独身寮の運営に関する最新実態
独身寮の使用料は社有1万1302円、借り上げ1万2181円
5 付帯設備
付帯設備の個室への設置状況[図表16]
社有ではベッド52.0%、机40.2%の設置が多く、借り上げではベッド34.7%、冷蔵庫30.5%が多い
若年の入寮者であれば、基本的な家具家電を購入することが負担となる者もいるだろう。そこで、机、ベッド、冷蔵庫といった付帯設備の個室への設置状況について尋ねた(最も一般的な1人部屋に設置されているもの)。
「いずれも設置なし」は社有で33.3%、借り上げで51.7%となり、その差は約18ポイントであった。社有の独身寮のほうが、何らかの設備を設置している傾向にあるといえる。
設置されている設備は、社有と借り上げで若干傾向が異なる。社有ではベッド52.0%が最多で、机40.2%、LANケーブル18.6%と続くが、借り上げではベッド34.7%、冷蔵庫30.5%、机24.6%の順となっている。
6 独身寮の増加・充実の動向と活用状況
独身寮の増加・充実の動向[図表17、事例1]
新卒採用の活発化や求人増に伴い、4社に1社が独身寮の増加・充実を実施・検討
昨今の売り手市場の中、学生・応募者に対し独身寮の充実ぶりを自社のアピールポイントとしたり、若手社員の定着に独身寮を活用したいと考える企業も少なくないだろう。そこで、現在独身寮がある企業に対し、独身寮の増加・充実を実施・検討しているかどうか尋ねた。なお、社有・借り上げの区別は設けずに尋ねたものである。
「新卒採用の活発化や求人増に伴い、独身寮を増加・充実させた」ところは13.7%。「増加・充実を検討している」11.0%と合わせると、24.7%と4社に1社となる。以下、規模別に「増加・充実させた」と「検討している」の合計を見ると、1000人以上29.5%、300〜999人24.4%、300人未満11.1%であり、規模が大きいほど独身寮の増加・充実を実施・検討している割合が高い。また、産業別には、製造業と非製造業で特段の傾向の差は見られなかった。
増加・充実の具体的内容を[事例1(※省略)]にまとめた。この中では、“社有寮の建て替え” “設備を充実させた” “食堂、図書コーナー、ミーティングルームを新設” といった住環境の改善が多く挙げられている。また、“新棟建設” “借り上げ寮の増加” といった居室不足への対応も散見される。
独身寮の活用状況[図表18、事例2]
「“若年層社員の育成・コミュニケーションの場” として、独身寮を活用」している企業は28.9%
独身寮は、同期だけではなく、職場や部署の異なる先輩・後輩とともに生活することで、コミュニケーションを促進させることができるというメリットもある。
本誌でも、社員の育成やコミュニケーションの場として寮を活用している事例を紹介している。例えば、竹中工務店(第3895号−15. 9.25)では、入社後の1年間、寮で共同生活をすることで、毎年100〜200人前後いる同期の結束を強めているという。また、乾汽船の『月島荘』(第3896号−15.10. 9)では、複数の企業で寮をシェアし、共用の空間でコミュニティを形成させることを通じて、自社以外の社員との異業種交流を実現している。
今回の調査によると、「“若年層社員の育成・コミュニケーションの場” として、独身寮を活用」しているのは28.9%と約3割に上る。規模別に見ると、1000人以上39.2%、300〜999人22.0%、300人未満11.1%と、規模が大きいほど積極的に “活用” していることが分かる。また、直近で積極的に取り組んでいる施策(複数回答)として、「独身寮内での行事・イベントの充実」58.3%、「共有スペースの充実」52.8%となっている。施策の具体的内容は[事例2(※省略)]にまとめたので、参照いただきたい。
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