯に説明されることは重要ですが、だからといって必ず同意が得られる保障はありません。言い換えれば、100%双方同意にて解決しうる等といった方法はないものといえるでしょう。
また、「不利益変更をする合理的理由に、会社の変更は該当しますでしょうか」との件ですが、これもそれだけで直ちに合理的理由になるとはいえません。労働契約法第10条で定められている就業規則変更による労働条件の不利益変更の合理性有無につきましては、同条文にもありますようにさまざまな事情を勘案しての総合的な判断によるものです。
従いまして、実際の対応としましては、
・基本給見直しによる労働時間増分の補填についてきちんと明示する事
・従業員にとってプラスになる就労条件の部分をしっかり説明する事
・週休2日を強く望む社員については、真摯に交渉を行うも同意の強要だけは避ける事
・反発が多いようであれば親会社とも相談し、さらなる不利益緩和に向けた調整措置が取れないか検討する事
といったところになるでしょう。
これらの措置を採られた上で、就業規則改正による労働条件の変更を行えば、恐らく大半の社員の個別同意を得られるはずです。そして、同意を得られなかった社員についても、労働契約法第10条に基き変更された労働条件の適用が有効とされる可能性が高くなるものと考えられます。
投稿日:2012/07/12 22:57 ID:QA-0050417
相談者より
服部先生
ご丁寧にご説明いただきありがとうございました。
投稿日:2012/07/14 16:23 ID:QA-0050439大変参考になった
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