同一労働同一賃金の実態は?
岸川 宏(きしかわ ひろし)
パート・アルバイトを雇用する理由に変化
バブル崩壊以降、人件費の削減を求めて非正規労働者の割合は、今なお増え続けています。ですが、パートタイム労働法の改正等をはじめとする施策や、労働人口の減少や景気の変動による人不足感などに影響を受け、企業の意識にも変化が見られます。
非正規労働者を雇い入れる理由として「人件費の安さ」が一番の理由には変わりありませんが、その割合は年々減少傾向にあります。平成15年当時7割台だったその割合は、平成26年には4割台と大きく減少しています。単純に「安い労働力」と捉えられなくなってきているようです。
均衡処遇は、「人件費の安さ」に対して向けられると悪い方向に力を発揮すると感じています。非正規雇用従業員の自律的・発展的な仕事を任される、または期待される機会を奪うこと。またその結果が、彼らが得られる職業経験を積むことの障壁となり、非正規雇用化を定着させることにつながるからです。
今回の「同一労働同一賃金推進法」(労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律)が、より良い均衡処遇に近づくためのきっかけになって欲しいものです。
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●文/岸川 宏(きしかわ ひろし)
アイデム人と仕事研究所 所長/社会保険労務士
大学卒業後、リゾート開発関連会社へ入社。飲食店部門での店舗運営を経験後、社会保険労務士資格を取得。社会保険労務士事務所にて、主に中堅・小規模企業の労務相談、社会保険関連手続きに従事した。 1999年、アイデム人と仕事研究所に入社。労働環境の実態に迫る情報提供を目指し、社内・外への情報発信を続けている。2015年4月より現職
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