2015年度決定初任給の最終結果
42.9%が初任給を引き上げ。
大学卒の水準は20万5914円で前年度比0.8%の上昇
1 据え置き状況[図表1〜3]
据え置き56.3%、全学歴引き上げ42.9%。
据え置き率は2年連続で低下
2015年度の初任給については、昨14年度と同額に据え置いた企業が全回答企業664社のうち56.3%と過半数を占めた[図表1]。据え置きの内訳は、「全学歴」にわたって据え置いた企業が88.8%とほとんどで、「一部」学歴のみの据え置きは11.2%であった。
一方、「全学歴引き上げ」は42.9%である。産業別に見ると、製造業49.0%、非製造業35.7%で、製造業では約半数が初任給を引き上げている。
据え置き率の推移を見ると(一部据え置きを含む)[図表2〜3]、09年度以降9割台の高い率で推移していたが、 14年度は68.8%と、リーマンショック前の07年度(68.3%)や08年度(64.5%)と同程度まで低下。今回15年度はさらに低下し、 56.3%となった。ちなみに、14年度の「全学歴引き上げ」は30.3%であったが、15年度は42.9%と12.6ポイント増加している。
初任給水準の決定に当たっては、新卒者の労働力需給や世間相場が影響を及ぼす。近年の景気回復に伴って、新卒採用は学生優位の「売り手市場」になってき ていることから、人材を確保するために初任給水準を引き上げるなど雇用条件の改善を重視する傾向が出てきているものと考えられる。さらに、初任給について は、賃金体系を考慮した在籍者の賃金とのバランス、賃上げ、特にベースアップの結果と配分との関係も考慮する必要がある。今春闘交渉では、昨年に続きベー スアップや賃金改善の回答が相次いだことから、初任給についても引き上げた企業が増加したといえる(賃上げ妥結結果は、本号前掲記事に掲載)。
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