いまも「手書き」の応募書類が多い業界
採用担当者が見るポイントとは――?
社会人の転職活動 パソコン、インターネットがなければ始まらない?
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企業には「手書き文字を見たい」というニーズも
「今から、推薦書類一式をファックスでお送りしてもよろしいでしょうか」
プラント業界のB社に電話で問い合わせてみると、「お待ちしています」という返事だった。最近は個人情報保護のため「推薦書類は必ずメールで」と指定してくる企業も増えているが、人材側がパソコンやネット環境に対応していないことが多い建設・建築、プラント業界では、企業もまたITを必須としていないケースが多い。といっても、10年ほど前まではすべての業界がそんな感じだったのだが…。
「弊社では、技術者から送られてくる応募書類の半分以上が紙ベース。ですから、それが普通になっていますね。また、取引先が履歴書や職務経歴書の『手書きの文字を見たい』と言ってくる場合も多いんです」(B社採用担当者)
建設やプラントの現場は、多くの企業から技術者や職人が集まって働いているのが普通だ。下手にIT化して、さまざまな書式やデータが入り混じるよりも、すぐに見ることができるシンプルな紙が一番いいというのも分からないでもない。また、手書きの文字を見て、その人の性格を知りたいという考え方もわかる。
「几帳面な人は、文字もきちんとしていますね」(B社採用担当者)
作業現場では、ちょっとした不注意が大きな事故につながることもある。手書きの履歴書・職務経歴書も見ておこうという考えは、事故を少しでも減らしたいという思いと経験に裏づけられた採用ノウハウから生まれたものかもしれない。
人材紹介会社で扱う職種は、ホワイトカラー(いわゆるオフィスワーク)が中心だ。普段から業務でパソコンやインターネットを使っているケースが多いので、紹介側も採用側もITを中心にしたシステムに慣れてしまっている。現場監理や医療なども、今後、徐々にITを活用していく業務が増えるだろうが、それまではITに偏らない転職支援も引き続き行っていく必要がありそうだ。
パソコンと格闘しているYさんの姿を思い浮かべながら、私はそんなことを考えていた。
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