独身寮の運営に関する最新実態
独身寮の使用料は社有1万1302円、借り上げ1万2181円

3 独身寮の広さ・間取りと使用料

広さと間取り[図表7]
社有は「15〜20㎡未満」「20〜25㎡未満」、借り上げは「20〜25㎡未満」が多い。社有の間取りは「1R」が中心

独身寮の広さ（㎡数）と間取りを、最も一般的な1人部屋の場合で集計した。なお、各社が把握しているものを回答いただいており、広さと間取りには直接的な関連性はないので留意いただきたい。

まず、広さ（㎡数）について見る。社有では、「15〜20㎡未満」「20〜25㎡未満」がともに31.5％であり、15〜25㎡未満に6割超が分布している。「15㎡未満」18.5％がこれに続く。平均は19.4㎡である。

借り上げでは、「20〜25㎡未満」が42.6％で最多、以下「25〜30㎡未満」23.5％、「30㎡以上」20.6％と続く。20〜30㎡未満に6割台が集中し、平均は23.4㎡である。

次に、間取りについて見る。社有では「1R」が72.2％と最も多い。「1K」が21.5％でこれに次ぎ、この2者で9割以上を占める。規模別に見ても、「1R」が最も多い。

一方、借り上げでは、社有ほど「1R」の割合は高くなく、40.0％と半数に満たない。その分、「1K」、「1DK」がそれぞれ32.2％、25.6％見られる。

【図表7】独身寮の広さと間取り（最も一般的な1人部屋の場合）

使用料[図表8〜10]
社有で平均1万1302円、借り上げで同1万2181円

独身寮の使用料を、最も一般的な1人部屋について集計した。使用料の設定においては、食費や光熱費等を含むかどうかで金額に差が出ることも考えられるため、集計は次の2とおりで行った。[図表8]は、食費・光熱費・水道料を使用料に含むかどうかにかかわらず、一括して集計した。[図表10]は、「食費・光熱費・水道料を使用料に含む（一部含むケースもあり）」と「食費・光熱費・水道料を使用料にまったく含まない」に分け、それぞれの平均を算出した。なお、寮の所在地、広さや建物の新しさ等によっても使用料は異なると考えられるが、これに関しては特に考慮せず集計している。

【図表8】独身寮の使用料（最も一般的な1人部屋の場合）

【1】食費・光熱費・水道料を使用料に含むかどうかにかかわらず、一括して集計[図表8〜9]

社有では、0円（使用料の徴収なし）から4万5000円までとバラつきがある。分布は「5000〜1万円未満」が35.7％で最も多く、以下「1万〜1万5000円未満」29.6％、「1万5000〜2万円未満」14.3％と続く。平均は1万1302円である。平均を規模別に見ると、1000人以上1万1653円、300〜999人9322円、300人未満1万2933円となっている。なお、集計（回答）社数が規模によって異なるため、比較の際には留意いただきたい。

一方、借り上げでも0円（使用料の徴収なし）から5万円まで幅が見られる。分布は、「1万〜1万5000円未満」が42.2％で最も多い。以下「5000〜1万円未満」22.5％、「1万5000〜2万円未満」10.8％と続く。平均は1万2181円である。規模別に見ると、1000人以上1万2195円、300〜999人1万195円、300人未満1万6233円となっている。

使用料の規模別平均額を社有と借り上げで比較すると、すべての規模で借り上げのほうが高く、その差はおおむね540〜3300円となった。

当研究所の初任給調査（2016年度速報。第3909号−16. 5.13/ 5.27）から、独身寮の使用料が初任給に占める割合を試算した。高校卒（事務・技術系の一律設定で初任給16万4894円）では社有6.9％、借り上げ7.4％、大学卒（同21万313円）では同5.4％、5.8％であった。

【図表9】使用料の分布（最も一般的な1人部屋の場合）

【2】「食費・光熱費・水道料を使用料に含む（一部含むケースもあり）」と「食費・光熱費・水道料を使用料にまったく含まない」に分け、それぞれの平均を算出[図表10]

今回の集計（回答）で、「食費・光熱費・水道料を使用料に含む（一部含むケースもあり）」としている企業割合は社有で17.7％、借り上げで5.1％しかない。このことから食費・光熱費・水道料を使用料にまったく含んでいない企業が主流であることが分かる。

使用料の平均額は、社有で「食費・光熱費・水道料を使用料に含む（一部含むケースもあり）」1万6615円、「食費・光熱費・水道料を使用料にまったく含まない」1万255円であり、食費・光熱費・水道料を含んでいるほうが6000円程度高い。同様に借り上げでは2万2620円、1万1830円であり、その差は約1万円に上る。ただし、「食費・光熱費・水道料を使用料に含む（一部含むケースもあり）」の集計（回答）社数は多くないので、比較に際しては留意いただきたい。

なお、食事の提供の有無と水準、光熱費・水道料の項目ごとの入居者負担については、後掲「4 食費の提供、光熱費・水道料の負担状況」で紹介しているので、そちらを参照いただきたい。

参考まで、使用料の推移を95年以降で見てみよう。95年5832円、99年7297円、03年8914円（ここまでは社有・借り上げ別でなく「独身寮の使用料」としてまとめて集計したもの。食費・光熱費等を使用料に含むケースは除外）、前回07年は “食費・光熱費等をまったく含まない” ケースで社有9631円、借り上げ1万1883円、今回16年は同1万255円、1万1830円となっており、長期的に上昇傾向にあることが見て取れる。

【図表10】食費・光熱費・水道料の含有別に見た使用料の平均額