企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

人材採用“ウラ”“オモテ” 
企業・求職者・人材紹介会社の「転職」三角関係

留学経験があまり評価されない転職市場
企業が考える「グローバル人材」に必要な要件とは?

語学力、異文化コミュニケーション、MBA取得…

留学経験で得た強みは、企業へのアピールになるか

一般的にグローバル人材といえば、語学力があることは大前提として、異文化の人々とうまくコミュニケーションをとれる能力や、海外など新しい環境に順応した経験を持つ人材がイメージされる。そういった人材を採用したい企業にとっては、当然、海外の大学への留学経験者はその候補といえるだろう。ところが、中途採用市場では、留学経験が評価されないケースが少なくない。その背景には何があるのだろうか――。
(1/2ページ)

転職活動に失敗したから留学したの?

「英語は日本にいた時からかなり勉強していました。ビジネスにも使える武器にしていこうと考えたのですが、やはり海外で生活した経験がないと『生きた英語』は身につかないと思ったんです」

転職相談の席でそう話してくれたMさんは、日本の大学を卒業後、さらにアメリカの大学院に進んで勉強してきた人材だった。日本での就業経験はない。

「アメリカでのインターンシップの経験はあります。まわりに日本人がまったくいない環境で、ビジネス英語にも自信がつきました」

帰国しての就職を希望し、さまざまな就職サイトで情報を収集したところ、日本では今「グローバル人材」が強く求められていることがわかった。Mさんとしてはアメリカでのインターン経験もあることから、新卒と同列には扱われたくない。そこで人材紹介会社の利用を思いついたのだという。

「やはり語学力を活かしていきたいので、外資系企業を第一志望にしています。日系企業なら、海外に進出している企業に興味があります」

とても熱心な人材だったので、若手・第二新卒を募集している企業の求人票を見てもらい、幅広く当たってみる作戦を立てた。Mさんには、いくら語学に自信があるといっても、それだけでは最初の就職は難しいという現状を話し、十分に理解してもらう。

ところが、結果は想定していた以上に厳しいものだった。まず、Mさんが希望していた外資系企業は「実務経験者でないと無理」だという。語学は出来て当たり前だから、アメリカでビジネス英語を身につけてきたといっても、それが特に強いセールスポイントにはならないのだ。

「外資系企業はやはり即戦力志向が強いですね。Mさんには、日系企業の方が向いていると思いますよ」

Photo

しかし、日系企業からも色よい返事はもらえなかった。「Mさんは、なぜ大学卒業後すぐに就職しなかったんですかね」と、アメリカの大学院に進学した経緯をやたら気にする人事担当者が多いのだ。はっきりとは口にしないが、どうやらMさんが、「国内での就職活動に失敗したので、モラトリアム的に海外の大学院に進んだのではないか?」と疑っているようなのである。

「ビジネスレベルの英語を身につけるためです」と説明しても、「弊社には最初から海外赴任を確約できるようなポジションはないんですよ」とつれない。確かに日系企業の人事担当者から見ると、Mさんは新卒以外の何者でもないのだろう。すぐには海外へ赴任できないとなるとミスマッチで早期退職されるリスクも考えているのかもしれない。

私たちがMさんの日本での就職をお手伝いすることは、残念ながら叶わなかった。Mさんの語学力以外の武器でもある、異文化コミュニケーション力や海外生活体験などを企業に評価してもらえなかったのだ。



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事にコメントする

この記事に対するご意見・ご感想のコメントをご投稿ください。
※コメントの投稿をするにはログインが必要です。

※コメントのほか、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)がサイト上に公開されます。

※投稿をしたコメントは、『日本の人事部』事務局で確認後、掲載されます。投稿後すぐには掲載されませんので予めご了承ください。

人材採用“ウラ”“オモテ”のバックナンバー

人材採用“ウラ”“オモテ”
転職直後の夏休み 長い休暇で不安や迷いが生じてしまったら――
家族や友人と話し合ったり、自分を見つめなおす機会にもなる長期休暇。入社したばかりの人材が休暇明けにちゃんと出社してくれるのか、人事だけでなく人材紹介会社も気を揉...
2019/08/02掲載
人材採用“ウラ”“オモテ”
どうする?! 入社クロージングの山場で決裁者がまさかの海外休暇へ――。
日本進出直後の海外企業のコア人材採用 クロージングの山場で決裁者がまさかの海外休暇へ――。
2019/07/04掲載
人材採用“ウラ”“オモテ”
「あの人と一緒に働きたい」という入社動機
入社する企業を決める理由は人それぞれ。面接官の考え方などに共鳴し、「この人と一緒に働きたい」という気持ちが決め手になることもある。しかし、それだけで入社を決めて...
2019/06/05掲載

関連する記事

人材採用“ウラ”“オモテ” 
採用時に求められる「情報の透明性」
人手不足が続く中で、自社をアピールする際に、採用の障害になるかもしれない情報をできるだけ伏せようとする企業も多いようだ。しかし、それが入社すればすぐにわかってし...
2019/05/15掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
人材採用“ウラ”“オモテ” 
転職失敗、 再び利用した人材紹介
人材紹介会社では、過去に転職相談を受けていた人材から、再び転職相談を受けるケースもある。前回の利用時に信頼を獲得できていた証拠でもある「再登録」だが、インターバ...
2019/04/04掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
人材採用“ウラ”“オモテ” 
応募先は、紹介会社のコンサルタントに教えるべき?
人材紹介会社では、履歴書や職務経歴書をはじめ、転職希望者のさまざまな個人情報を扱う。そのため、これらを預かるだけの信頼に応えられる体制を、しっかり整えることが大...
2019/03/07掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
人材採用“ウラ”“オモテ” 
入社直前に急病になったら
転職活動で内定が出ると、ホッとする人は多いだろう。しかし、内定はゴールではない。入社予定日に出社してはじめて、転職活動は完結する。人材紹介会社は入社日まで注意深...
2019/02/01掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
人材採用“ウラ”“オモテ”
面接では言えない転職理由
中途採用の際に必ず確認される「転職理由」。企業側からは前向きな理由が好まれるが、実際には全員が前向きな理由で転職を考えるわけではない。時には、面接では言えないよ...
2019/01/07掲載人材採用“ウラ”“オモテ”
【用語解説 人事キーワード】
セカ就
パラレルキャリア
在留資格
秋入学
健康経営を戦略的に推進するステップとは?取り組み事例と外部サービスの選び方

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

注目コンテンツ


健康経営の実践に必要なステップ、外部サービスを選ぶ際のポイント

健康経営を戦略的に推進するための必要なステップや取り組み事例、外部サービスを選ぶ際のポイントをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


1日30分、週3日、3ヵ月。<br />
それだけでTOEIC®テストスコア500点突破を目指せるプログラムとは?

1日30分、週3日、3ヵ月。
それだけでTOEIC®テストスコア500点突破を目指せるプログラムとは?

グローバル化が進む現在、多くの企業が社員の英語力向上を課題としています...


企業のAI活用に不可欠なリテラシーと人材育成の方法とは?

企業のAI活用に不可欠なリテラシーと人材育成の方法とは?

さまざまな事業領域でAI(人工知能)が活用されています。そのため、ます...