ヤフー株式会社:
四つのバリューで働き方のリズムを変える!
ヤフーの“爆速”経営を支える“ワイルド”な
新評価制度とは
人事本部 人事企画室 室長
湯川 高康さん
「課題解決」「爆速」「フォーカス」「ワイルド」とは何か
「課題解決」「爆速」「フォーカス」「ワイルド」の四つのバリューについて、あらためて一つずつご説明いただけますか。
「課題解決」を四つのうちの最上位概念に位置づけていますが、これは説明するまでもないでしょう。われわれが回答すべき課題はいたるところに転がっていますし、少なくとも日本においては一番回答力のある会社、日本のことなら一番わかっている会社になりたいと思っています。そこはこれまでも、これからも変わらない。当社の目指す、揺るぎないバリューです。
一方で社会や業界の流れはどんどん変わってきているわけですから、仕事のスピードはもっと上げて、「爆速」で回していかなければいけません。言葉だけだと、ただ無闇に突っ走るように聞こえるかもしれませんが、そうではなくて、このバリューにはわれわれなりの定義があります。
第一は違和感を大切にすること。何かおかしいぞとか、これは不便だなとか、ささいな問題にも敏感になる。違和感を持ったら、次は、その問題を周りに提起することです。さらに言いっぱなしではなくて、どう解決するか、具体的なアクションにまで結びつけてほしい。この三つを高速回転で繰り返していく、その繰り返しのリズムが「爆速」であるべきだと、われわれは定義しています。違和感を持つだけじゃダメ、言うだけでもダメ、やりっぱなしでもダメなんです。感じたのなら、口に出したのなら、解決するところまでポンポンとテンポよくもっていこうよと。
それが社員の“働き方のリズム”を変えることにつながっていくわけですね。3番目の「フォーカス」とは?
当社では半期ごとの目標管理制度を採用していますが、以前はそれが単なるアクションプランリストみたいになりがちだったんです。つまり、目標をとりあえずいっぱい挙げておいて数で稼げば、一つひとつの進捗や出来栄えはほどほどでもいいという感じが否めなかった。目標の多さが、未達のエクスキューズになっていたんです。会社としては、極端な話、個人の目標は一つでいいんです。社員は全部で約4000人いますから、一人ひとつに絞っても、それできちんと結果を出してくれるなら、トータルですごい成績になるわけです。個人としても、変な逃げ道がなくなりますからね。本来、高い山の頂を目指すのであれば、一人で五つも六つも登りきれるわけがないんです。サービスの質においても、日頃の業務に取り組む姿勢においてもそうでしょう。
残るは「ワイルド」の定義ですが、部外者としては、これが一番謎ですね(笑)
もともと「ヤフー」とは「ならず者」という意味で、そういう社名を名乗るくらいですから、新しいものや未知なるものにこそ果敢にチャレンジしていく精神が、創業時からのDNAとして受け継がれています。「ワイルド」が定義する方向性としては、そこを忘れてほしくないというのがまず一点。もう一点は失敗してもかまわないというか、むしろどんどん失敗していってほしいということです。成功の裏には、そこにたどり着くまでに必要な失敗があるはずですから。三振を怖れず、大きなホームランを狙ってほしい。先ほどの地震発生時の対応でいえば、空振りに終わって批判されるかもしれないけど、やはり避難を呼びかけるところまで踏み込むべきでした。当社としては、それがよりワイルドな判断だったと思いますね。